【今更聞けない1】生成AIの機能と回答精度を高める主要手法
みなさん、こんにちは。しがないコンサルです。
今日から【今更聞けない】シリーズを始めていこうと思います。
第一弾は、「生成AIの機能と回答精度を高める主要手法」です。
生成AIとは?
生成AI(Generative AI) とは、学習データに基づいて新しいコンテンツを生成するAIのことです。
文章だけでなく、画像・動画・音声など様々な形式のコンテンツを作り出すことが可能で、例えば ChatGPT(テキスト生成) や DALL-E(画像生成) はその代表例です。
ここでは、特にテキスト生成 に焦点をあて、生成AIの回答精度を向上させる技術について解説します。
生成AIの回答精度を向上させる3つのアプローチ
生成AIモデルの回答をより正確で信頼できるものにするために、主に次の3つのアプローチがあります。
1. プロンプトエンジニアリング(Prompt Engineering)
■ 概念
プロンプト(指示文や質問文)を工夫・最適化する手法です。
適切な指示を与えることで、モデルの出力を望ましい方向に導きます。
■ 具体例
- NG: 「夏休みの計画を教えて」
- OK: 「小学生の子供が楽しめる、北海道での3泊4日の夏休み計画を予算5万円で提案してください」
※画像生成でも同様:
「猫の絵を描いて」よりも
「印象派風のタッチで、ソファに座る黒猫の絵を描いて」の方が精度が高まります。
2. RAG(Retrieval-Augmented Generation)
■ 概念
外部データソースから関連情報を検索・参照して回答を生成する手法。
検索機能と組み合わせることで、最新の事実や専門知識を回答に反映可能。
■ 具体例
- 通常モデル:過去のトレンド情報しか答えられない
- RAG:最新のファッション誌やWeb記事を参照 → 2025年夏の最新情報を提供
3. ファインチューニング(Fine-Tuning)
■ 概念
特定の領域やタスクに対してモデルを**追加訓練(再学習)**する手法。
専門データで学習させることで、特定分野での精度や一貫性が向上。
■ 具体例
医療分野のAIを作る場合:
→ 医学論文・症例データで学習 → 医療用語や文脈を理解し、正確な回答が可能
RAGの仕組み
RAGは以下の2段階から構成されます:
- Retrieval(検索)
- Generation(生成)
まるで「優秀な司書」と「博識な専門家」が連携しているような構造です。
Retrieval(検索)
ユーザーの質問に対して、外部から関連情報を検索します。
● 例:
「新製品Xの使い方を教えて」
→ 社内ナレッジベースからFAQやマニュアルを検索
Generation(生成)
検索した情報を元に、自然な文章で回答を生成します。
● 例:
「新製品Xは、側面の電源ボタンを3秒間長押しすると起動します」
→ 正式マニュアルに基づいた精度の高い回答が可能に
RAGの検索技術:3つの検索方式
RAGの検索部分には、主に次の3種類があります。
1. キーワード検索(Keyword Search)
- クエリと完全一致する単語で文書を検索
- 表記ゆれに弱い
例:
「猫の飼育方法」→「子猫の育て方」は見逃す可能性あり
2. ベクトル検索(Vector / Semantic Search)
- 意味的に類似した情報を検索
- 文全体の意味で検索できる
例:
「猫の飼育方法」→「子猫の育て方」や「ネコの飼い方」もヒット
3. ハイブリッド検索(Hybrid Search)
- キーワード+ベクトルの良いとこ取り
- 精度の高い検索結果を実現
例:
「〇〇社製の最新スマートフォン」
→ 固有名詞はキーワード、文脈はベクトル検索で対応
RAGを支えるデータベース技術
RAGの「知識の倉庫」として使われる主なデータベースは以下の2つです。
1. ベクトルDB(Vector Database)
- テキストや画像を数値ベクトル化して保存・検索
- 高速な意味的類似検索が可能
- 例:似た内容の文書を近い位置に配置する「意味で並べた本棚」
2. グラフDB(Graph Database)
- データ同士の**関係性(つながり)**を保存
- ノードとエッジで構造化
- 例:著者・出版年・関連トピックなどを辿れる「図書館の索引カード」
▶ ハイブリッド活用も進化中
最近では、グラフDBにベクトル検索を組み込むなど、両者の強みを統合した次世代の検索システムも登場しています。
まとめ
手法 | 目的 | メリット |
---|---|---|
プロンプトエンジニアリング | 入力を工夫して出力を改善する | 誰でもすぐに実践可能 |
RAG | 外部情報を参照して回答の信頼性を上げる | 最新情報・専門情報に対応可能 |
ファインチューニング | モデル自体を特化領域に最適化する | 高精度かつ一貫性ある回答が可能 |
生成AIの進化を活かすには、**使い方の工夫(プロンプト)+仕組みの理解(RAG/ファインチューニング)**がカギになります。
次回は、実際のRAGの構築手順やツールについて紹介予定です!
ご質問やご感想はコメント欄までお気軽にどうぞ!
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