「技術は手段」について思うこと
「技術は手段」
よく使われるフレーズです。これ自体に関しては正論ではあると思います。
ただ技術で飯を食っている人間としては感情的にはどこか納得しがたいものがあるのも否定できません。という訳で、上記にフレーズに対して「正論ではあるけど、こういう見方もあるよね」というのを書いていきたいと思います。
ロジカルな話
技術は手段なのは確かです。ある課題があり、それを解くために技術は使われます。
ただ、この "課題" の性質についてもう少し考えてみると "時間" という概念が必要になります。
まず前提の話として、ビジネスにおいては顧客に対してある課題を解くために対価(主にお金)をもらいます。逆に言うと課題を解かない限りはお金は入ってきません。
ここで問題なのは支出は常に流れ出るものということです。人件費なり家賃なり、業態によって程度の差はあれお金を全く使わない事業というものはないでしょう。なので、お金が尽きるより前に課題を解くソリューションを提供して対価を得る状態を作らなければいけません。
このため課題に対して時間という概念が発生します。つまり「ある課題を解くソリューションは〇〇までに完成しなければいけない」という制約です。
ただ、この課題というのは予めどんな順番で具体的にどんなものを解いていけばいいのか分かっていることなど非常に稀です。なので出てくる課題に対して反応的に技術を勉強していくのでは時間の制約に対して順応できない可能性が出てきます。
課題が出てきてソリューションを打ち出そうという時に、ベストな打ち手を打てなかったり、そもそもそれを解く技術力がないため諦めるなどということが発生し得ます。なので技術は手段ではありますが、ある程度アタリをつけて技術自体を目的化して "投資" を行う必要があります。
技術という手段自体に対して投資を行なっていくことによって、将来いろんな課題が発生しても常に質の高いソリューションが提供できるようになります。
感情的な話
なんとなく「技術は手段」って真顔で言われると「あーこの人技術に対してなんの愛情とかリスペクトとか持ってなさそうだな〜〜〜」って感じちゃうんですよね。
少なくともそれ自体を楽しんでいる & 飯を食べさせてもらっている一個人としては軽視されているようでイラッとくるというか。
もちろん仕事やっていく上では目的を忘れてはいけないんですが、冷めた「あくまで道具」みたいなスタンスはあまり取らない方がいいんじゃないかなと思います。
あと一エンジニアとして思うのは、やっぱり我々は技術っていう How のスペシャリストで、そこを磨くことを忘れたら遅かれ早かれ価値を発揮できなくなるよなーということです。
上記であげた「課題に対して常に最適な選択肢を提供する」みたいな話もそうですが、このエンジニアリングの世界というのは自分の会社の課題だけではなく技術自体の環境も変わっていきます。今も頭のいい誰かが新しい技術を作ったり進化させたりしています。自分は変わらずとも環境は変わっていくので、そこで高いパフォーマンスを出し続けていくためには、技術自体を目的化して楽しむくらいでいいのかなと思っています。
技術は手段だけど目的!
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