🗾
IT事情徒然 2章 「国産クラウド」はどうすれば育つのか?
🇯🇵 「国産クラウド」はどうすれば育つのか?
日本において、AWSやMicrosoft Azure、Google Cloudなど外資系クラウドが圧倒的な存在感を放つなか、「国産クラウド」はなかなか大きく育っていないのが現状です。
しかし、過去の課題を振り返るだけでなく、未来志向で "どう育てていくか" を考えることが、今こそ求められています。
✅ 1. なぜ「国産クラウド」は育たなかったのか?(背景)
課題 | 説明 |
---|---|
巨大投資の壁 | データセンターや回線、ストレージ基盤の整備には莫大な資金と時間が必要 |
外資クラウドの先行優位 | AWSなどは2000年代から大規模展開しており、先に市場を押さえた |
自社構築の非合理性 | 日本企業にとって、自前でクラウドを構築する動機が薄かった |
国産志向の弱さ | 安全性より利便性や価格が重視され、国産選好の文化が育ちにくかった |
政府・自治体も外資依存 | 公共分野でも長くAWSやAzureが利用されてきた |
🌱 2. どうすれば「国産クラウド」を育てられるか?(提言)
🏗 インフラの独立性と戦略的投資
- 「クラウド=公共インフラ」として位置づけ、国主導で基盤を整備
- データセンターの地方分散や再エネ活用と組み合わせて、地域活性とも連動
- 韓国(Naver Cloud)やフランス(OVHcloud)のようなモデルに学ぶ
🔒 セキュリティ・主権性の再定義
- 外資依存による法域外問題(Cloud Actなど)に対する危機意識を醸成
- 医療・教育・防災・公共など、主権と密接に関わる分野から国産移行を
- 「日本の法律で守られる場所にデータを置く」安心感を可視化
🧑💼 B2B特化と業種別最適化
- 一般ユーザー向けよりも、中堅企業・業種特化型SaaSで差別化
- 日本特有の業務文化(帳票、FAX、印鑑、複雑な承認フローなど)に対応した設計
- 製造・建設・自治体・教育向けなど、導入事例を積み重ねる
🤝 標準化と連携モデル
- 単独のプラットフォームではなく、API連携や共通認証基盤を整備
- 「国産クラウド連携コンソーシアム」など、技術標準を横串で通す場が必要
- 自治体クラウド・GovTech系でまず実績を
📣 認知と文化の醸成
- "便利なら外資でいい"という文化を転換するには、意識変容が不可欠
- 技術者コミュニティ・教育現場・メディアで「国産選択」が語られるようにする
- 「国産クラウド応援キャンペーン」や国主導のPRも一案
🔚 結論:クラウドは「作る側」「使う側」両方の意思で育つ
「国産クラウド」は技術力だけで成立するものではありません。
- 戦略的な投資
- 公共分野での採用
- 文化と価値観の醸成
- 地域連携・業種連携
こうした要素がそろってこそ、日本のクラウドは単なる追従ではなく、独自性を持った選択肢として世界と並び立てるのではないでしょうか。
🇯🇵 それは日本の“デジタル主権”の未来にもつながっています。
📘 シリーズ目次(0章)はこちら
📝 出典:
- 総務省「クラウドサービスの利用実態調査」(2024年版)
- 韓国 NIA(National Information Society Agency)「国家クラウド戦略」
- Gartner / Statista 各種市場分析
- 日経クロステック特集記事(2023〜2025)
Discussion