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プロダクト開発における市場分析とROIの重要性

2024/05/10に公開

はじめに

この文章は「儲けの科学」という本からの刺激を受け、マーケティング✖️プロダクト開発で考えをまとめてみたものです。
何か正解があるものでもないと思うので、そういうふうに考えることもできるのだな、という程度に捉えていただければ幸いです。
https://www.amazon.co.jp/dp/B0CXY3644G

伝えたいこと

プロダクト開発する上で「市場を見ること」と、「ROIを最大化すること」が重要な要素として挙げられる。

プロダクト開発の目的

そもそもプロダクトを開発する目的はなんでしょうか。
解決したい課題があったり、何かしら提供したい価値があって、それらを実現するための手段の一つとしてプロダクト開発を用いるのだと私は考えています。

これ以降、そういった「解決したい課題や何かしら提供したい価値」を「最終目標」と表現します。

プロダクト開発で忘れてはいけないこと

プロダクト開発においては「最終目標」だけを追い求めていれば良いというわけではありません。

「お金」の存在を忘れてはいけません。

プロダクト開発には、なにがなくとも人件費、インフラ費などのお金がかかります。
お金が無限に湧いて出るものであればそれほど気にしなくても良いのかもしれませんが、使えるお金には限りがあります。
どんなに素晴らしいサービスを提供しようとしていても、事業として継続できなければそれでおしまいです。

投資を受けることでお金を一時的に得ることも可能ですが、いつかはお金が尽きますし、回収できないのであれば投資家は離れていきます。
自己資金で賄うにしても他者からの投資を受けるにしても、黒字にしていくことは常に意識しなければなりません。
最終目標を達成するためにお金が必要である以上、お金を稼ぐことは常に考えなければならないのです。

お金を稼ぐとは何か

お金を稼ぐために必要なことは「市場を見る」ことで、お金を稼げるかどうかは「市場に受け入れられるかどうか」ということです。

プロダクト開発は、自分たちが開発したいものを開発するとか、声の大きいユーザーの声を聞くとかではいけないのです。
市場がなにを求めているのかを探求し続ける姿勢が必要とされます。

ここまでを整理すると、「市場を見る」ことで市場に受け入れられるプロダクトを提供し、市場に受け入れられることでお金が稼げるようになり、さらなるプロダクト開発ができる。という繋がりになります。

お金を稼ぐ必要があると言いましたが、ここで一点注意することがあります。
それは、お金を稼ぐこと自体は「市場に受け入れられた」結果であって、目的ではないということです。
本質的に重要なのは「市場を見る」ことです。

エンジニアとしてどこまで考えるべきか

お金をやりくりするのは経営者の仕事です。
しかし、経営者が苦労してやりくりしているお金を、プロダクト開発に携わる者たちがROIについてなにも考えずに使って良いはずがありません。

プロダクトのROIを考えることは、プロダクト開発に携わる者にとって重要な視点です。
「市場を見る」という点においては、全員が同じ目線を持つことがプロダクト開発において重要なことであると考えられます。

「市場を見る」からといって、ソフトウェアエンジニアがマーケティングの学位を取る必要はありませんし、エンジニアが細かくマーケティング分析を行うのは得策とも言えないでしょう。
エンジニアとして考えるべきは、開発するもののリターンがどのようなもので、それにどれくらいのコストを投下するのかというROIです。
ROI観点はソフトウェアエンジニアとしても常に意識すべきものです。

Don't be evil

少し先述しましたが「お金を稼ぐこと」はあくまで最終目標のために必要だからすることであって、「お金を稼ぐこと」を第一に置いてはいけません。
「お金を稼ぐこと」を第一に据えると、どんな手段であってもお金を稼ぐことが選択されます。
そうした場合、「最終目標」に繋がらない、もしくはそれに反することをしかねません。
最悪な場合、違法な行為ですら当事者の中で正当化されます。

考える順序は、どれくらい「最終目標」が達成できるのか。どれくらい「市場に受け入れられるのか」です。
間違っても「お金が稼げるかどうか」を判断軸にしないでください。

https://ja.wikipedia.org/wiki/邪悪になるな

勝てる市場で勝負する

まず最初に考えるべきは、自分たちが勝負しに行く市場が「勝てる」市場かどうかです。
選ぶ市場は既存の市場でも良いですし、新規の市場でも良いですが、勝てない市場を選んではいけません。
どの市場であれば自分たちの強みを活かして「勝てる」のかを考え、自分たちの提供する「価値を定義」することが重要です。

そうして、その定義した価値を顧客に訴求します。
「帳票が印刷できます。」とか、「エクセルライクな画面で操作できます。」のような、細かい機能の話ではありません。
「これを導入すれば御社の〇〇という課題が解消され、それによって御社の売上が上がります。」というソリューションレベルで訴求するのです。

価値を定義できたら、それに従ってプロダクト開発を進めますが、市場は変化し続けるものなので常に市場を見続ける必要があります。
市場がなにを求めているのかを探求し続けなければならないということです。
市場を見ずに機能を追加し続けることは、ただ闇雲にコストを費やすことになりかねません。
(世の中でアジャイルが流行るのはこういった背景があるのかもしれませんね。)

「Evernoteの5%問題」からもわかるように、市場を見続けることは非常に難しいことです。
しかし、市場を見てROIを考えて機能追加をしなければコストが嵩み、利益が出ない構造に陥ることは避けられないでしょう。

また、Libin氏自身もインタビュー時点でEvernoteが多機能すぎるが故に抱える問題を理解しており、「問題は、この5%がユーザーによって異なることです。もし、すべてのユーザーが同じ5%の機能を使用している場合、他の95%の機能をカットしてしまえば開発にかかる多くの資金を大幅にカットできます」と語っています。
https://gigazine.net/news/20160112-evernote-5-percent-problem/ より引用

B2B市場

B2B市場においては経済合理性が優先されるため、技術的に優れているだけではモノは売れません。
各社がGithub Copilotの効果検証を行なっていることを見ればそれは明らかです。
新しい技術だから、なんとなく良さそうだから、という理由では企業は導入しません。
B2B市場こそ、市場を見ることは重要だと思います。
(もちろん一部の好奇心の強い企業は細かい検証をしなくとも導入を決めることもありますが、そういう企業がそれほど多くはないでしょう。)

おわりに

冒頭にも示しましたが、この考えが絶対的に正しいというものではありません。
しかし、開発に携わる一人一人が「市場を見ること」と、「ROIを最大化すること」を考えることで、より良いプロダクト開発が行える可能性は高まると思います。
この文章が少しでもプロダクト開発のお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

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