Firebaseの電話番号認証をFlutterで実装する方法
はじめに
前回、WebでのSMSによる電話番号認証を使った方法を説明しましたが、今回は、Flutterでの電話番号認証の実装について説明します。
目次
- Firebaseの設定
- 電話番号認証を行う
- 確認コードの入力
- 再送処理
Firebaseへ設定追加
FirebaseにFlutterの設定を追加します。cliで自動設定もできますが、Firebaseの設定画面上でAndroidとiOSでそれぞれ設定します。
Android
Firebaseの管理画面でAndroidの登録に必要な各項目を入力し、Androidで利用できるようにします。
- Androidパッケージ名
- アプリ名
- アプリの署名証明書のSHA-1ハッシュ
登録すると、google-services.jsonをダウンロードできるので、<プロジェクトのディレクトリ>/android/src/main/
へ保存してください。
また、手順に従って、Firebaseの依存関係のモジュールをGradleファイル(<プロジェクトのディレクトリ>/android/src/build.gradle
)に追加します。
iOS
Firebaseの管理画面でiOSの登録に必要な各項目を入力し、iOSで利用できるようにします。
- Apple バンドルID
- アプリ名
- App Store ID
登録すると、GoogleService-Info.plistをダウンロードできるので、<プロジェクトのディレクトリ>/ios/
へ保存してください。
次に、Xcodeでアプリのプロジェクト(``<プロジェクトのディレクトリ>/ios/Runner.xcworkspace`)を開き、プッシュ通知を有効にします。
プッシュ通知を有効にする
iOSではサイレント APNs 通知と reCAPTCHA 検証を有効にする必要があります。
APNs 認証キーをFirebase Cloud Messagingに登録します。証明書をApple Developerの管理画面で作成し、登録したキーを設定してください。
また、 reCAPTCHA 検証を使用できるようにカスタムURLスキームを登録します。Xcodeでアプリのプロジェクト(``<プロジェクトのディレクトリ>/ios/Runner.xcworkspace`)を開いて、ビルド対象のアプリを選択し、InfoタブにあるURL TypesにアプリIDを登録します。アプリIDは、Firebaseの設定から確認できます。
Firebase認証用にパッケージを追加する
pubspec.yamlに認証に必要なパッケージを追加します。また、Podの更新も必要になるので、iosのディレクトリで pod install
を実行してください。
flutter pub add firebase_auth
電話番号認証を行う
電話番号認証をするには、verifyPhoneNumberを利用します。Webと違い、引数には電話番号に以外に、コールバック関数を定義します。verifyPhoneNumber自体は非同期ですが、送った結果については、それぞれコールバックで返ってくるので、コールバックの戻り値を見て、処理を書いていきます。
await FirebaseAuth.instance.verifyPhoneNumber(
phoneNumber: phoneNumber,
verificationCompleted: (credential) async {
},
verificationFailed: (e) {
},
codeSent: (id, resendToken) {
},
codeAutoRetrievalTimeout: (id) {
},
forceResendingToken: null,
);
codeSent
SMSに成功した場合に、認証コードを一緒に送信するidと再送用のresendTokenが返されます。どちらも後処理で必要になるので、保存してください。
String verificationId = '';
String resendTokenString = '';
await FirebaseAuth.instance.verifyPhoneNumber(
phoneNumber: phoneNumber,
codeSent: (id, resendToken) {
verificationId = id;
resendTokenString = resendToken?.toString() ?? '';
},
);
codeAutoRetrievalTimeout
Androidで、SMSで送信されたコードのの自動承認処理が失敗して、タイムアウトになった場合に呼び出されます。これは設定しなくても問題ありません。
verificationFailed
電話番号が間違っていた場合などのFirebaseのエラーが返された場合に、呼び出されます。これが呼び出された場合に、エラー表示をして、再送信や入力を戻す必要があります。
Androidの場合 (verificationCompleted)
Androidの自動認証が有効になっている場合には、コードを入力しなくても、verificationCompletedのコールバックが呼び出されて、Credentialを返してくれます。このオブジェクトを利用すると、ログイン状態にできます。
verificationCompletedはcodeSentの後に呼び出される場合があるので、コードの入力画面で待ちつつ、自動遷移に移るようにします。
await FirebaseAuth.instance.verifyPhoneNumber(
phoneNumber: phoneNumber,
verificationCompleted: (credential) async {
final user = userCredential.user;
if (user != null) {
}
},
);
確認コードの入力
アプリ上で確認コードを入力した後にverifyPhoneNumberで返されたidを使って、認証が正しいか検証します。PhoneAuthProvider.credentialにidと認証コードを設定して、認証情報を作成し、signInWithCredentialを呼び出します。成功すると、ユーザーの認証情報が返されます。
PhoneAuthCredential credential = PhoneAuthProvider.credential(
verificationId: verificationId,
smsCode: smsCode,
);
final userCredential =
await FirebaseAuth.instance.signInWithCredential(credential);
再送処理
同じ電話番号へSMSの再送処理を行うには、verifyPhoneNumberで返されたresendTokenをforceResendingTokenに指定して、もう一度verifyPhoneNumberを呼び出すと、再度SMSが送信されます。
String verificationId = '';
String resendTokenString = '';
await FirebaseAuth.instance.verifyPhoneNumber(
phoneNumber: phoneNumber,
codeSent: (id, resendToken) {
verificationId = id;
resendTokenString = resendToken?.toString() ?? '';
},
forceResendingToken: resendTokenString, // 保存したresendTokenを再利用
);
おわりに
- 今回はFlutterとFirebaseを用いた電話番号認証についてまとめてみました。みなさんもぜひ試してみてください。
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