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USB HDD 1個でRescuezillaの起動と保存領域をまかなう

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Rescuezillaは、GUIで操作できる、USBメモリから起動できるといった特徴をもつ、Linuxベースのバックアップツールです。

さて、このツールは非常に便利で使いやすいのですが、いかんせん起動用のUSBメモリとバックアップ用のUSBストレージが必要です。もちろんUSBメモリなんて安いですからふたつまとめてジップロックに入れておけば良いのですが、性分としてこういうものを見るとひとつにまとめたいという欲求にあらがえません。

そこで、GLIMを使ってポータブルHDDからRescuezillaを起動し、ストレージをセルフホストさせることにしました。レスキューHDDです。

GLIMとは

GLIM(GRUB2 Live ISO Multiboot)は、USBメモリやUSB SSDに複数のISOイメージを格納して、メニューから選択して起動できるようにするツールです。同様なツールにVentoyがあります。

項目 GLIM Ventoy
プラットホーム GRUB2 Linux
インストール Linux Linux, Windows
対応イメージ ISO 好きなディレクトリにコピー
プラットホーム x86, x86_64 x86, x86_64, ARM64, MIPS64
Firmware UEFI, BIOS UEFI, BIOS
Resoucezilla対応 ×
開発 停滞中 活発
公式サイト GLIM Ventoy

Ventoyと比べると全く良いところが無いように見えますが、GLIMの利点はシンプルであるところにつきます。

プログラムはメインのスクリプトファイルと、ディストリビューション用の小さなスクリプトファイル群のみです。これらは全てGRUB2のスクリプトで書かれていますので、GRUB2の知識があれば自分でカスタマイズすることができます。GRUBしか使わないため、GLIM自体の起動も高速です。

公式版のGLIMは、Rescuezillaに対応していなかったため、フォークして自分で対応しました

レスキューHDDの作り方

最初に書いたように、HDDからRescuezillaを起動し、そのHDD自身にバックアップを保存することを目標とします。

このレスキューHDDは以下の手順で作成します。

  1. USB HDDを用意し、FAT32でフォーマットする。
  2. GLIMをインストールする。
  3. RescuezillaのISOイメージを/boot/iso/rescuezilla/にコピーする。

USB HDDを用意し、FAT32でフォーマットする

USB HDDを用意し、FAT32でフォーマットします。フォーマットツールは何を使っても構いませんが、パーティション・テーブルにはGPTではなくMBRを使うようにしてください。GLIMはMBRしかサポートしていません。

また、このHDDには他のパーティションは作らないでください。

フォーマットが終わったらボリュームラベルをつけます。ボリュームラベルは"GLIM"にしてください。GLIM インストーラーはこのラベルを頼りにインストール先を決定します。

GLIMをインストールする

GLIMは公式版ではなく、私のフォークを使ってください。2025年5月7日時点で公式版はRescuezillaに対応していません(プルリク済み)。Githubからクローンできます。

git clone https://github.com/suikan4github/glim.git

クローンしたらインストーラを実行します。実行はユーザー権限で行います。

cd glim
sudo ./glim.sh

RescuezillaのISOイメージを/boot/iso/rescuezilla/にコピーする

GLIMのインストールが終わったら、RescuezillaのISOイメージを/boot/iso/rescuezilla/にコピーします。

ディレクトリは最初からありますのでmkdirの必要はありません。

私はRescuezillaに加えてDebianのISOも入れて、バックアップ・リストア以外にも使えるユーティリティHDDとして使っています。

スクリーンショット

GLIMの起動画面
GLIMの起動画面。

alt text
矢印キーで起動したいISOイメージを選ぶ。

Rescuezilla起動
Rescuezilla起動。マウスで操作できる。

ユーティリティ代わりのDebian
ユーティリティ代わりのDebian。

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