BareOS③BareOSのインストール方法
Bareosサーバーのインストール
BareosはLinuxを中心に幅広いプラットフォームに対応しており、OSSなものの、パッケージ化されているため簡単にインストールできます。
インストールするには以下の4ステップが必要です。
1.使用するBareosリリースを決定する
2.Bareosソフトウェアパッケージをインストールする
3.Bareosデータベースを準備する
4.デーモンを起動する
1.使用するBareosリリースを決める
Bareosには、コミュニティ版とサブスクリプション版の2つのリポジトリが用意されています。
コミュニティ版リポジトリ(https://download.bareos.org/)
- 最新の安定版ビルドが https://download.bareos.org/current/ で公開
- 開発中の最新ビルドが https://download.bareos.org/next/ で公開
- 無償で利用可能
- サポートは有志コミュニティ
サブスクリプション版リポジトリ(https://download.bareos.com/)
- 最新の3つのリージョンビルドがメンテナンスされている
- 旧バージョンのビルドもある程度残されている
- 有償のサブスクリプションが必要
- 公式サポートが付帯する
※コミュニティ版のドメインはbareos.org、サブスクリプション版のドメインはbareos.comという違いがあります。
コミュニティ版を選べば最新の機能を無償で利用できますが、公式サポートは受けられません。一方サブスクリプション版にすれば、公式の技術サポートを受けられる代わりにサブスクリプション料金が必要になります。
サブスクリプションの料金は年間325ユーロ(約53,000円)から。
詳細は公式サイトに記載があります。
2.Bareosソフトウェアパッケージをインストールする
リポジトリを選択したら、対応するadd_bareos_repositories.shスクリプトをダウンロードし実行します。
このスクリプトがリポジトリの有効化、パッケージインストールの手順を自動化してくれます。
また、Bareos Directorには、PostgreSQLデータベースがカタログとして必要です。
Bareosデータベースパッケージは、データベースクライアントパッケージへの依存関係のみなので、データベース自体は手動でインストールする必要があります。
bareos パッケージは、Bareosのメインコンポーネントに対する依存関係を含むメタパッケージです。分散環境(1つのBareos Director、別々のデータベースサーバー、複数のBareos Storage Daemon)を構築する場合は、bareosパッケージをインストールするのではなく、各ホストに必要なBareosパッケージを選んでインストールする必要があります。
Red Hat系Linuxディストリビューションへのインストール
- RHEL、その派生ディストリビューション、Fedoraなど
まずはwgetが入っていなければ、wgetをインストールします。
yum install wget -y
wgetでスクリプトを取得します。
Versionに合わせてURLが異なるのでレポジトリで確認します。
wget https://download.bareos.org/current/{Version}/add_bareos_repositories.sh
ダウンロードしたスクリプトを実行します
sh ./add_bareos_repositories.sh
アップデートをします。
yum update -y
BareOS Serverをインストールします。
yum install bareos -y
これでインストールは終了です。
めちゃくちゃ簡単。
3.Bareosデータベースを準備する
次にデータベースを作っていきます。
データベースには重要な情報が格納されます。
1.バックアップジョブの設定
- バックアップ対象ファイルセット
- スケジュール
- クライアントマシン情報
- ストレージデーモン情報 など
2.バックアップデータのカタログ情報
- バックアップされたファイルとディレクトリの一覧
- バックアップデータの格納場所(ボリューム名など)
- ファイルの属性情報(所有者、パーミッションなど)
3.ボリュームの管理情報
- 利用可能なボリューム一覧
- ボリュームのプール割り当て
- ボリュームのデータ保持期間
Bareosでは、バックアップに関するほとんどの設定とメタデータ情報をPostgreSQLデータベースに保存します。
データベースがないと、バックアップジョブを実行したりリストアを行ったりできなくなります。
PostgreSQLインストール
PostgreSQLのインストールは公式サイトの手順を見ながら実施します。
公式サイトの中ほどに手順が出てくるので比較的わかりやすいでしょう。
まずはRepogitoryを登録します。インストールするOS Versionごとに違います。
sudo yum install -y https://download.postgresql.org/pub/repos/yum/reporpms/{Version}/pgdg-redhat-repo-latest.noarch.rpm
PostgreSQLをインストールします。
sudo yum install -y postgresql13-server
データベースを初期化します。
sudo /usr/pgsql-13/bin/postgresql-13-setup initdb
sudo systemctl enable postgresql-13
sudo systemctl start postgresql-13
この後には、BareOSでカタログに使うためのセットアップが必要ですが、これもスクリプトが用意されています。
PostgreSQLでBareosカタログをセットアップ
su postgres -c /usr/lib/bareos/scripts/create_bareos_database
su postgres -c /usr/lib/bareos/scripts/make_bareos_tables
su postgres -c /usr/lib/bareos/scripts/grant_bareos_privileges
ちなみに、こちらをセットアップするとPostgreSQLにはこんなDB、カラムができています。
DB
postgres=# select datname, datdba, encoding, datcollate, datctype from pg_database;
datname | datdba | encoding | datcollate | datctype
-----------+--------+----------+-------------+-------------
postgres | 10 | 6 | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8
bareos | 10 | 0 | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8
template1 | 10 | 6 | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8
template0 | 10 | 6 | en_US.UTF-8 | en_US.UTF-8
(4 rows)
bareosというテーブルが主の役割を担います。
この中のTable一覧は以下になっていました。
Table
List of relations
Schema | Name | Type | Owner
--------+--------------------+-------+--------
public | basefiles | table | bareos
public | client | table | bareos
public | counters | table | bareos
public | device | table | bareos
public | devicestats | table | bareos
public | file | table | bareos
public | fileset | table | bareos
public | job | table | bareos
public | jobhisto | table | bareos
public | jobmedia | table | bareos
public | jobstats | table | bareos
public | location | table | bareos
public | locationlog | table | bareos
public | log | table | bareos
public | media | table | bareos
public | mediatype | table | bareos
public | ndmpjobenvironment | table | bareos
public | ndmplevelmap | table | bareos
public | path | table | bareos
public | pathhierarchy | table | bareos
public | pathvisibility | table | bareos
public | pool | table | bareos
public | quota | table | bareos
public | restoreobject | table | bareos
public | status | table | bareos
public | storage | table | bareos
public | tapealerts | table | bareos
public | version | table | bareos
(28 rows)
4.デーモンを起動する
Bareosをインストールした後は、Bareosのメインコンポーネントであるサービス(デーモン)を起動する必要があります。主要なデーモンは以下の3つです。
- Bareos Director daemon
- Bareos Storage daemon
- Bareos File daemon
Linuxの場合、systemdを使ってデーモンを起動できます。
デーモンを有効化
systemctl enable bareos-dir
systemctl enable bareos-sd
systemctl enable bareos-fd
デーモンを起動
systemctl start bareos-dir
systemctl start bareos-sd
systemctl start bareos-fd
デーモンを確認
systemctl status bareos-dir
systemctl status bareos-sd
systemctl status bareos-fd
インストール後、bconsoleコマンドを実行してBareosコンソールが立ち上がるかを確認します。
bconsoleはBareosのコンソールツールで、Bareosシステムを操作するためのコマンドラインインターフェースです。
bconsoleはBareosのディレクターデーモン(bareos-dir)に接続して操作を行います。コンソールを立ち上げると、asterisk(*)のプロンプトが表示され、そこでBareosの様々なコマンドを実行できるようになります。
# bconsole
Connecting to Director localhost:9101
Encryption: TLS_CHACHA20_POLY1305_SHA256 TLSv1.3
1000 OK: bareos-dir Version: 24.0.0~pre334.d2a8706ce (21 February 2024)
Bareos pre-release (UNSUPPORTED).
Get professional support from https://www.bareos.com
You are connected using the default console
Enter a period (.) to cancel a command.
*
このようにコンソールが立ち上がり、asterisk(*)のプロンプトが表示されれば、ひとまずBareosのインストールは成功です。
プロンプトが表示されない場合は以下のような形でFailします。
例)
# bconsole
Connecting to Director localhost:9101
Failed to connect to Director. Giving up.
手順を見直すか、ログを確認して原因を特定する必要があります。
問題なくプロンプトが表示されたら、Bareosの基本的なインストール作業は無事終了です。
この他に当然Ubuntuなどにもインストールは可能です。
基本的な流れは同様なので、詳細は公式をご確認ください。
次はバックアップ編になります。
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