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2年目エンジニアが新人メンターをして、気付いた学び

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Social Databank Advent Calendar 2025 の 19 日目です。

半年間、新人エンジニアのメンターをやって気付いた学びを書こうと思います。

自分は 2 年目エンジニアでメンターを担当するのは初めてだったため、事前に Udemy で 1on1 や OJT のやり方を一通り勉強しました。「ちゃんと準備したし、これでいけるだろう」と思っていたのですが、実際にはあまりうまくいきませんでした。

この記事では、Udemy で学んだことと、実際にやってみてうまくいかなかったこと、そして半年間メンターを担当して分かった自分なりの知見を共有したいと思います。

Udemy で勉強したこと

1on1 について

Udemy の 人気講師直伝/短時間で部下のやる気を促す「1on1 ミーティングの進め方」講座
を視聴しました。その中で、1on1 は評価や指示の場ではなく、新人のための時間だと学びました。

目的は、新人が今どこで詰まっているのかを整理し、前に進む手助けをすること。
メンターに求められるのは、答えを教えることよりも 聴くこと でした。

<傾聴>

  • 相手の言葉を繰り返す
  • 感情に共感する
  • 話を要約する
  • 適切な相槌を打つ

といったことを意識し、「ちゃんと聞いてもらえている」と感じてもらうことが大事だそうです。

<質問>

  • 限定質問(Yes / No)
  • 拡大質問(話を広げる)
  • 「10 点満点だと何点?」のような点数で聞く質問

を使い分けて、表面的な会話で終わらせないことがポイントだと学びました。

また、いきなり本題に入るのではなく、アイスブレイクや体調・メンタルの確認をすることで、話しやすい雰囲気を作ることも大事だとされていました。

新人の成長を促すための観点

1on1 を行うにあたって有効な観点として、will / can / must の3つが挙げられていました。

  • やりたいこと(will)
  • できること(can)
  • 求められていること(must)

この 3 つを整理しながら、新人のキャリアの方向性や成長を一緒に考えていく、という考え方です。

OJT で意識すべきこと

【OJT 担当者必見】教える・やらせる・直すを仕組み化する!“再現性ある育成”実践講座(育成計画書シート付き) を視聴して、実際の業務を通して育成する方法だと説明されていました。

すべてをコーチングで進めるのではなく、

  • ティーチング(やり方を教える)
  • メンタリング(経験を共有する)
  • コーチング(考えを引き出す)

を状況に応じて使い分けることが重要。

また、OJT では PDCA を回すことが大切で、特に Check(振り返り) を丁寧に行うことで、学びが定着すると学びました。

現実は甘くなかった

理論としては納得できる内容でしたが、実際にやってみると、思ったようには回りませんでした。

1on1 で悩みを深掘りできなかった

1on1 では、学んだ通りに聞きました。

  • 「困っていることはある?」
  • 「詰まっているところはある?」
  • 「質問はある?」

でもよく 「特にないです」 といった答えが返ってきました。

深掘りしようとしても会話が広がりにくく、今振り返ると、新人自身が「何が分からないか分かっていない状態」
課題を言語化できる前提で、1on1 をしてしまっていました。

「ティーチング」が必要な段階で「コーチング」をしてしまった

新人から、「仕事をしながら、スキルを身に付けたい!」と言われたことがありました。

前向きだと思い、その意向を尊重し、「タスクを任せる」、「口出しを控える」、「試行錯誤してもらう」を意識していました。

しかし、実際では

  • 何から始めればいいか分からない
  • 調べ方が分からない
  • 判断に時間がかかる

という状態が続きました。一年目であれば当たり前のことです。

「仕事しながら学ぶ」以前に、自分が前提としていた基礎力と相手の実際の基礎力にズレがあることに気づいてなかったんだと思います。

「考えさせる」を早くやりすぎた

Udemy で「答えをすぐに教えないことが大事」と学び、「どう思う?」「理由は?」とよく聞いていました。

でも今思うと、考えるための材料自体が足りていない状態で考えさせてしまっていた気がします。
知らないことについて考えさせるのは、学習というより、ただの負荷でした。

振り返り(Check)が弱かった

OJT では PDCA が大事だと学びましたが、特に Check(振り返り) が弱かったと思います。

  • タスクは終わる
  • 動くものはできる
  • しかし学んだ内容が言語化できない

結果として、同じところでつまずいたり、成長の実感を持ちにくくしてしまいました。

半年やって分かった「自分なりの正解」

半年間メンターをやって、今は下記のように考えています。

最初は「考えさせる」より「型を見せる」

新人のうちは、「何を考えればいいか?何を基準に判断すればいいか?」の前提がまだありません。

なので最初は、このようなことを意識した方が大事だと思います。

  • 実装例をたくさん見せて模写してもらう
  • 判断理由をわかりやすく言語化する
  • 考え方の型を渡す

主体性は「自由」ではなく「安心」の上に乗る

自由に任せすぎると、逆に不安になります。

  • 選択肢を提示する
  • レールを敷く
  • 失敗してもいい範囲を決める

その上で少しずつ任せることで、主体性が出てくるのだと思います。

振り返りは「成長の証拠」を残す時間

振り返りでは、

  • 何ができるようになったか
  • 次に活かせることは何か

を言葉に残すことが大事でした。

タスク完了より、成長を可視化することの方が重要でした。

Udemy は間違っていなかった

Udemy で学んだ内容自体は間違っていなかったと思います。ただ、使うタイミングと相手のフェーズが合っていなかった。

理論をそのまま当てはめるのではなく、状況に合わせて使う必要がありました。

これからメンターをやる人へ

2 年目で新人メンターをやるのは、正直かなり難しいです。

  • 自分も分からないことが多い
  • 正解が見えない
  • 常に不安になる

それでも、悩みながら向き合っている時点で、メンターとしての役割は果たしていると思います。

もし今、

  • 1on1 がうまくいかない
  • 育て方が分からない
  • 自信が持てない

と感じているなら、それはあなただけじゃないです。

この文章が、「自分だけじゃなかったんだ!」と思えるきっかけになれば嬉しいです。

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