ゼロから始めたテックブログ、1年を振り返る Part1
はじめに
弊社では2023年9月にテックブログを立ち上げました。1年経ったので振り返りを残そうと思います。
想定読者
- これから社内でテックブログを開設しようと考えている人
- テックブログを立ち上げたものの、過疎ってて困っている人
ここで話すこと
- ゼロから始めたテックブログが、どのように社内に浸透していったか
- 現在どうなっているか
ここでは話さないこと
- PageView数やLike数の伸ばし方(KPIに設定していないため)
- テックブログの有効性をどのように上司に理解してもらうか(最初から理解を示してくれていたため)
社内の立ち位置
社内としては技術広報という部署があるわけではありません。が、社外活動チームと名乗り、社内のエンジニアがテックブログを通した社外への発信活動をすることで、成長を促せるような環境作りをしていきました。
やってることとしては技術広報に近い存在かなと思っています。
運営メンバーは私含めて2名です。
社内のエンジニアは社員が25名、インターン生が30名程度となっています。
沿革
簡単にこの1年強、どんなイベントがあったかを書き出してみました。
- 2023年9月:テックブログ立ち上げ
- 2023年12月:アドベントカレンダー実施
- 2024年2〜3月:記事投稿キャンペーン実施
- 2024年9月:インターン生の記事が大バズり
- 2024年12月:アドベントカレンダー実施 ← イマココ
今回は「2023年12月:アドベントカレンダー実施」までを書きます。
どんな取り組みをしたか
テックブログを立ち上げてからはじめてのアドベントカレンダーを実施するまでにどんなことをしたのか、3つほどトピックを取り上げて書いていきます。
- テックブログを執筆する意味付け
- 執筆環境の構築
- 今週末には12月になるけど、アドベントカレンダーやろうぜ!
テックブログを執筆する意味付け
第一に、テックブログをなぜやるのか。その意味付けについてです。
会社の業務の一環としてやる以上、会社に対する説明責任、そして執筆してくれるエンジニアに対する説明責任が重要になってきます。
執筆してくれるエンジニアに対する説明責任
実は私自身はテックブログ立ち上げをした人間ではありません。メルカリの木下さんという方のスライドが印象に残っており、元々技術広報が面白そうだなとは感じていました。
最初にテックブログを立ち上げたのは おおば さんで、Zennの環境整備等をしてくれていました。弊社の「社外発表の勧め」というNotionには下記のスクショが貼られています。いい言葉ですね。
当初の目的は 「自社の技術力をアピールし、就職者を増やす」 と設定していました。しかし、私自身としてはこの目的は会社のための目的であり、運営チームが考えることであり、執筆者である社内のエンジニアにとっては書く理由にはなりにくいと考えました。
そこで、木下さんのスライドをベースに社外活動の執筆者向けの意味付けを再定義しました。
- アウトプットの機会を提供し、技術力の向上に繋げる
- 書いた記事が自らの資産となり、市場価値の向上に繋がる
- エンジニアコミュニティへの還元
意識したこととしては、 「執筆者の皆さんにとってメリットがありますよ」 というメッセージにすることです。執筆者には普段の業務の傍らで執筆をしてもらうことになります。そのため、業務に割くはずだった時間をテックブログの執筆に割くことになります。自分が業務を行うことで「評価されるはずだった時間を使って」です。そのため、なぜ書くのか、書くとどんなメリットがあるのかを明確に示す必要があると感じました。
会社に対する説明責任
会社にとってのメリットは
- エンジニアがアウトプットを通して成長する
- 技術ブランディングを通して優秀なエンジニアの採用につながる
など色々な側面があります。弊社の部長陣は、特に1つ目のエンジニアの成長を重視してくれていたため、エンジニアがテックブログを書きやすい環境整備をすることに集中できました。
執筆環境の構築
第二に、どのように執筆をしてもらい、どのようにレビューを実施し、公開していくのかです。
執筆環境の構築については、2023年のアドベントカレンダーで紹介しています。
簡単にモチベーションを説明すると、レビュアーが2人に対して、執筆者は30〜50人程度います。これらのレビューを効率的に管理・運営していくために、GitHubを使ったレビュー環境の構築をしました。
今週末には12月になるけど、アドベントカレンダーやろうぜ!
第三に、どのように最初のハードル、つまり「1記事目を書く」を乗り越えたかです。
2023年11月末のことです。
と思い立ちました。
理由としては、テックブログへの投稿数が少なかったためです。
9月にZennのPublicationを開設してから投稿された記事は2件のみでした。
アドベントカレンダー前の投稿数
11/27(月)に思い立ち、12/1(金)からアドベントカレンダーを開始するという、なんともチャレンジングな思い立ちでしたが、みなさんの協力のおかげで23記事投稿できました。
この短期間でアドベントカレンダーとして成立させるには、どうすればいいか。
考えた結果下記の2点を実行しました。
- クオリティは問わない
- 直接お願いしに行く
1つ目 「クオリティは問わない」
これは投稿のハードルを可能な限り下げる目的です。何事も初めて取り組むものに対しては不安がつきものだと思います。
- 何を書けばいいんだろう
- 読んでもらえるだろうか
- 技術的に間違っていたらどうしよう
など執筆する人にとってはさまざまな不安があると思います。しかし、はじめの一歩を踏み出さない限り、その不安は消えません。アドベントカレンダーという、いかにもちょうどいいイベントがあるのだから、これを機にはじめの一歩を踏み出して欲しかったのです。
(かくいう私も実はこれが初めての執筆でした。笑)
レビュアー側としても、誤字、脱字、読みやすさといったフィードバックに留め、記事としての新しさや技術的な難易度の高さといった観点でクオリティを求めることはしませんでした。
2つ目 「直接お願いしに行く」
不思議なもので、Slackで依頼されるよりも、直接お願いされると断りにくいですよね。ただそれだけです。
弊社は原則出社で業務をしているため、基本的には全員オフィスにいます。アドベントカレンダーを思いついた次の日には各席を回って「テックブログ書いてもらえませんか?」とお願いしにいきました。
ひとつ工夫した点でいうと、リレー形式にしたことです。
- まず1人目にお願いしにいきます。
- その人に「誰のテックブログを読みたいですか?」と聞きます。
- 名前が出てきた人の元に、1人目の人と一緒にお願いしにいきます。
この繰り返しです。私ひとりがお願いしにいくよりも、「あなたの書くテックブログが読みたいです!」と言ってもらえる方がモチベーションも湧きますよね。
この結果10枠程度を埋めることができました。そのあとはSlackで公募する形にしても、「自分も書いてみようかな」という気持ちになりやすい状況にできました。
11/27に思いつき、11/28に公募しました
これらの工夫もあり、ほぼ全員のエンジニアに1記事目を書いてもらえました。
アドベントカレンダーを振り返る
施策を実施したのなら、それは振り返らねばなりません。やりっぱなしはダメです。
アドベントカレンダーを実施した後、アンケートを取りました。
主には下記のような質問項目です。
- 書くモチベーションについて(複数回答可)
- 具体的に学びに繋がったことがあれば書いてください
- 執筆する上での要望などはありますか?
書くモチベーションについては、回答の18件中TOP3は下記のようになりました。
- アウトプットすること自体に価値を感じるから(13件)
- 書いた記事が自分の資産となるから(12件)
- 期限に追われていたから(9件)
1,2については、「執筆してくれるエンジニアに対する説明責任」の項目で定義した内容をモチベーションにしてくれているようでした。
より具体的には、
昔軽く調べただけだったものを人にわかりやすく伝えるために深く調べたり、整理することができました。
ログで他人に説明するために曖昧にしていた部分(例えばシェルスクリプトのシェバン#!/bin/bashとか、脳筋でおまじないのように書いていた部分だったり)を調べて自分の学びにもなった
自分の書いた記事がパブリックに公開されるというプレッシャーから変なことは書けないので、よく理解してから記事を書くようにしました。結果として調べるうちに理解が深まっていったと思います。
のような声があり、こちらからの意味付けをそのまま受け取ったのではなく、実際の経験として実感してもらえているようでよかったです。
3については、
期限がないと書けない人ではあります。
自分は締切とかがあると動きやすいです。。
本当は毎日のようにバンバン書いていきたい。
という声があり、期限が設定されることで今まで重かった腰をあげられたのかなとポジティブに捉えられました。
その他には
とはいえなんでもかんでも書けばいいって問題じゃないから質も評価できるといいなって思う。
ネタを見つけるのがちょっと大変かなと思いました。特に私はデザイナーなので、エンジニアにも有益になる様に…となると結構頭を使いました。書き始めると勢いつくのですが。
という声もあり、質をレビューできるような体制や、レビュアー側の執筆力、レビュー力、サポート力の向上は課題だなと感じています。
また、
インセンティブあったらうれしい
執筆することでインセンティブが得られるようにしてほしい。
インセンティブはなくてもいいけどあったら嬉しい。
といった声もあり、検討に載せる必要はありそうだなと感じました。
全体として、急ごしらえのアドベントカレンダー企画としては、十分な結果だったと言えそうです。
最後に
今回はここまでとしたいと思います。社内でテックブログをどのように運用し、どのように浸透させ、会社に価値を生み出していくのか、参考になれば幸いです。この後の話も可能な限り今年中に記事に起こしたいと思ってます。
新しいことを始めるのはいつでも不安が付き纏います。でも何事も挑戦が大事ですね。
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