Cephをとりまく状況
はじめに
本記事はRookと仲間たち、クラウドネイティブなストレージの Advent Calendar 2020 9日目を後からこっそり埋めたものです。
今後数年のCephの動向予測をします。機能的にどうこうという話はしなくて、どういう管理方法が主流になるとかどういう製品が出てくるかとかそういう話です。わたしはCephの製品を出している会社にいるわけではないので、あくまで外野としての意見です。
管理ツール乱立問題
Cephは非常に高機能です。10年以上にわたって多くの大規模ユーザが使ってきたため、ストレージ屋さんがとくに気にする使用実績についても申し分ありません。ただし使い勝手という面では課題があり、生のCephをそのまま使うのは大変という問題がありました。できたクラスタの管理も大変ですし、そもそもインストールが面倒です[1]。
Cephを管理するソフトウェアにはデファクトスタンダードというものが存在せず、長らくCephのユーザあるいはCephプロダクトのベンダが独自に管理ツールを開発、管理するというつらい状況が続いていました。
コンテナ化と管理ツールの共通化
2013年のDockerの誕生より、世間ではコンテナによるソフトウェアのデプロイが流行ってきました。Cephもインストールの辛さを緩和するために、DockerhubにおいてCephの公式コンテナイメージが提供するようになりました。
話はコンテナ化だけではありません。Cephプロジェクトとしては今後Cephの管理をコンテナベースでやっていきたいという意向を持っており、Kubernetes環境ではRook、そうでない環境ではcephadmを使おうということになっています。この話については公式ブログのIntroducing Cephadmという記事が詳しいです。
現状
RookはKubernetes上でCephを動かすプロジェクトとして確固たる地位を築いています[2]。すでに数十社が本番環境でRookを利用していますし、CNCFのgraduated projectにもなっています。これに加えてRed Hat社はすでに内部的にRookを使うCeph製品、Red Hat OpenShift Containert Storageという製品を出しています。SUSE社もSUSE CaaS PlatformへのSUSE Enterprise Storage 7のデプロイにRookを使えます。
cephadmについては歴史が浅いソフトウェアなので使っているユーザはまだまだ少ないとは思いますが、すでにSUSE Enterprise Storage 7はcephadmベースのツールでデプロイするようになっています。Red Hat社もRed Hat Ceph Storage 5においてcephadmを使うようです。滑り出しは順調に見えます。
おわりに
私がここ2,3年Ceph界隈のニュースを眺めて得た情報をもとにいろいろ書いてみました。今後どうなるかはまだまだわかりませんが、個人的にはRookとcephadmはどちらも好きなプロジェクトなので両方うまくいってほしいです。
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