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畳み込み積分の結合法則の証明

2023/11/20に公開

はじめに

大学院でフーリエ変換に関する講義を受けているのですが、その中で畳み込み積分の概念が出てきました。
畳み込み積分の結合法則の証明について、chatGPTに聞いてもググっても納得のいく答えが見つからなかったので、自分で何とか証明を行いました。
自分の備忘録もかねて、畳み込み積分の結合法則の証明について記載していきたいと思います。

畳み込み積分

畳み込み積分の概念については、こちらの解析動画がわかりやすかったです。
https://youtu.be/7ZMz8DFldNc?si=XU9qnUlwVPGQ7TgG

今回、畳み込み積分の解説は割愛しますが、定義は下式の通り。

(f*g)(t) = \int_{-\infty}^{\infty}f(\tau)g(t-\tau)d\tau

今回証明するもの

今回は下式(結合法則)が成り立つことを証明します。

\begin{equation} (f*g)*h(t) = f*(g*h)(t) \end{equation}

畳み込み積分の結合法則の証明

(1)の右辺について、

\begin{equation} (g*h)(t) = (h*g)(t) = \int_{-\infty}^{\infty}h(\tau)g(t-\tau)d\tau \end{equation}

(g*h)(t) = (h*g)(t) は畳み込み積分の交換則より成り立つ。(参考)

式(2)をy(t) とおくと、

\begin{equation} \begin{align*} f*(g*h)(t) &= \int_{-\infty}^{\infty}f(\tau')y(t-\tau')d\tau'\\ &= \int_{-\infty}^{\infty}f(\tau')\int_{-\infty}^{\infty}h(\tau)g(t-\tau'-\tau){d\tau}{d\tau'} \end{align*} \end{equation}

ここでフビニの定理より、積分の順序を入れ替えると下式の通り。

\begin{equation} \begin{align*} f*(g*h)(t) &= \int_{-\infty}^{\infty}f(\tau')\int_{-\infty}^{\infty}h(\tau)g(t-\tau'-\tau){d\tau}{d\tau'} \\ &= \int_{-\infty}^{\infty}h(\tau)\int_{-\infty}^{\infty}f(\tau')g(t-\tau'-\tau){d\tau'}{d\tau} \end{align*} \end{equation}

ここで、

\begin{equation} \begin{align*} \int_{-\infty}^{\infty}f(\tau')g(t-\tau'-\tau){d\tau'} = (f*g)(t-\tau) \end{align*} \end{equation}

のため、(5)を z(t-\tau)とおくと、(4)を下式の通り変換できる。

\begin{equation} \begin{align*} f*(g*h)(t) &= \int_{-\infty}^{\infty}h(\tau)\int_{-\infty}^{\infty}f(\tau')g(t-\tau'-\tau){d\tau'}{d\tau} \\ &= \int_{-\infty}^{\infty}h(\tau)z(t-\tau){d\tau} \\ &= (h*z)(t) \\ &= (h*(f*g))(t) \\ &= ((f*g)*h)(t) \because交換則が成り立つため \end{align*} \end{equation}

よって、((f*g)*h)(t) = (f*(g*h))(t) は示された。

おわりに

間違っているところや、こうした方がわかりやすいというところがあればコメントください。

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