2025年からのOneDriveのライフサイクル
はじめに
2025年1月からライセンスが割り当たっていないユーザーのOneDrive for Business(以下、OneDrive)のライフサイクルが変更されるそうなので改めてOneDriveの作成から利用停止までのライフサイクルをまとめてみます。
変更内容の詳細は平野あいさんのブログに詳細が記載されています。
ユーザー在籍時のOneDriveのライフサイクル
OneDrive領域の作成
OneDriveが有効なライセンスが割り当たっているユーザーが初めてOneDriveにアクセスすると、そのユーザー専用のOneDrive領域が作成されます。
実際にはOneDriveはSPOの機能が利用されておりユーザー専用のサイトコレクションが作成されるようなイメージです。
※SPOの話もするとボリュームが増えるので割愛します。詳細は「ひと目でわかるMicrosoft 365 SharePoint運用管理」で
UPNの変更
結婚で苗字が変更する場合など、ユーザーのUPNを変更する必要があるときがあると思います。
OneDriveのURLはユーザーのUPNが含まれているため、UPNの変更には注意する必要があります。
- https://<tenant name>-my.sharepoint.com/personal/<user principal name>
ピリオドなどの特殊文字はアンダーバーに変更されます。
詳しくは公開情報に記載されています。
例えば、 taro.tanaka@contoso.com
が taro.sasaki@contosonew.com
にUPNが変更されたとき、OneDriveのURLも新しいUPNに自動で変更されます。
ユーザーへの影響としてはURLが変わるため共有リンクやお気に入りに登録しているURLが機能しなくなるなどが考えられます。
しかし、OneDriveは他のM365サービスにも利用されているためTeamsやOneNoteなどにも影響が発生します。
そこまで大きな影響ではないですが公開情報にまとめられています。
また、発生する可能性は低いですが同姓同名といった以前削除したユーザーのUPNで新しいユーザーを作成したりUPNを変更したりすると、OneDriveにアクセスできない事象があるそうです。
M365管理センターの診断機能で解決でき、詳細は公開情報にあります。
できる限り使用したことがあるUPNは使わないようにした方が良いですが管理は難しいですよね。。
ユーザー退職時のライフサイクル
別のユーザーが退職者のOneDriveにアクセス
退職者が有給消化期間に入ったときに上司が退職者のOneDriveにアクセスできるようにできます。
- SPO管理センター > その他の機能 > ユーザープロファイル
- ひと > ユーザープロファイルの管理
- 退職者のアカウントを検索し、サイトコレクション所有者の管理
- 上司のアカウントやグループ(セキュリティグループも可)を追加
これで上司が退職者のOneDriveにアクセスできるようになりました。
サイトコレクション管理者になってしまえばOneDriveの右上の歯車の設定画面から上司自身で他のサイトコレクション管理者を追加できます。
引継ぎをしっかり行いましょう。
ここからはPurviewのアイテム保持ポリシーを設定している場合と設定していない場合で動きを見てみます。
ライセンスのないOneDriveの確認
SPO管理センターのレポート > OneDriveから確認できます。
アイテム保持ポリシーが適用されている場合は削除することはできません。
アイテム保持ポリシーがない場合
ユーザーアカウントの削除またはライセンスのはく奪
ユーザーアカウントの削除またはライセンスのはく奪を行ってから93日後にサイトコレクションのごみ箱に移動します。
ライセンスのはく奪をした場合、2025年1月以前は無期限で残っていましたが削除されるようになります。
使わないファイル等をずっと残しておくのはセキュリティ上よろしくないからです。
復元方法
デフォルトで存在するOneDriveの保持機能が既定値の場合
動作 | 期間 | 復元方法 |
---|---|---|
ユーザーアカウントを削除 | 30日以内 | ユーザーを復元してライセンスを再割り当て |
ライセンスをはく奪 | 93日以内 | ライセンスを再割り当て |
アイテム保持ポリシーがある場合
Purviewで5年間保持後削除というポリシーを作成しているとします。
OneDriveにも保持機能がデフォルトで存在しますがPurviewのポリシーが優先されるためここでは考慮しません。
ユーザーアカウントの削除またはライセンスのはく奪
ユーザーアカウントの削除またはライセンスのはく奪を行ってから93日後にMicrosoft 365 Archiveサービスのアーカイブに移動します。
また、アーカイブ状態でもコンテンツ検索やeDiscoveryは引き続き動作するとのことなのでその間はアーカイブからも削除されることはなさそうです。
※いずれ変更されるかも?
Microsoft 365 Archive機能はAzure従量課金制ですがライセンスのないOneDriveがアーカイブに移動しただけでは従量課金はされず、再アクティブを実行した月以降「すべてのライセンスのないOneDriveアーカイブ容量の料金」 がかかるようになるようです。
たとえば、組織にライセンスのない OneDrive アカウントが 100 個あり、それぞれが 1 TB を消費して合計 100 TB の場合、2025 年 1 月から 3 月の間に適用が行われ、ライセンスのない 100 個のアカウントは自動的にアーカイブされます。組織が 2025 年 10 月に特定のアカウントを再アクティブ化して課金を設定する必要がある場合、次のコストが発生します。
-1TB につき 0.60 ドル/GB の 1 回限りの再アクティベーション料金、合計 614.40 ドル。
-2025 年 10 月から、100 TB に対して月額 0.05 ドル/GB、合計 5,120 ドル/月となります。
https://learn.microsoft.com/en-us/sharepoint/unlicensed-onedrive-accounts#charges-from-archived-accounts
さすがに勝手に月額課金されるような仕様では今のところないようで安心です。
復元方法
動作 | 期間 | 復元方法 |
---|---|---|
ユーザーアカウントを削除 | 30日以内 | ユーザーを復元してライセンスを再割り当て |
ライセンスをはく奪 | 93日以内 | ライセンスを再割り当て |
アーカイブに移動 | 期間未定 | Azure従量課金に登録し再アクティブ化処理 |
1つアカウントを復元するにはアーカイブされたすべてのアカウントに課金する必要があります。
おわりに
間違っているところもあると思うのでご教示ください。
メールボックスについてもまとめようかなと思いました。
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