お前ら、Design Sprintって知ってるか?
※この記事は鈴鹿高専アドベントカレンダーの14日目の記事です。
知りません。Design Sprintって何ですか?
デザインスプリントは、Google Venturesがスタートアップ支援のために用いているプログラムで、スタートアップだけでなく企業の規模感に合わせて活用することが出来る柔軟なフレームワークになっています。Googleが運営している先進的な働き方事例などをまとめたWebサイト『re:Work』では、デザインスプリントを次のように紹介しています。
デザインスプリントとは、製品、サービス、またはプロセスにおけるアイデアを試すために使用される特定のプロセスのことで、チームまたは個人のイノベーション能力を養うことに焦点が置かれたデザイン思考プロセスとは異なります。スプリントは意図的に速いペースで進められ、チームは数日のうちに複数のプロトタイピングとテストを行います。対象となるのは、ハードウェアまたはソフトウェア製品、ビジネス ソリューションなどで、新たなツールや社内プロセスなどもこれに含まれます。
引用 Google re:wark デザイン思考でイノベーションを生み出す
Design Sprintのここがすごい!!
開発期間を数カ月→5日に短縮することで、将来の損失を回避する
- 高速開発プロセスなので、長時間かけて育てたプロダクトがお釈迦に...なんてリスクを最小限に減らすことができるわけです。時間が無駄になりません。
リアルな顧客の反応を知ることができる
- 自分達が立てたニーズ仮説は本当に正しいのか?本当にユーザに需要があるのか?実際に対象の顧客にインタビューして確かめることができます。「エンジニアは本当のユーザー視点に立てていない!!」という
有難いお言葉真理を頂くことがありますがその回避でもありますね。
チームコミュニケーション濃度が上がる
デザインスプリントの特徴として、プロジェクトの主要メンバー数名がチームとして各プロセスを集中的に実行します。そこでのコミュニケーションはかなり濃いものになり、各メンバーが考えていることや目指していることを共有するワークも入れながら進めることもあり、お互いを理解し共通認識を作りやすい状態になります。サービス開発は一朝一夕で作ることは難しく、長い道のりを超えるためのチームワークを高めることができます。
繰り返し行うことで結果の向上につながる
デザインスプリントは、繰り返し実施することが推奨されています。
1回目のスプリントでは、一つ一つのワークが未経験なメンバーも多くいますが、2回目のスプリントではある程度要領がわかるので各ワークの質も向上するわけです。1回目で出てきた課題に対してワークを可変して取り組むことでより、課題にフォーカスした状態で結果を導き出すことができます。
どういう進め方をするんですか
リモートでやる場合はmiroを使うのがおすすめです。テンプレが用意されています。
miroを使っている様子
Day1(理解、定義)
1.達成したい目標を決める。
今回のDesign Sprintで達成したい目標は何なのかをチームメンバーと共有し相互認識を深めます。
2.目標を達成するために必要な課題解決を定義する。
目標を達成するために解決すべき課題を洗い出し決定します。
Day2(発散)
1.既存サービスの調査
他のサービスやプロダクトを調査し、課題解決に活かせそうなものをチームで共有します。
2.アイデアスケッチ
調査を参考にしながらアイデアをスケッチします。頭の整理程度の軽い感じで良いです。
3.Crazy8’s
各々がスケッチしたアイデアの中で1番良いものを元に更に8パターンのアイデアを出します。
これを1アイデアにつき30秒から1分という超短時間で行います。短時間で沢山のアイデアを創出・発散させることが目的なので、美しいスケッチや辻褄の合う完璧なアイデアを出す必要はありません。
3.ソリューションスケッチ
Crazy8で絞り出したアイデアを選んで具体的なUIをスケッチしていきます。文言などもリアルにし、実現可能で現実的なものに仕上げます。
Day3(決定)
1.スケッチ共有
Day2で仕上げた各自のソリューションスケッチを見比べ、良いと思ったもの(スケッチ全体でも機能単位でも良い)にペタペタシールを貼っていきます。シールを貼り終わった後に各自軽いプレゼンをします。
2.投票タイム
1番良いと思ったものに投票を入れます。1つしか選べないのでみんなここで頭を抱えるわけですね。
3.決定者投票タイム
メンバーの意見、投票を参考にあるいは独断でプロトタイプを作成するソリューションを決定者が投票します。(決定者はスタートアップならCEO, チームならばリーダー的な人)
Day4(試作)
1.役割を決める。
- メイカー
作成された画面をもとにプロトタイプを作成する人。 - スティッチャー
全体構成する人。全体の進行管理も担う。 - コレクター
プロトタイプ用の画面を作成する人。
ネットから画像やアイコンを集めたり、既存のパーツを持ってくる。 - ライター
プロトタイプの言い回しなどライティングを行う。 - インタビュアー
当日のインタビューをやる人。インタビューシナリオを準備する。
この5つに分かれてプロトタイプ作成を行います。
2.つくる。
プロトタイプを、作ります。コードを書く必要はありませんが画面遷移なども実装できると良いです。
(ユーザーが実際に触るプロダクトに極限まで近づける)
Day5(検証)
1.プロトタイプのユーザーテスト&インタビュー
プロトタイプを実際にユーザーに触ってもらいます。
ユーザーがプロトタイプをどのように使うのかを観察して、Day1から立ててきた仮説の検証を行います。ここでユーザビリティテストを行うと
- 開発目的とそれに対する設計が一致しているか
- ユーザーの操作に迷いや間違いが無いか
- ユーザーは実行結果をきちんと知覚しているか
- 製品AとBどちらが優れているのか
- 今まで使っていた人が使えるのか
などを見ることができます。
自分が過去に行ったデザインスプリントだと自分達が意図した手順とは違った使い方、どう動かせばいいのかが分かりにくい。といったフィードバックをいただくことがありました。完全にUXが崩壊していますね。そういったフィードバックを元に改善へと動くのが目的の一つです。
まとめ
Design Sprintの醍醐味でもあり難しいところはそのスピード感です。とりあえず爆速で作ってみてハマらなかったらボツor修正。ハマったら資金投資して開発開始。みたいなことができるのがウリです。長い時間かけてアイデアをひねるのもいいですが、短期間で素早くアウトプットするのも面白いので新規企画立案をする機会があれば是非試してもらえると嬉しいです。
本がある
デザインスプリントの実施にあたっては、GV(旧Google Ventures)で多くのデザインスプリントを指揮し、スプリントの生みの親でもあるジェイク・ナップ著の「SPRINT」が参考になります。
弊学の皆さんで興味ある人は是非一緒にやりましょう。おしまい。
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