ファイアウォール入門 - Cyber Security Roadmap
はじめに
ネットワークセキュリティの基礎として、まず学ぶべきものの一つがファイアウォール(防火壁) です。ファイアウォールは、ネットワークへのアクセスを制御するための重要なセキュリティ技術であり、攻撃や不正アクセスからシステムを守る「防壁」の役割を果たします。
今回の記事では、以下の内容を通じてファイアウォールの基本とその仕組みを学びます。
- ファイアウォールとは?
- ファイアウォールの主な種類
- ファイアウォールの仕組み
- 基本的なルールの設定例
- セキュリティ強化のための基本的な戦略
ファイアウォールとは?
ファイアウォールは、ネットワークトラフィック(データの流れ)を制御するためのシステムやデバイスを指します。トラフィックを監視し、あらかじめ設定しておいたルールにしたがって許可または拒否することで、内部ネットワークと外部ネットワーク(例:インターネット)の間に「防御の壁」を作ります。
ファイアウォールの役割
-
ネットワークの保護:
攻撃者が外部からネットワークに侵入するのを防ぎます。 -
不要な通信の制限:
企業や組織のポリシーに基づいて、特定の通信をブロックします。 -
攻撃の検知と防止:
不審な活動を検知し、アラートを上げたりブロックしたりします。
ファイアウォールの主な種類
ファイアウォールには、用途や機能に応じていくつかの種類があります。それぞれの特徴を見てみましょう。
1. ネットワークファイアウォール
- 物理デバイスやソフトウェアとして、ネットワーク全体を保護します。
- 主に企業やデータセンターで利用されます。
2. ホスト型ファイアウォール
- 個々のデバイス(PCやサーバー)を保護します。
- Windowsの「Windows Defender」やmacOSの「Firewall」が代表的です。
3. 次世代ファイアウォール(NGFW)
- 従来のファイアウォール機能に加え、アプリケーションレベルでの細やかなトラフィック解析や脅威検知機能を搭載しています。
- 様々なネットワーク環境に適用し、多様なサイバー攻撃を検知・防止できます。
4. Webアプリケーションファイアウォール(WAF)
- Webアプリケーションを保護するためのファイアウォールです。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)といった、Webアプリ特有の攻撃から保護します。
- AWSの「AWS WAF」やアプライアンス型(ソフトウェアとハードウェアのセット)のWAFがあります。
ファイアウォールの仕組み
ファイアウォールは、主に以下の方法で通信を制御します。
1. パケットフィルタリング
- トラフィックの各パケット(データの小さな単位)を分析し、特定のルールに基づいて通過を許可または拒否します。
- 例:ポート番号やIPアドレスに基づいて制御。
2. ステートフルインスペクション
- トラフィックの状態(セッション情報)を追跡し、正当な通信かどうかを判断します。
3. アプリケーションレベルゲートウェイ
- アプリケーションデータを解析し、不正なデータや動作を検出します。
- 例:特定のウェブアプリケーションに対する攻撃をブロックする。
基本的なルールの設定例
ファイアウォールを適切に設定することで、セキュリティを大幅に向上させることができます。以下は基本的な設定例です。
1. デフォルト拒否ポリシー
すべての通信をデフォルトで拒否し、必要な通信のみ許可する設定です。
- すべての外部トラフィックを拒否
- HTTP/HTTPS(80, 443番ポート)を許可
- 特定の内部IPアドレスからのSSH(22番ポート)を許可
2. アクセス制御リスト(ACL)の設定例
以下のACLルールでは、特定のIPアドレスからの通信のみを許可します。
- 許可: 192.168.1.100 から 192.168.1.200 へのトラフィック
- 拒否: その他すべて
セキュリティ強化のための基本的な戦略
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ルールの最小化
必要最低限の通信のみを許可する設定を徹底します。 -
ログの監視
ファイアウォールのログを定期的に確認し、不審な活動を早期に発見しましょう。 -
ルールの定期見直し
時間の経過とともに不要になったルールを削除し、設定を最新の状態に保つようにします。 -
アップデートの実施
ファイアウォールソフトウェアやデバイスのファームウェアを最新にすることで、新たな脅威にも対応します。
まとめ
ファイアウォールは、セキュリティ対策の第一歩として欠かせない基本的なツールです。その仕組みや種類を理解し、適切に選択・設定することで、ネットワークを外部の脅威から守ることができます。
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