CyberChef入門 - Cyber Security Roadmap
はじめに
サイバーセキュリティやデータ解析をしていると、文字列やデータを変換・解析する必要がある時があります。そんな時に役立つのがCyberChefです。CyberChefは、文字列のエンコード、デコード、暗号化、データ解析などを簡単かつ効率的に行えるオンラインツールで、セキュリティエンジニアやプログラマーにとっての「万能ツール」として広く利用されています。
今回の投稿では、以下の内容を通じてCyberChefの基本を学んでいきます。
- CyberChefとは?
- CyberChefの基本操作
- 代表的な機能と使い方
- 活用例
- 使用時の注意点
CyberChefとは?
CyberChefは、GCHQ(英国の政府通信本部)が開発したウェブアプリケーションで、データ変換や解析のさまざまな操作をドラッグ&ドロップで簡単に行えるツールです。以下のような特徴があります。
特徴
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直感的なインターフェース
操作はすべてドラッグ&ドロップで行え、プログラミング知識がなくても利用可能。 -
多機能
エンコード/デコード、暗号化/復号、データ解析、ファイル変換など、多数の機能を一つのツールで提供。 -
軽量で高速
ブラウザ上で動作し、インターネット接続がなくても利用可能(オフライン版のダウンロードが可能)。 -
自由度の高いワークフロー
さまざまな操作を組み合わせてカスタマイズ可能。
CyberChefの基本操作
CyberChefの操作は非常に簡単です。以下の手順で使い方を見ていきましょう。
1. 入力エリアにデータを貼り付ける
画面左側の入力エリアにテキストやバイナリデータを貼り付けます。ファイルのドラッグ&ドロップも可能です。
2. 操作(レシピ)を選択
画面右側にある「Operations」パネルから、目的の操作(例:Base64 Decode、Hex to Textなど)を選び、中央の「Recipe」エリアにドラッグ&ドロップします。
3. 結果を確認
操作が適用された結果が、画面下部の「Output」エリアにリアルタイムで表示されます。
代表的な機能と使い方
CyberChefには多種多様な機能がありますが、以下は特に役立つ基本機能の一部です。
1. エンコードとデコード
データをさまざまな形式に変換できます。
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Base64 Encode/Decode
入力: Hello, World! 出力: SGVsbG8sIFdvcmxkIQ==
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Hex to Text
入力: 48656c6c6f 出力: Hello
2. 暗号化と復号
データを暗号化したり、既存の暗号を復号したりできます。
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AES暗号化
パスワードを入力してテキストをAESで暗号化。 -
ROT13(文字列シフト)
アルファベットを指定の回数だけシフトする簡単な暗号。
3. データ解析
データのパターンや統計情報を確認できます。
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Entropy Calculation
入力データのランダム性(エントロピー)を計算。 -
Find Strings
バイナリデータの中から可視文字列を抽出。
4. ファイル操作
ファイルに含まれるデータを解析したり、形式を変換できます。
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ファイル分割/結合
大容量ファイルを分割したり、複数のファイルを結合可能。 -
Hex Dump
ファイルのバイナリデータを16進数形式で表示。
活用例
例1: Base64デコード
- サーバーログに不審なBase64形式の文字列を発見。
- CyberChefで「Base64 Decode」を適用。
- デコードされた文字列が攻撃者のコマンドであることを確認。
例2: 暗号化されたデータの解析
- 受信したデータをCyberChefにドラッグ&ドロップ。
- 各種暗号化アルゴリズムを適用して復号を試みる。
- 暗号化解除後、不正なアクセスキーが埋め込まれていることを発見。
例3: HEXデータの人間可読化
- バイナリファイルをCyberChefで開く。
- 「Hex to Text」を適用し、埋め込まれたテキストデータを抽出。
使用時の注意点
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機密情報の扱いに注意
- CyberChefはオフラインでも動作可能ですが、オンライン環境で機密データを扱う場合はセキュリティに注意が必要です。
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レシピの順序に気をつける
- 操作の順番が結果に影響を与える場合があります。必要に応じて順序を変更しましょう。
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複雑なレシピは保存可能
- 複数の操作を組み合わせたレシピは保存して再利用できます。
まとめ
CyberChefは、データ変換や解析を効率化する強力なツールです。その直感的な操作性と多機能性から、セキュリティエンジニアだけでなく、あらゆるIT業界の人にとって役立つツールです。
まずは基本機能を試してみて、自分の作業フローの中の選択肢に組み込んでみると、その万能さから効率化を図れるかも知れません。
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