Day 32: Burp Suite入門 - セキュリティテストの基礎
はじめに
Webアプリケーションのセキュリティテストを行う際、「OWASP ZAP」や「Burp Suite」というツールが名前に挙がります。今回はBurp Suiteに関して掘り下げていきます。
Burp Suiteは、Webアプリケーションのペネトレーションテストや脆弱性スキャンを効率的に行うための強力なツールです。無料版のCommunity Editionや、有料版のProfessional Editionまで幅広く利用されています。
この投稿では以下の内容を通じて、Burp Suiteの基本的な使い方と活用方法を学んでいきます。
- Burp Suiteとは?
- インストールとセットアップ方法
- 基本的な機能の使い方
- 実践的な活用例
- 使用上の注意点
Burp Suiteとは?
Burp SuiteはPortSwigger社が開発した、Webアプリケーションセキュリティテストのためのツールです。その特徴は以下の通りです:
- プロキシ機能:リクエストとレスポンスをインターセプト(途中で捉える)して確認・編集できます。
- スキャナー:脆弱性を自動的に検出する機能があります(有料のProfessional Editionのみ)。
- カスタムツール:リクエストを簡単に送信し、詳細な分析や攻撃を行えます。
- 豊富な拡張機能:必要に応じて機能を追加でき、幅広い用途に対応することができます。
インストールとセットアップ方法
Burp Suiteの利用を始めるには、以下のような手順があります。
1. ダウンロード
PortSwigger公式サイトからBurp Suiteをダウンロードします。Community Edition(無料版)でも十分に基本機能を試すことができます。
2. インストール
ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを完了させます。Windows、macOS、Linuxに対応しています。
3. プロキシ設定
Burp Suiteはブラウザとの連携が必要です。以下の手順でセットアップします:
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Burpのプロキシを有効化
Burp Suiteを起動し、Proxyタブからプロキシを有効にします。デフォルトで127.0.0.1:8080が設定されています。 -
ブラウザの設定変更
使用するブラウザでプロキシ設定を変更し、Burp Suiteを経由するようにします。FirefoxやBurp専用ブラウザ(Burp Browser)の利用が一般的です。 -
Burp証明書のインストール
HTTPS通信を扱う場合、Burp Suiteの証明書をインポートする必要があります。これにより、暗号化された通信もインターセプトできます。
基本的な機能の使い方
1. Proxy(プロキシ)
Burp Suiteの核となる機能です。ブラウザとサーバー間の通信をインターセプトして確認・編集できます。
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リクエストの編集
インターセプトしたリクエストを編集し、任意のデータを送信可能。 -
レスポンスの確認
サーバーからの応答を確認し、出力データを分析します。
2. Repeater(リピーター)
特定のリクエストを繰り返し送信し、レスポンスを比較するためのツールです。
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用途:
SQLインジェクションやXSSのような攻撃手法のテストに利用されます。
3. Intruder(イントルーダー)
パラメータを自動的に変更しながら攻撃を試行するツールです。リスト型攻撃や辞書攻撃に適しています。
-
例:
ログインフォームに対するブルートフォース攻撃。
4. Scanner(スキャナー)
Professional Edition限定の機能で、Webアプリケーション全体の脆弱性をスキャンします。
5. Extender(エクステンダー)
Burp Suiteにプラグインを追加して、機能を拡張できます。拡張機能は、PortSwiggerのBApp Storeから入手可能です。
実践的な活用例
例1: リクエストの改ざん
-
リクエストをキャプチャ
Proxyタブを使用して、フォームデータの送信リクエストをキャプチャします。 -
データの編集
リクエスト内のパラメータを変更(例:価格やIDなど)。 -
レスポンスを確認
編集後のデータがどのように処理されるか確認します。
例2: SQLインジェクションのテスト
-
フォームにSQL文を入力
' OR '1'='1
などの一般的なSQLインジェクションコードを入力。 -
Repeaterで確認
リクエストをRepeaterに送信し、レスポンスを比較。 -
挙動を分析
エラーメッセージや不審な動作が確認できれば、SQLインジェクションの可能性を特定できます。
例3: XSS(クロスサイトスクリプティング)の検出
-
スクリプトをフォームに入力
<script>alert("XSS")</script>
のようなスクリプトを入力。 -
レスポンスの確認
入力値がどのように表示されるかを確認します。
使用上の注意点
-
許可された環境でのみ使用する
Burp Suiteを使用する場合、必ずターゲットの所有者や管理者から許可を得てください。無許可での使用は法律違反となる可能性があります。 -
ログの管理
Burp Suiteはすべての通信を記録するため、ログが漏洩しないように注意が必要です。 -
最新バージョンの使用
セキュリティツール自体にも脆弱性が見つかることがあるため、常に最新バージョンを使用する必要があります。
小テスト
Q1: Burp Suite の主な用途は何ですか?
a) Webアプリケーションのデザイン作成
b) Webアプリケーションのセキュリティテスト
c) データベースの設計と管理
d) フロントエンドのパフォーマンス改善
Q2: Burp Suite の Proxy 機能でできることはどれですか?
a) 通信内容の記録と編集
b) データベースのスキャン
c) JavaScriptコードの難読化
d) サーバーの自動構築
Q3: Repeater 機能の主な用途はどれですか?
a) リクエストの定期送信をスケジュールする
b) 特定のリクエストを繰り返し送信し、レスポンスを比較する
c) 通信の暗号化を解除する
d) サードパーティのプラグインを追加する
Q4: SQLインジェクションのテストで使用される Burp Suite の機能は次のうちどれですか?
a) Proxy
b) Repeater
c) Extender
d) Scanner
Q5: Burp Suite を使用する際に気をつけるべき点はどれですか?
a) 許可された環境でのみ使用する
b) ログを適切に管理する
c) 最新バージョンを使用する
d) 上記選択肢のすべて
解答
-
b) Webアプリケーションのセキュリティテスト
- Burp SuiteはWebアプリケーションの脆弱性検出やセキュリティ評価を行うためのツールです。
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a) 通信内容の記録と編集
- Proxy機能では、クライアントとサーバー間の通信をキャプチャし、リクエストやレスポンスを確認・編集できます。
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b) 特定のリクエストを繰り返し送信し、レスポンスを比較する
- Repeaterはリクエストを簡単に変更し、異なるレスポンスを比較するために使用されます。
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b) Repeater
- SQLインジェクションのテストでは、Repeaterで不正なSQL文を送信し、レスポンスを確認することで脆弱性を特定します。
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d) 上記選択肢のすべて
- Burp Suiteは非常に強力なツールですが、無許可の使用は法律違反になる可能性があります。また、ログ管理や最新バージョンの利用も重要です。
まとめ
このようなBurp Suiteなどのセキュリティテストツールは、テストの効率化に大きく寄与します。そのためセキュリティテストにおいては基本的かつ不可欠なツールです。そのプロキシ機能やリピーター、イントルーダーを活用することで、効率的に脆弱性を発見し、改善策を講じることができます。
一方で、使用には法律や倫理的な責任が伴います。必ず許可を得た環境でのみ使用し、正しいセキュリティ対策を行うためのツールとして活用する必要があります。
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