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Day 37: SIEM入門 - SIEMの基礎

2024/11/29に公開

はじめに

ネットワークセキュリティの分野で、「SIEM(シーム)」という言葉があります。これはSecurity Information and Event Management(セキュリティ情報イベント管理) の略で、ネットワークの安全を守るためのツールや手法を指しています。

簡単に言うと、SIEMは大量のログデータを収集し、そこからセキュリティに関する異常(インシデント)を発見して対策を講じるための仕組みです。現代のセキュリティ対策においては、SIEMは重要な役割を果たしています。

今回の投稿では、以下の内容を通じてSIEMの基本と活用方法について学んでいきます。

  • SIEMとは?
  • SIEMの仕組み
  • SIEMの主要な機能
  • 実際の活用例
  • 基本的な戦略

SIEMとは?

SIEMは、セキュリティ関連のイベントデータをリアルタイムで収集し、異常を検知・分析するための システムです。以下の特徴があります。

特徴

  • ログの一元管理
    ネットワーク内のすべてのデバイスやアプリケーションからログを収集し、中央で管理する。
  • リアルタイムの異常検知
    不審な動きやサイバー攻撃を即座に検知する。
  • インシデント対応のサポート
    発見した問題に対する適切な対応をガイドする。
  • 法規制への対応
    コンプライアンス(例:GDPR、HIPAA)に必要なログ監査を支援する。

SIEMの仕組み

SIEMは、以下の3つのプロセスを通じて機能します。

1. ログ収集

  • ネットワーク内のデバイス(ファイアウォール、サーバー、アプリケーションなど)からログデータを取得。
  • ログ形式が異なる場合でも、SIEMはこれを統一的に管理することができます。

2. 分析と異常検知

  • 収集したデータを分析し、特定のルールやパターンに基づいて異常を検出します。
  • 例:同じIPアドレスからの大量のログイン失敗があれば、ブルートフォース攻撃の可能性を警告する。

3. アラート生成

  • 異常を検知した際に、管理者にアラートを送信。
  • アラートは優先度やリスクレベルに応じて分類されます。

SIEMの主要な機能

SIEMにはさまざまな便利な機能があります。ここでは代表的なものを紹介します。

1. ログの収集と集約

すべてのセキュリティイベントを一元的に収集し、可視化する機能です。これにより、問題の原因を迅速に特定できます。

2. 相関分析

複数のログやイベントを関連付けて分析し、単独では見逃される可能性がある攻撃パターンを検出します。

3. レポート生成

セキュリティ状況をまとめたレポートを作成し、経営層や規制機関に提出できます。

4. 自動化されたインシデント対応

攻撃が検知された際、事前に設定したルールに基づいて自動で対策を実行します。


実際の活用例

例1: RDPブルートフォース攻撃の検出

  1. SIEMがWindowsログを監視。
  2. 短時間に複数回のログイン失敗を検出。
  3. 攻撃元のIPアドレスを自動でファイアウォールにブロック。

例2: マルウェア感染の早期発見

  1. ファイルサーバーの異常なファイルアクセスログを検知。
  2. 同時に複数の端末から不審な通信が確認される。
  3. 管理者に警告を送り、被害拡大を防止。

例3: 内部不正の監視

  1. 通常業務では発生しない深夜のログインを検出。
  2. 管理者が詳細を確認し、不正アクセスを未然に防ぐ。

基本的な戦略

  1. 正しい設定を行う
    SIEMの設定が不適切だと、誤検知や見逃しが発生します。ルールを定期的に見直しましょう。

  2. ログの保存期間を設定
    法規制によっては、一定期間ログを保存する必要があります。運用ポリシーに従いましょう。

  3. 過剰なアラートを防ぐ
    不要なアラートが多いと、本当に重要なインシデントを見逃す可能性があります。必要なアラートのみを設定します。

  4. スケーラビリティを考慮
    ネットワークが拡大しても対応できるSIEMソリューションを選択する。


小テスト

Q1: SIEM(Security Information and Event Management)の主な目的は何ですか?

a) ネットワークトラフィックの増加を防ぐ
b) セキュリティ関連のイベントデータを収集・分析し、異常を検知する
c) 新しいファイアウォールルールを生成する
d) ソフトウェアのパッチ管理を行う


Q2: SIEMが収集するログデータの主な例として適切でないものはどれですか?

a) ファイアウォールのログ
b) アプリケーションのイベントログ
c) IoTデバイスの稼働時間ログ
d) サーバーのアクセスログ


Q3: SIEMの相関分析機能の目的は何ですか?

a) ネットワークの速度を向上させる
b) 複数のログやイベントを関連付けて、単独では見逃される可能性がある攻撃を検出する
c) コンピュータの動作を高速化する
d) ウイルスを自動的に削除する


Q4: 次のうち、SIEMの機能に該当するものを選びなさい。(複数あり)

a) ログデータの収集と集約
b) 自動でプログラムをインストール
c) 異常検知とアラート生成
d) レポート生成


Q5: SIEMを効果的に運用するために必要な戦略として適切でないものはどれですか?

a) 過剰なアラートを防ぐために、必要なアラートのみを設定する
b) ログデータを無期限に保存する
c) 正しいルール設定を行い、定期的に見直す
d) ネットワークの拡大に対応できるスケーラビリティを考慮する


解答

A1: b) セキュリティ関連のイベントデータを収集・分析し、異常を検知する

SIEMは、セキュリティイベントを収集・分析して異常を検知し、迅速な対策を支援するシステムです。


A2: c) IoTデバイスの稼働時間ログ

SIEMはセキュリティ関連のログデータを収集しますが、IoTデバイスの稼働時間は通常その対象には含まれません。


A3: b) 複数のログやイベントを関連付けて、単独では見逃される可能性がある攻撃を検出する

相関分析機能は、異なるソースからのログやイベントを統合して、潜在的なセキュリティリスクを明らかにします。


A4: a) ログデータの収集と集約

A4: c) 異常検知とアラート生成

A4: d) レポート生成

これらはSIEMの主要な機能で、セキュリティの可視化とインシデント対応を支援します。


A5: b) ログデータを無期限に保存する

無期限のログ保存はリソースを圧迫する可能性があり、法規制に従った適切な保存期間を設定する必要があります。


まとめ

SIEMは、ネットワーク全体のセキュリティ状況を可視化し、異常を検知・対処するための強力なツールです。その機能を理解し適切に活用することで、セキュリティリスクを大幅に低減することが可能です。

一方で、SIEMの効果を最大化するには、設定や運用体制が重要です。正しいルール設定と効果的なモニタリングを通じて、安全なネットワーク環境を構築することができます。

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