ルーティング (Routing)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| ネットワーク間で最適な経路を選び、パケットを転送する仕組み。ルーターが宛先IPに基づき経路を判断する。 |
route(道・経路)+ing(動作)。もともとは「航路」や「街道」を意味する英単語で、データの“通り道”を指すが、"ルートを決める"意味合いで使われる。 |
ネクストホップ (Next Hop)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| パケットを目的地に送るための次の中継先ルーターのこと。インターフェースのIPアドレスで指定する。 |
next(次の)+hop(飛び移る・飛躍する)。パケットが“次に飛ぶ先”を表現したネットワーク用語。 |
ロンゲストマッチ (Longest Match)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| パケットの宛先に一致する経路が複数あった場合、ルーティングテーブル内で最も一致ビット数が多い経路(最も詳細な経路)を優先して選択する仕組み。 |
longest(最も長い)+match(一致)。英語のまま「最も長く一致したアドレス範囲を選ぶ」ことを意味する。 |
スタティックルーティング (Static Routing)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| 管理者が手動で設定する固定経路。変更が少ないネットワークで利用される。 |
static(静的・固定の)+routing(経路制御)。動的に変化しないことが語源の「static」に由来。 |
設定コマンド
(config)#ip route <宛先IPアドレス> <サブネットマスク>
[ネクストホップアドレス|インターフェース> <AD値(任意)>
ダイナミックルーティング (Dynamic Routing)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| ルーター同士が自動的に経路情報を交換・更新する仕組み。ネットワークの変化に柔軟に対応する。 |
dynamic(動的・変化する)はギリシャ語「dynamis(力)」に由来。状況に応じて力強く動く性質を表す。 |
コマンドについては次の章で詳しく書きます。
この2つのルーティングの仕組みは、例えるなら「手取り足取り教えなければいけない指示待ち族」と、「イレギュラーなことにも柔軟に対応できるできるバイトくん」のような感じでしょうか。
ホストルート (Host Route)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
|
特定の1台のホスト(IPアドレス)へのルート。サブネットマスクが /32 の経路。 |
host(接待する人・主要な存在)+route(経路)。ネットワーク上の“個別の主役”を指す。 |
設定コマンド
(config)#ip route <宛先IPアドレス> <255.255.255.255>
[ネクストホップアドレス|インターフェース> <AD値(任意)>
該当するアドレスが1つしかない状態(/32)なので直通ライン、のような感じでしょうか。
デフォルトルート (Default Route)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| ルーティングテーブルに一致する経路がない場合に使われる最終的な転送先ルート。 |
default(既定・初期)+route(経路)。英語では「選択されなかったときの標準設定」という意味。インターネットには無数のアドレスが存在するため、主にインタネットに接続するためのルートとして全てのアドレスが当てはまるよう設定される。 |
設定コマンド
(config)#ip route <0.0.0.0> <0.0.0.0>
[ネクストホップアドレス|インターフェース> <AD値(任意)>
ロードバランシング (Load Balancing)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| トラフィックを複数の経路や機器に分散させることで、負荷を均等にする技術。経路が複数あり、AD値も同じ場合だった時、パケットを分散する。 |
load(負荷)+balance(釣り合いを取る)。重さを均等に分けるという物理的意味から派生。 |
pingコマンド (Ping Command)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| ネットワーク上の相手ホストにICMPパケットを送り、通信可能か応答時間を確認するコマンド。 |
pingは「ソナーの反響音」を擬音化した言葉。魚群探知機の“ピン”という音が語源。 |
ターミナルやコマンドプロンプト
フローティングスタティックルート (Floating Static Route)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
|
バックアップ用に設定する静的ルート。通常ルートがダウンしたときにのみ有効になる。AD値は通常ルートより高くなるよう設定する。 |
ルーティングテーブルには記載されない。float(浮く・浮動する)から裏ルートや隠しルートのようなイメージ |
プロセスウィッチング (Process Switching)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| ルーターがCPU処理によって1パケットずつ転送先を判断する方式。最も基本的で汎用的だが、処理負荷が高く速度は遅い。 |
process(処理・工程)+switching(切り替え)。データ転送を「逐次的にプロセス(処理) |
ファストスウィッチング (Fast Switching)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| キャッシュ(cache)を利用してパケット転送を高速化するルーティングの転送方式。 |
cache=隠し場所。fast(速い)+switching(切り替え)。初めて転送した時に記録したMACアドレなどをキャッシュに記憶させて、すぐ参照できるようにする。 |
ちなみにcashと発音も同じですが別です。
「この宛先へ送るときはこのMACアドレスを使って、このインターフェースから送る」という情報を入れておくところをキャッシュと呼んでいる。
流れてきたパケットを全部ルーティングテーブルと照らし合わせてから転送していたことを、履歴を確認できるようにした感じです。さらに発展させたシスコ独自の方法がCEF。
CEF(Cisco Express Forwarding)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| Cisco独自の最も高速なパケット転送方式。FIB(Forwarding Information Base)というパケット送信に特化したものを使用して、アジャセンシーテーブル作成し転送する。 |
Express(迅速な)+Forwarding(転送)。宅配便の“エクスプレス便”のように、即時処理のニュアンス。 |
CEFの動作フロー(実際のルーター内部)
- パケットを受信
- 宛先IPを読み取る
- FIBを参照して、該当プレフィックスをすぐに特定(ハードウェアレベルで一瞬)
- Adjacencyテーブルを参照して、送信に必要なL2ヘッダ情報(MACなど)を取得
- L2ヘッダを付けて転送
アジャセンシーテーブル (Adjacency Table)
| 定義 |
名前の由来・豆知識 |
| CEFで利用される隣接ルーターや次ホップ情報の管理表。 |
adjacency(隣接・近接)+table(表)。ラテン語「ad(〜の方へ)」+「jacere(投げる)」が語源で、“隣にある”の意。 |
おわりに
IT業界に無縁だった私でも、ルーターは馴染みのある機器の一つだと思いますが、「ルーターの役割ってこんなに多かったんだ...」と思う毎日です。
明日も今日の続き部分であるダイナミックルートについて学習していきます。
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