乳製品特化食育アプリ 「Milk Monster」
はじめに
こんにちは!みなさん、牛乳飲んでますか?
スーパーなどで牛乳コーナーに行った時に、たくさん種類があって驚きますよね。
牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳、成分調整牛乳、加工乳...多すぎて何が違うのかわからないということはないでしょうか?
また、生産者である酪農家さんも消費者の方に乳製品の知識をつけて用途に合った乳製品を選んで消費してほしい、またどのような乳製品がどこで利用されているか把握したいというニーズがあるそうです。
そのような悩みに応えるべく、乳製品の消費者教育のための食育アプリを作成してみました。
課題
上記のハッカソンでは、農家さんへが抱えている課題の共有とヒアリングの時間が設けられており、特に興味を持った酪農家さんの課題について、メモをもとに、マインドマップで分析をしてみました。
上記を参考に考えていくと、大きく分けて課題は2つあるのでは、と考えました。
課題①:消費者の具体的な消費状況や嗜好を把握できない
- 牛乳や乳製品が「どの年代で、どの地域で、どのように消費されているか」という詳細なデータが、農家さんには届いていません。
- 乳業メーカーや流通段階でデータが止まってしまい、農家にフィードバックされないため、需要に合わせた生産計画を立てにくい状況があります。
- 結果として「どんな牛乳がどのくらい求められているのか」が見えず、消費者ニーズと生産の間に情報格差が生まれています。
課題②:消費低迷・需給ギャップによる生産調整の難しさ
- 全国的に牛乳消費量は減少傾向にあり(例:前年比98%まで落ち込んだ地域も)、少子高齢化の影響でさらに縮小しています。
- コロナ禍を契機に学校給食や外食での利用が減り、需給バランスが崩れました。北海道など大産地からの供給が過剰になる一方で、地域ごとに需給のミスマッチが発生。廃棄や在庫増のリスクも指摘されています。
- 加えて、飼料・燃料価格の高騰や環境規制への対応など、農家のコスト負担も増大しており、経営の持続可能性に不安を抱える声が強まっています。
アプリ「ミルクモンスター」によるソリューション
ユーザー(消費者)が牛乳パックの成分表を撮影すると、AIがそのデータをもとにオリジナルのモンスターを生成します。消費者は「どんな牛乳からどんなモンスターが生まれるのか」を楽しみながら、自然と乳製品に興味を持つことができます。
一方で、この過程で得られる「どの牛乳が、どの地域・年代の人に選ばれているか」という情報は、匿名化された形でデータベースに蓄積され、酪農家さんはそちらの蓄積データを分析することができます。
これまで可視化できなかった消費動向を“遊びの延長”で収集できるのが大きな特徴です!
デモ画面
モンスター生成
では実際に撮影した乳製品の画像からモンスターが生成される流れを見てみましょう。
するとAIがこの乳製品はどういうカテゴリの乳製品であるかを判定して、フィードバックしてくれます。
そして、その乳製品カテゴリのモンスターを作成することができます。
※オプションとしてモンスターの設定をいじることもできます。
少し見切れてしまっていますが、このモンスターは低脂肪牛乳をモチーフとして作られたので、低脂肪牛乳についての解説もしてくれています。
モンスター図鑑
また、今まで作成してきたモンスターは一覧画面から確認できます。
モンスターをクリックすると詳細を確認できます。
また、今までユーザーが飲んできた乳製品をモンスターに飲ませることでモンスターを成長させることもできます。試しに牛乳を「飲む」ボタンを押してみましょう。
こちらのように乳製品を与えることでモンスターを成長を楽しむことができます。
酪農家の方が分析できるデータ
ユーザーのデータはユーザー作成時に、郵便番号と生年月日の情報を入力させる方式としているため、ユーザーの乳製品成分表示画像のアップロードにより消費データが蓄積され、酪農家の方はどこでどのようなユーザーがどのような乳製品を消費したかを分析することが可能です。
DBに蓄積されたデータをTableauなどのBIツールで簡単に下記のような形式で可視化することができます。気になる項目はクリックすることでより詳細な分析を行ことも可能です
こちらの分析結果をもとに酪農家の方は供給量調整や新商品開発などのマーケティング戦略に役立てることが可能です。
システム構成
本アプリの実現にあたり、下記のようなインフラ構成を検討しました。
※下記は運用する際の想定で、実際のデモでは費用削減のため多くはローカル開発環境で代用しています。
CloudFront+S3
CloudFrontとS3は静的WEBサイト(UI部分)のホスティングのために利用しています。
今回はReactでWEBアプリケーションを構築しました。
※特別理由はないですが、開発期間が短いこともあり、慣れているフレームワークを利用しました。
API Gateway+Lambda
特別重たい処理はないので、基本的にはサーバレスでシステムを構築した方が費用面もお得なので、このような構成を想定しています。
※ただ、実際動かしているデモはFlaskでバックエンドサーバを立てて動かしています💦
Vertex AI
こちらだけAWSではなく、GCPのサービスを利用しています。
触った感触ですが、画像生成と画像認識の精度がAWSのBedrockよりもいいレスポンスが返ってきた割合がよかったのでこちらを選択しています。
おわりに
今回は農業分野のハッカソンが開催されるということを知り、大学の同期と3週間程度で開発に取り組んでみました。(私は開発、友達は分析を担当しました)
このアプリは農家さんにこの後ご覧いただき、需要がありそうなのであれば公開なども検討したいと考えています!
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