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【第5回】Azureで社内システム再現(オンプレ編)|ADFS & ShibbolethでSSOを実装③

に公開

概要

「Azureで社内システム再現(オンプレ編)」では、
Azure の IaaS サービスを使って簡単な社内システムを再現します。

機能としては、社員番号を入力して検索ボタンを押すと、
対応する名前を表示するだけのシンプルなものです。

※詳しい全体構成については、【第0回】Azureで社内システム再現(オンプレ編)|構成図と動作の流れで紹介しています。


システム構成(今回の対象範囲)

ADFS_dousa5.png

今回は、ADFS と Shibboleth SP 間の信頼関係構築を進めていきます。
以下の赤枠で囲った構成部分が、今回の対象範囲です。

  • ADFS のメタデータを取得し、Shibboleth SP 側に配置
  • Shibboleth SP のメタデータを ADFS に登録(証明書利用者信頼)

1. ADFS のメタデータを取得して、Shibboleth SP に配置

Shibboleth SP が ADFS と連携するには、IdP 側(=ADFS)のメタデータが必要です。
このメタデータには、ADFS の EntityID、署名証明書、SAML エンドポイントなどが含まれており、
Shibboleth SP が ADFS を信頼するための情報として機能します。


ADFS メタデータのダウンロード

以下の URL にブラウザでアクセスすると、ADFS のメタデータ(XML ファイル)がダウンロードされます。

https://adfs.domain.local/FederationMetadata/2007-06/FederationMetadata.xml

スクリーンショット 2025-03-25 11.35.17.png


Shibboleth SP 側への配置

ダウンロードした XML ファイルを、shibboleth2.xml で指定したパスに保存します。

今回の設定では、以下のように記述していました:

<MetadataProvider type="XML" path="C:/opt/shibboleth-sp/etc/shibboleth/adfs-metadata.xml"/>

このため、ダウンロードした FederationMetadata.xml
C:/opt/shibboleth-sp/etc/shibboleth/adfs-metadata.xml にリネームして保存します。


2. 証明書利用者信頼の追加(Shibboleth SP を ADFS に登録)

ADFS に Shibboleth SP を「信頼できるサービス」として登録するために、
**証明書利用者信頼(Relying Party Trust)**の追加を行います。


ADFS 管理コンソールで操作開始

証明書利用者信頼 を右クリックし、
「証明書利用者信頼の追加」を選択します。

スクリーンショット 2025-03-25 10.32.35.png

この設定により、ADFS が Shibboleth SP からの SAML リクエストを「受け入れる対象」として扱えるようになります。


フェデレーションメタデータの指定

Shibboleth SP のメタデータURLを指定します。

https://web-vm1.domain.local/Shibboleth.sso/Metadata

これにより、SP 側が署名に使用している証明書や、SAML エンドポイントの情報を ADFS が自動で取得できます。

スクリーンショット 2025-03-25 10.40.15.png

Shibboleth SP 側では、特に証明書を設定していなくても
インストール時点で自己署名証明書が自動生成されています。
この証明書情報が SP メタデータ内に含まれており、
ADFS 側でそれを受け入れることで通信が成立します。

C:\opt\shibboleth-sp\etc\shibboleth\sp-cert.pem  (公開鍵)
C:\opt\shibboleth-sp\etc\shibboleth\sp-key.pem   (秘密鍵)

表示名の設定

ログイン画面などで表示される識別名を設定します。
今回は Employee-App-SP としました。

スクリーンショット 2025-03-28 16.55.05.png


アクセス制御ポリシーの選択

この設定では、どのユーザーがこの SP にアクセス可能かを制御します。
今回は「すべてのユーザーを許可する」を選択しました。

本番環境では、ユーザーグループや MFA 要件などを組み合わせて制限をかけることが一般的です。

スクリーンショット 2025-03-25 10.41.47.png


証明書利用者信頼の登録完了

ウィザードを完了すると、以下のように ADFS 管理画面に追加した SP(Shibboleth)が表示されます。

スクリーンショット 2025-04-08 15.26.22.png

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