SSH で GUI アプリを実行する
はじめに
私的なセットアップメモなども兼ねて、 Linux 端末に SSH で接続し GUI アプリ (VS Code など) を使うための設定やコマンドなどをまとめた記事を執筆します。
筆者の環境が、普段使用するデスクと開発用の Linux 端末の位置が離れており、いちいち移動して作業をするのが面倒なので、その手間を省くために設定や手法を調べました。
筆者の環境
筆者の環境です。
普段使用しているのは Windows 11 Pro 搭載のディスクトップ PC と Chromebook になります。
※ いずれも記事執筆時点
Windows 端末
OS | ターミナル |
---|---|
Windows 11 Pro 23H2 | Windows ターミナル (WSL2:Ubuntu) |
Chromebook
OS | ターミナル |
---|---|
Chrome OS 125 | 付属ターミナルアプリ (Debian Linux) |
また、接続される側は下記の環境は Endeavor OS を今回は用意します。
Linux 側の準備
まずは接続される Endeavor OS 側の設定をします。
必要なソフトは一通り入っているのでインストールは割愛します。
またセキュリティの観点から SSH キーの導入が本来望ましいですが、同じ部屋の中で必要なときだけ起動している Linux 端末に接続するので今回はそちらも割愛します。
ssh_config
の設定
Port #0-65535 の範囲の任意のポート
PermitRootLogin no
X11Forwarding yes
/etc/ssh/ssh_config
を開き Port
, PermitRootLogin
, X11Forwarding
を設定し保存します。
-
Port
: SSH で接続するポート番号です。デフォルト (22
) のままだと攻撃のリスクがあるので0
~65535
の任意の番号に変更します。 -
PermitRootLogin
: Root ログインを許可するかの設定です。no
が推奨です。 -
X11Forwarding
: X11 の転送を許可する設定になります。yes
にすることで SSH 接続で GUI アプリを使うことができるようになります。
上記の設定をしたら ssh_config
を保存します。
sshd
を再起動する
sudo systemctl restart sshd
sshd
のサービスを立ち上げ直します。
これで先ほど設定した ssh_config
の設定が有効になります。
Firewall
の設定
firewall-cmd
コマンドを使います。
sudo firewall-cmd --add-port=[ssh_configで設定したポート番号]/tcp --permanent --zone=public
ssh_config
で設定した SSH ポートを Firewall
に追加します。
-
--add-port
: 追加するポート番号を指定します。先にssh_config
で設定した番号を設定します。 -
--permanent
: 恒久的に設定を適用します。 -
--zone=public
: パブリックエリア向けにポートを開放する設定です。
sudo firewall-cmd --permanent --remove-service=ssh
--remove-service=ssh
でデフォルトの SSH ポート (22
) を OFF にします。
Firewall
の再起動
sudo systemctl restart firewalld
Firewall
のサービスを立ち上げ直します。
firewall-cmd
での設定が有効になります。
接続側準備
Chromebook 側はそのままコマンドを叩けば接続可能ですが、 WSL2 (Ubuntu) で接続する Windows 側はアプリのインストールが必要です。
sudo apt install sshd -y
ssh
コマンドを使うために sshd
パッケージをインストールします。
SSH
接続
ssh -XC user@192.168.1.10 -p 12345
接続先の IP アドレスが 192.168.1.10
、ポート番号が 12345
、使用するユーザーアカウントが user
だった場合、上記のような ssh
コマンドを使って接続します。
コマンドのオプションは下記のような意味になります。
-
-X
: GUI アプリケーションを使用できるようにします。 -
-C
: すべての通信を圧縮します。 -
-p
: ポート番号を指定します。
接続がうまくいけば、使用するユーザーアカウントのパスワードを入力するようになります。
パスワードを入力し、ログインします。
GUI アプリを使う
SSH 接続がうまくいったら次は GUI アプリを起動します。
たとえば MousePad を起動する場合は下記のようにコマンドを入力します。
mousepad
すると MousePad が立ち上がり使用できるようになります。
最後に
いかがでしたか。
このように思ったよりも少ない手順かつ簡単な設定で、同じネットワーク内にある Linux 端末に接続し、 GUI のアプリを使うことができました。
最初は Chrome Remote Desktop を使うことなどを検討しましたが、こちらのほうが導入が楽です。
この記事が同じようなことを実行しようとしている方の助けとなれば幸いです。
参考記事
- Crostini で X11 を使って Linux サーバのGUIアプリを Chromebook のディスプレイに表示して利用
Discussion
Chrome Remote Desktopをインストールし始めて、「接続先がすぐ隣りにあるのにこれ使う必要あるのか??」と思ってたので助かりました。
おかげさまでEndeavor OS上のEmacsをWindowsから起動できました。
この方法なら、WaylandのLinuxホストにもつながるのですね。
ところで、タイポと思われるところがあったのでお知らせします。
「ssh_config の設定」のところは
/etc/ssh/ssh_config
ではなく/etc/ssh/sshd_config
ではないでしょうか?素晴らしい記事をありがとうございました。