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Zバッファ、カリング、バッチング、インスタンシングの整理
Zバッファ (Z-buffer)
目的
3Dシーンでオブジェクトの描画順を正確に管理し、隠面処理を行う。
概要
Zバッファはピクセルごとの深度情報(カメラからの距離)を保持するバッファです。
レンダリング時に各ピクセルの深度値を比較し、画面に最も近いピクセルのみを描画することで、物体の前後関係を正しく表示します。
仕組み
- 各ピクセルの深度値(Z値)を Zバッファに記録
- 新しいピクセルを描画する際、現在のZバッファの値と比較
- 新しいピクセルの方がカメラに近ければ更新し、遠ければ無視
特徴
- 正確な隠面処理が可能
- メモリ使用量は画面解像度に依存
- オブジェクトの描画順を意識する必要がない
カリング (Culling)
目的
不要なオブジェクトや面を描画対象から除外し、レンダリング効率を向上させる。
概要
カリングはレンダリング不要なオブジェクトやポリゴンを事前に除外する技術です。
視界外や裏面のポリゴンを描画しないことで、処理コストを削減します。
種類
- フラスタムカリング
- カメラの視錐台外にあるオブジェクトを除外
- バックフェイスカリング
- ポリゴンの裏面を除外
- オクルージョンカリング
- 他のオブジェクトに隠れて見えない部分を除外。
特徴
- 無駄なレンダリングを防ぎ、パフォーマンス向上
- 特定のカリング方法はジオメトリの性質やシーンによる適用が必要
バッチング (Batching)
目的
レンダリングコールの回数を減らし、描画処理を効率化する。
概要
バッチングは同じマテリアルやシェーダー、テクスチャを共有する描画コールをまとめて一度に処理する技術です。
これにより、GPUへの描画コール数を削減し、レンダリングのオーバーヘッドを軽減します。
仕組み
同一のマテリアルやシェーダーを使用するメッシュをグループ化。
グループ化したオブジェクトを1回の描画コールで送信。
種類
- 静的バッチング (Static Batching)
- 動かないオブジェクトをあらかじめ結合して描画
- 動的バッチング (Dynamic Batching)
- 動くオブジェクトをリアルタイムでまとめて描画
特徴
- 描画コストを大幅に削減
- メモリ使用量が増加する可能性あり
インスタンシング (Instancing)
目的
同一のオブジェクトを複数描画する際に、効率的なレンダリングを行う。
概要
インスタンシングは、同じジオメトリデータ(頂点バッファ)を共有しながら、位置・回転・スケールなどの個別プロパティを変えて複数のインスタンスを描画する技術です。
一度の描画コールで大量のオブジェクトをレンダリングできるため、CPU負荷と描画コストを削減します。
仕組み
- ジオメトリの共有
- 1つのモデルデータをすべてのインスタンスで共有
- インスタンスデータ
- 変換情報(例: モデル行列)やカスタムプロパティを各インスタンスごとにGPUに渡す
- GPUの並列処理
- GPU側で各インスタンスの描画を効率的に処理
種類
- ハードウェアインスタンシング
- GPUでインスタンシングを直接処理
- 高速かつ大規模なインスタンス描画に適する
- ソフトウェアインスタンシング
- ソフトウェアレベルでデータを準備し、描画する
- 柔軟性があるが、CPU負荷が増える
特徴
- メリット
- 同一のオブジェクトを大量に描画する際に非常に効率的
- GPUの性能を最大限に活用できる
- デメリット
- モデルが異なる場合は非効率的
- 古いGPUではサポートされない可能性がある