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技術的負債の分類と放置した場合の影響を整理してみた

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技術的負債の解消について、自分の思ったとおりに進められなかった経験があります。振り返ると、周囲への説明がうまくできていなかったと感じます。チーム内でつらさを共有し、上司に提案するだけで責任を果たした気になっていたのかもしれません。

何かを人に伝えるときには、単に言葉にするだけではなく、より解像度を上げて話す必要があります。特に「技術的負債」という言葉は抽象的であり、関わった開発者にとってはトゲのある言葉に感じられることもあります。また、聞いた側にとっても、それが将来どのようなリスクになるのかをイメージしにくいものです。だからこそ、より具体的に、解像度高く伝え、建設的な議論に発展させることが必要であると感じています。

今後、同じような場面で少しでも伝え方を改善できるように、技術的負債を分類し、それを放置した場合にどんな影響があるのかを ChatGPT と会話しながら整理しました。

ここでは、技術的負債をいくつかのカテゴリに分類し、それぞれが放置された場合にどのようなリスクや影響が生じるかを整理しています。

自分用のメモとして残しておきます。

技術的負債の分類と放置した場合の影響

カテゴリ パターン 説明 放置した場合の影響
コード構造 テスト不在コード テストがなく、安全な変更が難しいコード バグの混入率増加、変更時の品質低下、開発者の恐怖心による変更躊躇
読解困難なコード 可読性が低く、理解に時間がかかるコード 修正時間の増加、知識伝達の困難化、新規参画者の立ち上がり長期化
拡張困難な構造 新機能追加や変更が難しいコードの構造 機能追加コストの増大、競合他社との機能差の拡大、市場投入の遅延
影響範囲不明の依存関係 変更時にどこに影響が出るか分からない構造 予期せぬ障害の発生、変更の見積もり精度低下、リリース後の障害増加
凝集度の低い処理の分散 ひとつの目的に対して処理が分散している状態 仕様変更時の修正漏れ、機能重複の増加、一貫性のない動作
テスト・品質保証 テスト困難な構造 テストコードを書くのが難しい設計や実装 品質担保の難しさ、テスト範囲の不足、リグレッションの増加
テストデータ準備の煩雑さ テストに必要なデータを整えるのが大変な状態 テスト省略の誘発、テスト実行頻度の低下、自動化の障壁
運用・デプロイ 手順依存の運用 明文化されていない手順や属人的な運用が多い状態 担当者不在時の障害対応遅延、ヒューマンエラーの増加、運用コスト増大
不安定なバッチ処理 バッチ処理の時間が長く、失敗や遅延が頻発する状態 データ不整合の発生、深夜対応の増加、業務開始遅延のリスク
不安定なプロセス動作 メモリリークや不明な要因でプロセスが死ぬ状態 サービス断続的停止、予期せぬダウンタイム、顧客信頼の低下
パフォーマンス 高負荷なクエリ クエリが重く、システム全体に負荷をかける状態 システム全体の遅延、スケール時のコスト増大、利用集中時の停止リスク
応答遅延の発生 レスポンスが遅く、体験や信頼性に影響する状態 ユーザー離脱率の上昇、コンバージョン率低下、競合への顧客流出
ドメイン・仕様理解 不明瞭な仕様 正しい動作や期待される挙動が明文化されていない状態 認識齟齬によるバグ、要件定義工数の増大、テスト基準の不明確化
暗黙知識への依存 一部メンバーだけが知っている仕様やルールに依存している状態 特定メンバーへの依存度増加、退職時の知識喪失、チーム拡大の障壁
データ設計・整合性 緩い整合性制約 外部キーやnull制限などが不十分なため不整合が起こりやすい状態 データ不整合の蓄積、バグの原因特定困難化、データ修復コストの増大
不整合を含む既存データ 仕様と合わないデータが既にDBに存在している状態 集計結果の不正確化、機能追加時の例外処理増加、データ移行の複雑化
複雑なデータ構造 テーブルやカラムの構成が複雑で扱いづらい状態 開発速度の低下、バグの混入増加、データ活用の阻害
肥大化したデータセット テーブルやレコード数が多く操作や移行が困難な状態 バックアップ/リストア時間の増大、クエリ速度低下、運用コスト増加
アーキテクチャ関連 役割の曖昧な層・コンポーネント 責務が明確でないレイヤーやコンポーネントがある状態 実装の重複、機能の肥大化、アーキテクチャの崩壊
過剰な抽象化 将来の拡張を見越して複雑すぎる抽象化が導入されている状態 学習コストの増大、実際には使われない柔軟性、開発速度の低下
ツールチェーン・開発環境 開発環境構築の難しさ 新規参画者が環境を構築するのに時間がかかる状態 人員増強の障壁、オンボーディングコスト増大、生産性の低下
古いビルドツール・ライブラリ サポート切れや非推奨のツール・ライブラリに依存している状態 セキュリティリスクの増大、新技術活用の遅れ、採用競争力の低下
セキュリティ 脆弱性を含むコンポーネント 既知の脆弱性を含むライブラリや実装が残っている状態 セキュリティインシデントのリスク、情報漏洩の可能性、法的責任の発生
不十分な認証・認可 セキュリティ設計が不完全または不明確な状態 不正アクセスの可能性、データ漏洩リスク、コンプライアンス違反
ドキュメント 不足・陳腐化したドキュメント ドキュメントがない、または更新されていない状態 知識伝達の非効率化、新規参画者の生産性低下、判断ミスの増加
コメントとコードの乖離 コメントが実装と一致していない状態 誤解に基づく実装、バグの混入、コードレビュー効率の低下
モニタリング・オブザーバビリティ 監視困難な構造 問題発生時の原因特定が難しい状態 障害対応時間の長期化、問題の再発、顧客満足度の低下
不十分なログ・メトリクス 障害時や性能問題時の調査が困難な状態 障害原因特定の長期化、性能ボトルネックの未解消、プロアクティブな改善の阻害

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