北海道泊村問題
背景
総務省の管理している「全国地方公共団体コード」をご存じでしょうか。
一般には「都道府県コード」や「市区町村コード」などとも呼ばれている番号のことで、
各都道府県・各市区町村を一意に示す番号として、総務省が採番しています。
例えば、北海道札幌市は、都道府県コードが「01」、市区町村コードが「100」となり、合わせて「01100」と表記します。
このコードは何に使うかというと、様々なシステムの申請やデータ取得で使用することがあります。
日本の住所は曖昧な表記が多いため、住所情報を一元的に管理するために活用されています。
詳細はこちらを読んでください。
問題点
さて、このコード、一つ問題点があります。
使いにくいからPDFやExcelではなくCSVで公開して欲しいと言いたいのもあります。
しかし、その程度の話ではありません。
このコード、なんと同じ名前の市区町村に別々のコードが割り当てられています。
それが「北海道泊村」(とまりむら)です。
014036 北海道泊村
016969 北海道泊村
前者の「北海道泊村」は全国地方公共団体コードが「014036」、
後者の「北海道泊村」は全国地方公共団体コードが「016969」となっています。
データベースに登録しようとしたところ、ユニークでないデータがあると怒られて気づきました。
一意に示すためのコードなのに、一体なぜこんなデータが?
調査
調べてみると次のツイートが見つかりました。
どうやら、すでに総務省に問い合わせされた方が居たようで、次のような区別をしているようです。
014036 北海道古宇郡泊村 (ニセコの北西あたりの現存する村)
016969 北海道国後郡泊村 (国後島、ロシア占領下)
前者は現存する村のコードを指しますが、
なんと後者の「016969」は国後島にかつて存在していた泊村だったようです。
国後島と言えば、義務教育で覚える北方領土の島の1つです。
そのため、現在はロシア占領下にあるので日本人は誰も住んでいません。
現存しない村になります。
どうやら、この問題は「北方領土問題」だったようです。
ちょっとデータの重複の理由を調べただけだったのに、とんでもないものを見つけてしまったな・・・
推測
これで大方の事情は分かりました。
総務省にとってはちょっとした爆弾なのでしょう。
もし使わないからと消したら「日本は北方領土を公的機関のデータから消したぞ」「領土として扱わないと言っているのと同じだ」などと言われてしまうのは目に見えています。
だからと言って現存する泊村の名前を、現存しない泊村の事情で名前変更させるのも難しいでしょう。
領土問題は過去の歴史を見てもシビアな話題ですので、どちらの対応をしても総務省は対応に追われることになると思います。
寝た子を起こすなと言わんばかりに、今まで放置されてきたんだろうなと私は推測します。
問題提起
だが!!!!
私はこのコードが使いにくいからなんとかしてくれと言いたい立場で書いているので、総務省の担当者の立場や、政治的な建前はさておき、修正して欲しくあります。
都道府県コードや、市区町村コードは「〇〇の地域のコードを確認したい」といった用途で利用されることが多いため、その地域が重複していては困ります。
現存する北海道泊村は人口1500人ほどの村ですから、現住民にとってはアナログな方法で確認しても問題なかったでしょう。
しかし、システムを作る側にとってはデジタル化を進める上で大変困ります。
私は一旦ロシア占領下の地域に無効フラグを付けて対応しましたが、元データからそのように対応してくれていれば無駄な開発をする必要もありませんので、大変効率的になります。
というわけで、河野大臣
今はマイナンバーで対応に追われていると思いますが、たまには別のナンバーのこともよろしくお願いいたします。
しかし言っておいてなんですが、この問題、一体どうすればいいんでしょうか。。
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備考
ちなみに、Wikipediaによると、泊村は全国に6か所あったようです。
4か所の泊村は市町村合併で消滅しています。
泊村 - 北海道古宇郡に所在。
泊村 (北海道根室振興局) - 北海道国後郡に所在。
泊村 (北海道檜山支庁) - 北海道檜山郡に所在。現・江差町。
泊村 (三重県) - 三重県南牟婁郡に所在。現・熊野市。
泊村 (鳥取県) - 鳥取県東伯郡に所在。現・湯梨浜町。(とまりそん)
泊村 (四日市市) - 三重県四日市市に所在。
現存する方の「北海道泊村」
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