初めての自作キーボード「Lily58 Pro」の製作工程をなるべく丁寧に書き残す

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今年始めにHHKBを購入し、その素晴らしい打鍵感と洗練された配列にすっかり魅了されてはや約一年。HHKBに対する不満が少しずつ出てきました。

一番はどうしても左右分離にしたかったこと。そして次に、窮屈な十字キーの配列でした。

それらを解決するためにはもう作ったほうが速そうだったので、その一連の流れをせっかくなので記録することにします。いくつかの記事を参考に制作を進めた中で初心者的によく分からなかったポイントや、躓いたポイントがいくつかありましたので、そのあたりも極力丁寧に記録したいと思います。

買ったもの

①Lily58 Pro(¥14,800)

縦3のキーボードに憧れはあったのもの、ESC,Tab,Ctrl,Shiftの並びを変えられる自身があまりなく、とりあえず縦4のキーボードを選びました。
軸はとりあえずメジャーらしいMXに。

併せてTRRSケーブル(¥300)も購入。

②DSA PBT DyeSub キーキャップセット(¥7,000)

見た目が気に入ったので。
Lily58のSpace,Enterキー用に、1.5Uのキーを2つ併せて購入しました。(¥220)

③CHERRY MX SILENT REDスイッチ(¥3,500)

もともとHHKBを使っていたこともあり、

  • Liner
  • 軽め
  • 静音

の条件でピンク軸を選びました。
※実際の打ち心地としては、どうしてもHHKB特有の気持ちよさこそないですが、割と近い打鍵感かと思います。

58つ必要だったため、50個セットとお試しの10個セット(¥700)を購入。

④工具(計¥ 2,231)

欲しかったのははんだごてとテスターとピンセットだったのですが、それぞれ単品で買うよりも上記セットのほうが安かったのでとりあえずこっちにしました。
はんだは付属のものがあまり信用できなかったので、別で適当に選びました。
後々ProMicroのコネクタ部を固定するためにグルーガンも購入しました。

⑤その他アクセサリ(計¥4,941)

ProMicroのコネクタ部がもげることに対してとても神経質に考えていたため、マグネット式のケーブルも購入しました。本当はUSB-C~MicroUSBのものがよかったんですけど、どう探しても見つからなかったため、変化ケーブルも別途購入しました。
※ご存知のかたいらっしゃいましたらぜひコメントで教えていただきたいです。

あとは、持ち運ぶときにどうしても既製品のように適当には運べないなと思い、セミハードケースでちょうどいいサイズのものを購入しました。※結構ぎりぎりでした。

以上購入したものです。
総額、だいたい¥36,000ということで、HHKBとあまり変わらない金額になってしまいました。。
※工具やケーブル代も含まれてるので、次回以降は若干お得になりそうではあります。

作成手順

まずは商品の全貌から。こんな感じからスタートです。
作成手順1
購入した商品の全貌

組み立て方法は基本的にビルドガイドに沿って行いました。

①ダイオードとソケットのはんだ付け

1つ目の作業にしておそらく最も大変だった作業。
Lily58 Proは左右対称のPCB(基盤)が使われているので若干混乱しましたが、マスキングテープを貼ってどちらを表面として使うかを始めに決めてしまえば楽になりました。
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お気に入りのエイリアン(トイストーリー)マスキングテープを使用

はんだ付けをしたのはもう何年ぶりかといったところだったので、事前にYouTubeを見たりしてイメージやポイントの確認だけしておきました。

ダイオードもソケットも付け方の流れは同じで、

  1. 予備ハンダをPCBにつける
  2. ダイオード(ソケット)の片側を固定する
  3. もう片側をはんだ付けする

といった流れになります。

※どちらもPCBの裏面につけます。

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予備はんだ(左側)後にダイオードとソケットをそれぞれ一つづつ付けてみたところ

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もう片側(右側)もはんだ付けしたところ

まずはじめにそれぞれ一つづつ試しに付けてみたところでどのくらいのはんだ量を流したらよさそうか、どのくらい温めるとはんだがよく流れるかがイメージできたのでおすすめです。

このタイミングで早速ダイオードを一つ紛失しました。テープのようなケースから取り出す際に手が滑り部屋のどこかへ。。
Lily58の内容物一覧には「ダイオード58個」と書かれていたので、妻にも手伝ってもらい必死に探した結果なんとか見つかりました。
とにかく小さいのでピンセットは必ず使ったほうがいいと思います。

※後々分かったのですが、Lily58のパーツはそれぞれ60個ずつ入っていました。

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まず予備ハンダをダイオードとソケットどちらともに

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次にダイオードをつけて、、(ここが一番大変だった)

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ソケットまで取り付け完了

ここまでくれば折返しポイントは超えてると思います。

②TRRSジャック リセットスイッチのはんだ付け

ここはほぼビルドログのままです。
TRRSジャックはマスキングテープで固定すると安心感あります。

③OLEDを取り付ける

ここらへんからビルドログがよく分からなくなってきたので補足を付け加えて行きたいと思います。

まず

表面のProMicro部にある4つのジャンパ端子をはんだ付けし、ジャンパします。

の部分。「ジャンパ」ってなんだ。。?

どうやらジャンパとは、部品をつけるのではなく、基盤上の回路を接続する行為のようで、今回であれば基盤表面の4つの端子をつなげるといいみたい。

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「ジャンパ」したところ

後述しますが、ここでジャンパが一つうまく出来ていない端子がありました。(画像の一番左)
テスターを使って裏側から通電してるか確認しましょう。

次に

OLED用のコネクタを取り付けします。

もよく分からず。OLED用のコネクタってどれ。。?
あまり文献はなかったですが、内容物的におそらくこの部品のようです。

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OLED用のコネクタ

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裏面からはんだ付けしました

そして最後に

OLEDピンをソケットに差し込み、その上にOLEDモジュールを載せ、4箇所はんだ付けをします。

これも始終よく分からず。。
どうやら両側にピンが伸びてる部品がOLEDピンのようですが、このタイミングでしなくてもいいかと思い、とりあえず後回しにしました。

④Pro Microを取り付ける

ここはほぼビルドガイド通りです。

モゲマイクロ(USB端子がもげたPro Micro)に対して結構神経質になっていたので、ホットボンドで固定しました。

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ホットボンドで固定したところ。めちゃくちゃ下手くそです。

端子よりも高く盛ってしまうと、うまくはまらなくなります。
自分は結局すこしカッターで削る事になりました。

後々分かったのですが、実際にケーブルを接続するのは片側のみ(左側固定?)なので、どちらともを固定する必要はありませんでした。

次のポイントはスプリングピンヘッダの取り付け。
同梱されていた用紙やビルドログにも色々注意が書かれていますが、ざっくりまとめると、

  1. Pro Micro純正のピンヘッダは使わずに、同梱されているスプリングピンヘッダを使う
  2. ピンヘッダの穴のがあるほうのピンはPro Micro側、穴の空いてないほうがPCB側
  3. 左右のピンヘッダの穴の向きを揃える
  4. ピンヘッダとPCBは取り外しできるようにはんだ付けしない

あたりかと思います。

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Pro Microにピンヘッダを取り付けたところ

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はんだ付けします

⑤スペーサー、キースイッチを取り付ける

いよいよキースイッチを付けていきます。

ビルドガイドに沿って、四隅のキースイッチを始めに位置合わせに使い、その後、真ん中から順に外側に向かってキースイッチをはめていきました。

キースイッチによってプレートの位置が思いのほかずれるため、スペーサーのネジは基本的に仮止め程度にしておくのをおすすめします。

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トッププレートの四隅にキースイッチを入れる

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PCBに設置。ここで位置合わせがほぼ完了する。

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全てのキースイッチを取り付け完了。このあたりからテンション上がってきます。

後述しますが、スイッチを取り付けるときに足が折れてしまうことがありました。
穴の位置が合っているか確認しながら慎重に取り付けるのが良さそうです。

⑥OLEDを取り付ける

放置していたOLEDをここで取り付けます。

ビルドガイドには

ProMicro下部のソケットにOLEDピンを差し込み、OLEDモジュールを載せます。斜めにならないように気をつけながらはんだ付けをします。

と書かれていますが、ここもよく分かりませんでした。
もともとのステップで記載されていた内容と被るのですが、OLEDピンにOLEDをはんだ付けし、OLEDソケットに差し込むという感じのようです。

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OLEDピンとOLEDをはんだ付けします。ここでも斜めにならないようにマスキングテープが活躍しました。

⑦残りの作業

あとはPro Micro保護アクリルやボトムプレートを取り付けて完成です!

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完成の図

キーマップの書き込み/編集

組み立てが完成したら次はキーマップの書き込みを行います。

ここでもいくつか分からないことがありましたので、その内容を中心に書いていきたいと思います。

※以下OSXでの内容になります。

ビルドガイドに則って、以下3つのファイルをダウンロードしました。

  • QMK Toolbox(QMK.Toolbox.pkg)
  • VIA Configurator(via-1.3.1-mac.dmg)
  • lily58_rev1_via.hex

QMK Toolbox

QMK Toolboxを立ち上げ、Local fileにlily58_rev1_via.hexを指定します。
Lily58をUSBケーブルで接続し、リセットボタンを押した後Flashボタンを押して書き込みを行います。

このビルドガイドの説明どおりです。

Macbookにてデバイスが認識されないというトラブルがありました。
その時はUSBCのハブを使ってMacbookとキーボードを繋いでいましたが、ハブでは電力不足のせいか、デバイスが認識されないようです。
一対一で接続するアダプタのようなものを使って接続したところ、無事認識されました。

左右どちらとものキーボードでこの作業を行います。

この作業を行うと、キー押下時に、OLEDに押下したキー情報が表示されるようになり、キーが正しく反応しているかどうかを確認することができます。
次回キーボード作成時はこの作業だけ先にやってもいいかもと思ったりしてます。

「U」のキーが反応しない現象が発生しました。
テスターで確認したところ、そもそもキー押下時に電気が通っていないようで、スイッチを外してみたところキースイッチの足が折れてしまっていました。
※ソケット裏面の電極がキー押下時に通電しているかをテスターで計測します。
ペンチで足を伸ばして再度取り付けたところ解決しました。

左側のOLEDが点灯しない現象が発生しました。
また、次章のVIAのソフト上ではキーが正しく反応しているものの、連打した際にレスポンスが極端に悪くなる現象が発生していました。
色々調べたところ、OLED用のジャンパ端子の一つが正しくつながっていなかったようで、はんだ付けし直した結果改善しました。

VIA

次にキーマップを設定します。
自分にとって自然でより効率的なキー配置を考えるのが楽しいですね。

今現在、このような配置にしてます。
layer0
デフォルトレイヤーの配置

layer1
Raiseレイヤー(右)の配置

layer2
Lowerレイヤー(左)の配置

ポイントとしては、

  • 使用頻度の高い記号(-,=,{},[])をなるべく指を伸ばさなくていい位置に
  • カーソルキーをVimに合わせた位置に
  • Functionキーを対応する数値キーとなるべく合わせた位置に
  • Lowerレイヤーでは左手がテンキーとして使えるようにし、右手で四則演算の記号をカバー

あたりです。

OSXのボリューム操作について

HHKBでメディア操作する頻度の最も高かったボリューム操作を本キーボードでもやりたかったんですけど、VIAに用意されてるボリューム操作キーでは操作することが出来ませんでした。

色々調べてると同様のことが書かれていた記事を見つけました。

この記事によると、VIAのAnyキーを使って、

  • ボリュームアップ 0x80
  • ボリュームダウン 0x81
  • ミュート 0x7f

を登録するといいとのこと。

無事ボリューム操作がキーボードからできるようになりました。

さいごに

感想としては、とにかく楽しかったです。
子供のころにプラモデルを作ったときの気持ちを思い出しました。
(そしてそのプラモデルを仕事中にずっと触ることができるというのも楽しいポイントかも。)

また、初めて触ったColumn-Staggered配列(キーが縦にまっすぐ並ぶ配列)はどのキーがどの指担当なのかはっきり分かれていて、これまで曖昧だった運指が矯正される感覚もあり、とても良かったです。
始めはとにかく打ち間違いがひどかったですが、1週間程度でほぼ慣れました。

今もまだ最適なキーマップについて考える毎日で、主な課題は

  • Commandキーの打ち間違いが多い
  • バッククォーテーションが打ちにくい
  • 1Uの幅では左手のShift+Tabとかがとても押しにくい
  • せっかくレイヤーに置いてるのでF11,F12はもう少し押しやすいところに置きたい

あたり。

以上、初めてキーボードを組み立てた記録になります。
よく分からなかったことが多かったので、自分と同じような方の助けになれば幸いです。