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次のスプリントを良くするためのふりかえり手法

2020/11/25に公開

私が所属しているROXXのagenbank事業部の開発チームでは、スクラムを取り入れています。
今回はスクラムで行っているふりかえりについて、基本的な流れと気をつけていることを書きます。

※スプリントレトロスペクティブ = ふりかえり とこの記事では記述します

ふりかえりの目的

スクラムガイドには以下のように書いてあります。

スプリントレトロスペクティブの目的は、品質と効果を高める方法を計画することである。
スクラムチームは、個人、相互作用、プロセス、ツール、完成の定義に関して、今回のスプリ
ントがどのように進んだかを検査する。
スクラムチームを迷わせた仮説があれば特定し、その真因を探求する。スクラムチームは、ス
プリント中に何がうまくいったか、どのような問題が発生したか、そしてそれらの問題がどの
ように解決されたか(または解決されなかったか)について話し合う。
スクラムチームは、自分たちの効果を改善するために最も役立つ変更を特定する。最も影響の
大きな改善は、できるだけ早く対処する。

私、「今後のスプリントを良くするための方法を見つけ出し、実践するための計画をすること」 がふりかえりの目的だと解釈しています。

具体的には、

  1. 個人、スクラムチームメンバー間、スクラムチーム内外での相互作用、開発のプロセス、使っているツールなどの観点からスプリントを振り返る
  2. スプリント中にうまくいったこと、うまくいかなかったことについて話し合い、共通認識を得る
  3. 今後のスプリントを良くするために最も効果的な行動変化を決め、実践する

です。

ふりかえりで使用しているツール

以前は模造紙と付箋を使用してふりかえりを行っていましたが
昨今のコロナの影響で完全リモートワークに移行した現在は、オンラインホワイトボードのmiroを使用しています。
オンラインで情報を可視化し整理できるので、非常に便利なツールです。

ふりかえりの流れ

私達のスクラムチームでは、以下のような流れでふりかえりを行っています。

  1. 場の設定
  2. データ収集
  3. アイデア出し
  4. Action(次やること)の決定
  5. ふりかえりのふりかえり
  6. 今週の感謝
  7. 知見の共有

① 場の設定

目的

参加者が発言しやすくなるような雰囲気をつくる

内容

テーマを決め、それについて全員発言します。
ここで重要なことは、全員発言することです。
全員発言することで、発言に対しての心理的抵抗が減り意見が出しやすくなるからです。
テーマ自体は目的が達成されれば何でも良いです、
(ex:週末の予定は?, 今週印象的だったことは?)

② データ収集

目的

スプリント内で起きたこと、事実を確認し、共通認識を得る

内容

データ収集では、大きく分けて3つを行っています。

  • ベロシティチャートのふりかえり
  • 前スプリントのTRYの確認
  • タイムラインボードの確認

ベロシティチャートのふりかえり
スプリントプランニングで計画したポイント(コミットメント)と、今スプリントでスクラムチームが消化したポイントの合計を見ます。
ここで、ポイント的に今スプリントがどのような状態だったかの客観的なデータを見ます。

前スプリントのTRYの確認
前スプリントで決めたAction(行動変化)は何だったのかをふりかえります。
今スプリントでActionは実行できたのか、実行した結果どうだったかなどをふりかえります。

タイムラインボードの確認
スプリントで何が起きたのかを収集するために、タイムラインを作成しています。
縦軸:良かったこと/悪かったこと
横軸:時間
で、時系列に事実や感情を毎日付箋で貼りマッピングされているものです。
人間、全てのことを覚えることはできません。
付箋を毎日貼り、ストックしておくことで、今スプリントで何が起きていたかの全体像を把握することができます。
他の人が書いた付箋の内容が分からなかったり、忘れていたりした場合は質問して詳しく聞くことで自分が検知していなかった情報を知ることができます。

③ アイデア出し

目的

次スプリントを良くするためのアイデアを出す

内容

KPTA(Keep/Problem/Try/Action)を採用しています。
流れとしては以下です。

  • Keepの共有
  • Problemの共有
  • アイデア出しの対象決め
  • Tryの案出し

Keepの共有
今スプリントで行った良かったこと、継続すべきことを挙げていきます。
感情だけではなく、実際に行ったことを書くと良いです。

Problemの共有
今スプリントで起きた、問題や課題を挙げていきます。
Problemを挙げる際に気をつけるべきことは、解決策を混ぜないことです。
Problemと共に解決策を混ぜてしまうと、変にチームメンバーの意識、思考を誘導してしまいます。
チームメンバー毎に様々な価値観、知識、技術力を備えており、出せるTryも様々だと思うので、Problemを挙げる際は解決策を混ぜずにフラットな状態で挙げるのが望ましいです(でも、結構これが難しい)。

全員が挙げ終わった時点で、不明な点があれば質問します。
少しでも不明な点があれば質問したほうが良いと思います。質問することで、Problemの深堀りができるからです。
チームメンバーが出したProblemを何となく理解した気になっていても、結構着眼点が違ったり、捉えているProblemの核が違ったりすることがあります。

アイデア出しの対象決め
次スプリントを良くするためのアイデアを出す対象を決めます。
1人9pt持ちアイデア出しを行いたい対象に投票する→投票した理由を聞く→ptが高いものに対象を決める
という流れで決めます。
ここで重要なのは、Keepに投票しても良いということです。
次スプリントが良くなるActionを決めることができればいいので、重要なことであればKeepに投票し、そのKeepをより良くするにはどうしたらよいかなどを話します。

Tryの案出し
投票した結果選ばれたKeepまたはProblemに対してのTryの案出しを行います。
Tryを出す前に気をつけるべきことは、Tryを実行した結果、どんな状態になりたいかの共通認識ができているかだと思います。
例えば選ばれた対象がProblemだった場合、チームメンバーそれぞれが感じる課題感はバラバラです。
どんな状態になりたいかの共通認識をつくることで、チームメンバーそれぞれの視点で見えていた課題感が統一され、解決すべき方向を揃えることができます。

Tryを出す際は、ブレストを意識します。
思いついたTryは全て挙げるべきです。仮に、挙げたTryがよいものじゃなくても、チームメンバーと議論することで良いTryに昇華することがあるからです。

④ Action(次やること)の決定

目的

今後のスプリントを良くするために最も効果的な行動変化を決め、実践する

内容

Tryの案だしで挙げたものから、次スプリントで行うActionを決定します。
Actionを決定する際は、実行可能か、行動が変化しているかが重要です。
Actionがあまりに大きいと、実行するのが困難な為実行できない場合があるからです。
また、「~を意識する」などのActionの場合、実行できない(意識するだけでは行動変化していない)ためそのようなActionは意識する以外の行動変化を起こせるようなActionに変えるようにしています。

⑤ ふりかえりのふりかえり

目的

次スプリントのふりかえりを良くするためのふりかえりのふりかえりを行う

内容

次スプリントのふりかえりを良くするためのふりかえりのふりかえりを行います。
感想ベースでもいいので、何人かに今スプリントのふりかえりがどうだったのかを共有します。

⑥ 今週の感謝

目的

今スプリントでチームメンバーに感謝したことを発表し、ふりかえりを気持ちよく終わる

内容

文字通りです。
チームメンバーに感謝したことを伝えられて、気持ちよくなります。
今週も頑張ったな、という気持ちになります。

⑦ 知見の共有

目的

チームメンバーの知見を共有しあい、新しい知見を取り入れる

内容

チームメンバーそれぞれの気になったTopicを共有します。
技術的なTopicやスクラムの話題などもあれば、美味しいカレーの作り方など幅広い知見を共有します。

まとめ

弊社のスプリントのふりかえり手法をまとめてみました。
まとめてみることで、ふりかえりの際に気をつけることを再認識できてよいですね。

現在はこのようなやり方でふりかえりを行っていますが
同じやり方に固執せず、チームの変化に合わせて適宜ふりかえりのやり方も変えていくことが必要です。

おまけ

ROXXでは開発チームのメンバー(エンジニア/デザイナー)を募集しています。
少しでも興味がある方は、私のtwitterにご連絡お願いします。

twitter:@r_sato1201

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