Redis構成パターンの検討とまとめ
Redisの構成パターン
Standalone構成
可用性はないがオーバーヘッドがない分最も高速。Kubernetesなどで動かせば、ある程度の可用性を確保できるため、ユーザークリティカルなサービスではなく、多少の時間停止していても許されるサービスなら選択肢としてありなのではないかと思いました。
メリット
- 最もシンプルな構成のためシンプルかつ軽量
- セットアップや管理が容易
- リソース消費が少ない
- オーバーヘッドがない分低レイテンシ
デメリット
- 可用性がない
- スケーラビリティが低い
- 単一障害点が存在する
- データの冗長化がないため、データ消失のリスクが高い
Replication構成
マスターのダウン時に手動でフェイルオーバーすることができるため、ある程度可用性は向上。ただし、自動フェイルオーバーがないため、ユーザークリティカルなサービスには少しリスクが伴う。読み取りリクエストの分散が可能なので、読み取り負荷が高いシナリオに適していると思いました。
メリット
- マスターがダウンしてもスレーブがバックアップとして機能するため可用性は確保
- 読み取りリクエストをスレーブに分散することで、負荷を分散可能
- データが複数のインスタンスにレプリケートされるため、データ消失のリスクが低減
デメリット
- Primaryの障害時の自動フェイルオーバー機能をもたない
Cluster構成
シャーディングとレプリケーションを組み合わせることで、高可用性を実現。大規模データや高トラフィック環境に適しており、水平スケーリングが可能で、ノード間でデータを分散できる。しかし、設定と管理が複雑で、ノード間の通信が増えるため、ネットワークのオーバーヘッドが発生する。大規模であり、高トラフィックな環境で選択肢としてありだと思いました。
メリット
- 水平スケーリングが可能で、データの分散処理が可能
- 複数のマスター・スレーブ構成で可用性が向
- 自動フェイルオーバーとデータの再分散が可能
- 大量のデータと高トラフィックに対応
デメリット
- 設定と管理が複雑
- ノード間の通信が増えるため、ネットワークのオーバーヘッドが発生
- データの分散により一貫性の問題が発生する可能性がある
- 小規模デプロイにはオーバーヘッドが高い
Sentinel構成
自動フェイルオーバー機能があるため、マスターの障害に迅速に対応できる。追加のSentinelリソースと設定の複雑さがデメリットだが、ユーザークリティカルなサービスにも適用可能。特に高可用性が必要なシナリオで有効だが、追加のオーバーヘッドとHAProxy自体の可用性確保が課題だが選択肢としてありだと思いました。
メリット
- Sentinel構成の自動フェイルオーバーに加え、HAProxyでクライアントの接続管理が容易
- フェイルオーバーすると、新しいマスターのIPアドレスをクライアントが認識しなければならない
- HAProxyを使用することで、クライアントは常にHAProxyのアドレスに接続するだけでよく、Redisサーバーの変更を意識する必要がなくなる
- 具体的にHAProxyはRedisサーバーの状態を定期的にチェックし、応答がないサーバーやエラーレスポンスを返すサーバーを自動的に除外する
- 高可用性と負荷分散を同時に実現
- クライアント側の設定変更が不要
デメリット
- sentinel自体の設定や管理が複雑
- sentinelを動作させるための追加リソースが必要
- HAProxyをいれるとその分オーバーヘッドが発生するため、パフォーマンス低下
- 結構速度下がるらしい(Redis自体が高速なため)
- HAProxy自体の可用性確保が必要
Raft構成
Raftプロトコルを使用することで、一貫性のあるデータレプリケーションと自動リーダー選出が可能。高いデータ整合性を保ちながら、比較的シンプルな設定で高可用性を実現できるが、書き込み性能が低下し、大規模データのスケーリングが難しい。Redisは高スループットと低レイテンシを売りとしているため、パフォーマンスとデータ整合性のトレードオフかなと思いました。
メリット
- 一貫性のあるデータレプリケーション
- 自動リーダー選出とリーダー交代が可能
- データの整合性を高く保てる
- 自動フェイルオーバーとクライアント接続の柔軟性を両立
- 高いデータ整合性と可用性
デメリット
- 書き込み性能がレプリケーションのために低下することがある
- ネットワークのオーバーヘッドが増える
- 大規模なデータセットではスケーリングが難しい
- RaftとHAProxyの両方の可用性確保が必要
- 設定と管理が複雑
構成比較まとめ
パターン | 説明 | メリット | デメリット | 検討ポイント |
---|---|---|---|---|
Standalone | 単一の Redis インスタンス | 最もシンプルで軽量 | 可用性がない、スケーラビリティが低い、データ消失のリスクが高い | ユーザークリティカルなサービスには不向き |
Replication | マスターとスレーブの複数インスタンス | マスター障害時の可用性向上、読み込み負荷分散 | 自動フェイルオーバー機能がない | 複雑な設定、マスター障害時のフェイルオーバー処理が必要 |
Cluster | シャーディングとレプリケーションの組み合わせ | 水平スケーリング、高可用性、大量データ・高トラフィックへの対応 | 設定と管理が複雑、ネットワークオーバーヘッド、データ整合性の問題 | 大規模データ基盤に適している |
Sentinel | Sentinel による監視と自動フェイルオーバー | 自動フェイルオーバー、クライアント接続管理の容易さ | HAProxy によるオーバーヘッド、HAProxy の可用性確保 | 高可用性と運用性のバランス |
Raft | Raft プロトコルによる一貫性のあるレプリケーション | 高いデータ整合性と可用性、クライアント接続の柔軟性 | 書き込み性能の低下、大規模データのスケーリング難しさ、オーバーヘッド | データ整合性を重視するユースケースに適している |
Discussion