json-serverの使い方まとめ
json-serverとは
json-serverは、簡単にREST APIを構築できるツールです。
ローカルマシン上にJSONファイルを置くだけで、RESTfulなAPIを作成し、GET、POST、PUT、DELETEなどのHTTPリクエストを使用してデータの取得、作成、更新、削除を行うことができます。
json-serverを使用すると、サーバーサイドのプログラミング言語やデータベースを必要とせず、フロントエンドの開発者がAPIの動作をテストしたり、簡単なデモアプリケーションを作成するのに便利です。
また、json-serverは簡単に拡張することができ、ルーティングの設定やフック機能を利用することで、より高度なAPIを作成することもできます。
json-serverのユースケース
json-serverは、以下のようなタイミングで使用することができます。
-
モックサーバー
:json-serverを使用することで、バックエンドの開発者がまだ実装されていないAPIにアクセスすることができます。これにより、フロントエンドの開発者はアプリケーションの開発を進めることができます。 -
テスト
:json-serverを使用することで、実際のデータを使用してテストを行うことができます。これにより、APIの動作をテストすることができ、エラーや問題がある場合には、早期に発見することができます。 -
データの共有
:json-serverを使用することで、複数の開発者が同じデータを共有し、実際にデータを取得、作成、更新、削除することができます。これにより、APIの動作をテストすることができ、開発の進行状況を共有することができます。
json-serverの使い方
事前準備
以下の事前準備が必要です。
-
Node.jsのインストール
:json-serverはNode.jsで動作するので、Node.jsをインストールする必要があります。 -
Node.jsプロジェクト作成
:npm init --yes
コマンドを実行して、Node.jsプロジェクトを作成する。 -
json-serverのインストール
:npm install json-server
コマンドまたはnpm install --save-dev json-server
コマンドを実行して、json-serverをインストールします。
JSONファイル作成
以下のJSONファイル(db.json
)を作成します。
{
"posts": [
{ "id": 1, "title": "json-server", "author": "typicode" }
],
"comments": [
{ "id": 1, "body": "some comment", "postId": 1 }
],
"profile": { "name": "typicode" }
}
json-server起動
json-server
を起動するには、以下のコマンドを実行します。
json-server --watch <jsonファイル名> -p <ポート番号>
例えば、json-server --watch db.json
コマンドを実行して、json-serverを起動します。
- コマンド
npx json-server --watch db.json -p 8000
- 実行例
$ npx json-server --watch db.json -p 8000
\{^_^}/ hi!
Loading db.json
Done
Resources
http://localhost:3000/posts
http://localhost:3000/comments
http://localhost:3000/profile
Home
http://localhost:3000
Type s + enter at any time to create a snapshot of the database
Watching...
これで、json-server
が http://localhost:3000 で起動し、db.json
ファイルの内容が /posts
, /comments
, /profile
でアクセス可能になります。
以下は確認の例です。
- 登録(POST)
$ curl -H "Content-Type: application/json" -d '{"title":"test"}' -X POST http://localhost:3000/posts
{
"title": "test",
"id": 2
}
- 更新(PUT)
$ curl -H "Content-Type: application/json" -d '{"title":"test update"}' -X PUT http://localhost:3000/posts/1
{
"title": "test update",
"id": 1
}
- 削除(DELETE)
$ curl -H "Content-Type: application/json" -X DELETE http://localhost:3000/posts/1
{}
- 取得(GET)
$ curl -X GET http://localhost:3000/posts
[
{
"title": "test",
"id": 2
}
]
データのフィルタリング、ソーティング、ページング
データのフィルタリング
キーワードに一致するレコードを検索する場合は、q
クエリパラメータを使用します。
例えば、GET /posts?q=lorem
のようにリクエストを送信すると、title
または body
フィールドに lorem
を含む全ての投稿が返されます。
db.json
ファイルを以下のように修正します。
{
"posts": [
{
"title": "lorem",
"id": 1
},
{
"title": "testlorem",
"id": 2
},
{
"title": "test2",
"id": 3
}
],
"comments": [],
"profile": {
"name": "typicode"
}
}
- コマンド
curl -X GET http://localhost:3000/posts?q=lorem
- 実行例
$ curl -X GET http://localhost:3000/posts?q=lorem
[
{
"title": "lorem",
"id": 1
},
{
"title": "testlorem",
"id": 2
}
]
データのソーティング
データのソートには、_sort
と _order
クエリパラメータを使用します。
_sort
クエリパラメータには、ソートするフィールドを指定し、_order
クエリパラメータには、ソートの順序(asc または desc)を指定します。
例えば、以下のようにリクエストを送信すると、 id
フィールドで昇順にソートされた全てのレコードが返されます。
db.json
ファイルを以下のように修正します。
{
"posts": [
{
"title": "lorem",
"score": 50,
"id": 1
},
{
"title": "testlorem",
"score": 80,
"id": 2
},
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
}
],
"comments": [],
"profile": {
"name": "typicode"
}
}
- コマンド
curl -X GET 'http://localhost:3000/posts?_sort=id&_order=asc'
- 昇順取得の実行例
$ curl -X GET 'http://localhost:3000/posts?_sort=score&_order=asc'
[
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
},
{
"title": "lorem",
"score": 50,
"id": 1
},
{
"title": "testlorem",
"score": 80,
"id": 2
}
]
- コマンド
curl -X GET 'http://localhost:3000/posts?_sort=id&_order=desc'
- 降順取得の実行例
$ curl -X GET 'http://localhost:3000/posts?_sort=id&_order=desc'
[
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
},
{
"title": "testlorem",
"score": 80,
"id": 2
},
{
"title": "lorem",
"score": 50,
"id": 1
}
]
データのページング
データのページングには、_start
と _limit
クエリパラメータを使用します。
_start
クエリパラメータには、ページの開始位置を指定し、_limit
クエリパラメータには、1 ページあたりのレコード数を指定します。
例えば、以下のようにリクエストを送信すると、2 番目のページの全ての投稿が返されます。
db.json
ファイルを以下のように修正します。
{
"posts": [
{
"title": "lorem",
"score": 50,
"id": 1
},
{
"title": "testlorem",
"score": 80,
"id": 2
},
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
},
{
"title": "test3",
"score": 10,
"id": 4
},
{
"title": "test4",
"score": 99,
"id": 5
}
],
"comments": [],
"profile": {
"name": "typicode"
}
}
- コマンド
curl -X GET 'http://localhost:3000/posts?_start=2&_limit=2'
- 実行例
$ curl -X GET 'http://localhost:3000/posts?_sort=id&_order=desc'
[
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
},
{
"title": "test3",
"score": 10,
"id": 4
}
]
json-serverのルーティングを設定
json-server
には、 --routes
オプションがあります。
--routes
オプションを使用すると、APIのエンドポイントを変更したり、新しいエンドポイントを追加することができます。
以下の routes.json
ファイルを作成します。
{
"/api/*": "/$1",
"/posts/:text/q": "/posts?q=:text"
}
上記の例では、APIのエンドポイントを変更しています。
例えば、/api/posts
は、 /posts
にマッピングされます。
json-server
をルーティングを設定して起動するには、以下のコマンドを実行します。
json-server --watch <jsonファイル名> -p <ポート番号> --routes <jsonファイル名>
--routes
オプションを指定して以下のように json-server
を起動します。
- コマンド
npx json-server --watch db.json -p 3000 --routes routes.json
- 実行例
$ npx json-server --watch db.json -p 3000 --routes routes.json
\{^_^}/ hi!
Loading db.json
Loading routes.json
Done
Resources
http://localhost:3000/posts
http://localhost:3000/comments
http://localhost:3000/profile
Other routes
/api/* -> /$1
/posts/:text/q -> /posts?q=:text
Home
http://localhost:3000
Type s + enter at any time to create a snapshot of the database
Watching...
/api/posts
にリクエストを送ると、 /posts
が実行され、レスポンスを返します。
- コマンド
curl -X GET 'http://localhost:3000/api/posts'
- 実行例
$ curl -X GET 'http://localhost:3000/api/posts'
[
{
"title": "lorem",
"score": 50,
"id": 1
},
{
"title": "testlorem",
"score": 80,
"id": 2
},
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
},
{
"title": "test3",
"score": 10,
"id": 4
},
{
"title": "test4",
"score": 99,
"id": 5
}
]
/posts/test/q
にリクエストを送ると、 /posts?q=test
(「test」が含まれたレコードのみ返す) が実行され、レスポンスを返します。
- コマンド
curl -X GET 'http://localhost:3000/posts/test/q'
- 実行例
$ curl -X GET 'http://localhost:3000/posts/test/q'
[
{
"title": "testlorem",
"score": 80,
"id": 2
},
{
"title": "test2",
"score": 10,
"id": 3
},
{
"title": "test3",
"score": 10,
"id": 4
},
{
"title": "test4",
"score": 99,
"id": 5
}
]
json-serverをjsで起動
index.jsファイル作成
以下のindex.jsファイルを作成します。
const jsonServer = require('json-server')
const server = jsonServer.create()
const router = jsonServer.router('db.json')
const middlewares = jsonServer.defaults()
server.use(middlewares)
server.use(router)
server.listen(8000, () => {
console.log('JSON Server is running')
})
上記のコードでは、 json-server の createメソッド
を使用してサーバーを作成し、 routerメソッド
を使用して db.json
ファイルをルーティングします。
defaultsメソッド
を使用して、標準のミドルウェアを設定し、 listenメソッド
を使用して、 ポート番号8000
でサーバーを起動します。
json-serverをjsで起動する
以下のコマンドを実行して、json-server
を起動します。
- コマンド
node index.js
- 実行例
$ node index.js
JSON Server is running
これで、json-server
が http://localhost:8000 で起動し、db.json
ファイルの内容が /posts
, /comments
, /profile
でアクセス可能になります。
json-serverをモック化
json-server
は、 Express.js
に基づいており、リクエストの前後にカスタム処理を実行したり、認証を実装したりすることができます。
以下のコードは、 GET
, PUT
, POST
, DELETE
のHTTPメソッドに対応したモックサーバを作成する例です。
リクエストのHTTPメソッドに応じて、リクエストのbodyをそのままレスポンスとして返す処理が実装されています。
const jsonServer = require('json-server');
const server = jsonServer.create();
const middlewares = jsonServer.defaults();
server.use(middlewares);
server.use(jsonServer.bodyParser);
server.get('*', (req, res) => {
res.status(200).json(req.query);
});
server.post('*', (req, res) => {
res.status(201).json(req.body);
});
server.put('*', (req, res) => {
res.status(200).json(req.body);
});
server.delete('*', (req, res) => {
res.status(204).end();
});
server.listen(8000, () => {
console.log('JSON Server is running');
});
上記の例では、*を使用して全てのパスに対応させています。
GET
メソッドの場合、リクエストの queryオブジェクト
をレスポンスとして返します。
PUT
, POST
メソッドの場合、リクエストの bodyオブジェクト
をレスポンスとして返します。
DELETE
メソッドの場合、 レスポンスにbodyが必要ないため、end()メソッド
を使用しています。
以下は、curlコマンドを使用して、上記のモックサーバにリクエストを送信し、レスポンスを確認する例です。
- GET
$ curl -X GET 'http://localhost:8000/test?test=123'
{
"test": "123"
}
- POST
$ curl -H "Content-Type: application/json" -d '{"title":"test"}' -X POST http://localhost:8000/posts
{
"title": "test"
}
- PUT
$ curl -H "Content-Type: application/json" -d '{"title":"test update"}' -X PUT http://localhost:8000/posts/1
{
"title": "test update"
}
- DELETE
$ curl -H "Content-Type: application/json" -X DELETE http://localhost:8000/posts/1
json-serverのバリデーションチェック
json-server
では、ミドルウェア関数を定義し、 server.use
で使用することで、リクエストが送信された際にバリデーションチェックを行うようにすることができます。
以下は、リクエストが送られた際にバリデーションチェックを行う例です。
const jsonServer = require('json-server');
const server = jsonServer.create();
const middlewares = jsonServer.defaults();
server.use(middlewares);
server.use(jsonServer.bodyParser);
const validateRequest = (req, res, next) => {
if (req.method === 'POST' && !req.body.name) {
return res.status(400).json({ error: 'name is required' });
}
if (req.method === 'PUT' && !req.body.id) {
return res.status(400).json({ error: 'id is required' });
}
next();
};
server.use(validateRequest);
server.get('*', (req, res) => {
res.status(200).json(req.query);
});
server.post('*', (req, res) => {
res.status(201).json(req.body);
});
server.put('*', (req, res) => {
res.status(200).json(req.body);
});
server.delete('*', (req, res) => {
res.status(204).end();
});
server.listen(8000, () => {
console.log('JSON Server is running');
});
上記のコードでは、 validateRequest
というミドルウェア関数を定義し、 server.use
で使用することで、リクエストが送信された際にバリデーションチェックを行うようにしています。
validateRequest
関数では、リクエストのHTTPメソッドに応じたバリデーションチェックを実装しています。
例えば、POSTメソッドの場合は、req.body.name
が存在するかどうかをチェックし、存在しない場合は400エラーを返すようにしています。
また、validateRequest
関数内でバリデーションエラーが発生した場合は、next()
を呼び出さずに resオブジェクト
を使用してエラーレスポンスを返すようにしています。
以下は、curlコマンドを使用して、上記のモックサーバにリクエストを送信し、バリデーションチェックを確認する例です。
- POST(正常)
curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"name": "John", "age": 30}' "http://localhost:8000/test"
{
"name": "John",
"age": 30
}
- POST(異常)
$ curl -X POST -H "Content-Type: application/json" -d '{"age": 30}' "http://localhost:8000/test"
{
"error": "name is required"
}
- PUT(正常)
$ curl -X PUT -H "Content-Type: application/json" -d '{"id": 1, "name": "John", "age": 30}' "http://localhost:8000/test"
{
"id": 1,
"name": "John",
"age": 30
}
- PUT(異常)
$ curl -X PUT -H "Content-Type: application/json" -d '{"name": "John", "age": 30}' "http://localhost:8000/test"
{
"error": "id is required"
}
まとめ
- json-serverはREST APIを簡単に構築できるツールである。
- ローカルマシン上のJSONファイルを使用してRESTfulなAPIを作成し、HTTPリクエストを使用してデータの取得、作成、更新、削除ができる。
- json-serverを使用すると、サーバーサイドのプログラミング言語やデータベースを必要とせず、フロントエンドの開発者がAPIの動作をテストしたり、簡単なデモアプリケーションを作成することができる。
- json-serverは簡単に拡張することができ、ルーティングの設定やフック機能を利用することで、より高度なAPIを作成することもできる。
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