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SQLでエイリアスが使えない理由:ASで作った名前が利用できる場面・できない場面

2024/08/24に公開

SQLを使ってデータを操作していると、AS句を使って列やテーブルにエイリアス(別名)を付けることがあります。しかし、エイリアスがどこで使えるのか、どこで使えないのかを正確に理解していないと、予期しないエラーに悩まされることがあります。この記事では、SQLにおいてASで作成したエイリアスが使える場面と使えない場面について解説します。

エイリアスとは?

まず、エイリアスについて簡単に説明します。SQLにおけるエイリアスは、列名やテーブル名に対して一時的な別名を付けるために使用されます。エイリアスを使用することで、クエリをより簡潔に、かつ読みやすくすることができます。

例として、以下のようにAS句を使ってエイリアスを作成します。

SELECT
    store_cd,
    AVG(amount) AS avg_amount
FROM
    receipt
GROUP BY
    store_cd;

この例では、AVG(amount)に対してavg_amountというエイリアスを付けています。

エイリアスが使える場面

エイリアスが使えるのは、エイリアスが定義された後に評価される句です。具体的には以下の2つの場面でエイリアスが使用可能です。

1. ORDER BY句で使用する場合

ORDER BY句はSELECT句の後に実行されるため、SELECT句で作成されたエイリアスをORDER BY句で使用することができます。

SELECT
    store_cd,
    AVG(amount) AS avg_amount
FROM
    receipt
GROUP BY
    store_cd
ORDER BY
    avg_amount DESC;

この例では、avg_amountというエイリアスをORDER BY句で使用して、降順で並べ替えを行っています。

2. サブクエリで使用する場合

サブクエリを使うと、内部のクエリで定義されたエイリアスを外部クエリで使用することができます。これにより、WHERE句やHAVING句でエイリアスを使いたい場合などに対応できます。
サブクエリは、SQLの中で「クエリ内のクエリ」として扱われ、サブクエリ自体が独立したクエリとして評価されます。このため、サブクエリのSELECT句で定義されたエイリアスは、サブクエリが完全に評価された後で外部クエリに渡されるため、外部クエリでそのエイリアスを使うことができるのです。

SELECT
    store_cd,
    avg_amount
FROM
    (
        SELECT
            store_cd,
            AVG(amount) AS avg_amount
        FROM
            receipt
        GROUP BY
            store_cd
    ) AS subquery
WHERE
    avg_amount > 300;

この例では、サブクエリ内でavg_amountというエイリアスを定義し、外部クエリのWHERE句で使用しています。サブクエリが完全に評価された後、その結果が外部クエリで利用できるため、このようにエイリアスを使用できます。

エイリアスが使えない場面

反対に、エイリアスが使えないのは、エイリアスが定義される前に評価される句です。以下の2つのような場面では、エイリアスは使用できません。

1. WHERE句で使用する場合

WHERE句はSELECT句よりも前に評価されるため、SELECT句で定義したエイリアスをWHERE句で使用することはできません。

SELECT
    store_cd,
    AVG(amount) AS avg_amount
FROM
    receipt
WHERE
    avg_amount > 300; -- エラーになります

このクエリでは、avg_amountというエイリアスをWHERE句で使用しようとしているため、エラーが発生します。

2. HAVING句で使用する場合

HAVING句はGROUP BYの後に使用されますが、SELECT句よりも前に評価されるため、エイリアスを直接使用することはできません。

SELECT
    store_cd,
    AVG(amount) AS avg_amount
FROM
    receipt
GROUP BY
    store_cd
HAVING
    avg_amount > 300; -- エラーになります

SQLクエリの評価順序を例で理解する

SQLクエリは、特定の順序で評価されます。評価順序を理解することが、エイリアスの使い方を正しく把握するために重要です。以下のクエリを例に、その評価順序を見てみましょう。

SELECT
    store_cd,
    AVG(amount) AS avg_amount
FROM
    receipt
WHERE
    amount > 1000
GROUP BY
    store_cd
HAVING
    AVG(amount) > 2000
ORDER BY
    avg_amount DESC
LIMIT 10;

このクエリの評価順序は次のようになります:

  1. FROM句でreceiptテーブルが選択されます。
  2. WHERE句でamount > 1000の条件に合致する行がフィルタリングされます。
  3. GROUP BY句でstore_cdごとにデータがグループ化されます。
  4. HAVING句で、グループの平均額が2000を超えるものが選択されます。
  5. SELECT句で、store_cdavg_amountが選択されます。この時点でavg_amountエイリアスが定義されます。
  6. ORDER BY句で、avg_amountが降順に並べ替えられます。
  7. LIMIT句で結果が10行に制限されます。

この評価順序を理解することで、SQLクエリの構造をより効果的に組み立てられるようになります。

まとめ

SQLにおいてエイリアスはクエリを簡潔にし、可読性を向上させる強力なツールですが、使用する場所には注意が必要です。ORDER BY句やサブクエリではエイリアスを活用できますが、WHERE句やHAVING句では使えないことに留意しましょう。

エイリアスの使用タイミングを理解して、効率的なSQLクエリを作成しましょう!

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