統計検定1級に知識0から受験した話
初めに
2023年の統計検定1級を受け、統計数理のみ合格したので、その体験記を書こうと思います。(統計応用は理工学で受験しました。)
そもそも統計検定とは
これを開いてくれた人には失礼かもしれませんが、一応。
日本統計学会が主催する全国統一試験です。
統計検定のホームページには以下のように書かれています。
「統計検定」は、統計に関する知識や活用力を評価する全国統一試験です。
データに基づいて客観的に判断し、科学的に問題を解決する能力は、仕事や研究をするための21世紀型スキルとして国際社会で広く認められています。
日本統計学会は、国際通用性のある統計活用能力の体系的な評価システムとして統計検定を開発し、様々な水準と内容で統計活用力を認定しています。
合格へのまとめ
先に合格へのまとめを書いておきます。
詳しく知りたい人はさらに続きを読んでいただけると嬉しいです。
- 数学力があればいける。
- 小寺さんの本は入門書として最適。
- ひたすらに過去問演習。昔のほど難しい。
- 現代数理統計学の基礎は辞書としてあると良い。
- 日本統計学会の公式の本は知識の総整理に役立つが一冊では不十分
- とりあえず、回答を書くことが大事。
購入した本と内容
統計検定を受けるにあたって主に読んだ本をまとめます。
1. 明解演習 数理統計
この本が一番お世話になった本です。ある程度の数学の基礎力があって、数理統計学を0から学ぶ人にはおすすめです。細かいところは載っていませんが、演習数も多く、基礎力を十分に養えると思います。
2.現代数理統計学の基礎
聖書(?)と呼ばれている本です。統計検定1級を追っていると言っても過言ではないです。実際に受験会場でも、この本を多く見かけました。この本か、竹村先生の現代数理統計学で勉強する人が多い印象です。
辞書的にこの本は使いました。また、変数変換や点推定はこの本の演習を使って勉強したりもしていました。
3. 日本統計学会公式認定 統計検定1級対応 統計学
直前期に知識の総整理として使いました。まとまっていてガイドブック的に使うのはいいですが、この本のみで受験をするのは少し不安な感じがします。
自己紹介
- 物理学科の大学生
- 勉強当初は統計の知識はほぼ0
- 統計検定2級や準1級を受けずに1級からスタート
受験した理由
大学に入って、半年が経ち、何か数学や物理の資格が欲しいと思ったのがきっかけです。数学検定もいいなと思いましたが、データサイエンスなどがデータサイエンスに触れてみたかったので、受験を決めました。2級や準1級を飛ばしたのは記述式の試験を受けたかったからです。そんなに深い意味はありません。
勉強スケジュールとスタート地点
統計学の知識はほぼ0
統計学の知識は、高校の頃に共通テスト対策で習った記憶はうっすら残っている初歩的な統計学の知識のみのスタートでした。また、大学に入って半年ほどだったので、高度な数学の知識もほとんどありませんでした。ただ、物理学科なので、高校の数Ⅲの延長のような計算や知識(広義積分、線形代数、微分方程式の初歩)などは備えていたように思います。
勉強スケジュール
2022年11月〜2023年3月
統計検定を知ったのが、大学1年生の11月であり、その年の受付は終了していたので、1年後の受験を決めました。なので、最初はそんなに焦ることもないなと思い、そんなに本腰を入れて勉強はしていませんでした。その頃は、必修科目の物理実験に追われていた気がします。線形代数も線型写像などの理学系の大学に入って苦労するところであったので、学科の勉強の方が大変でした。統計学に関しては、小寺先生の明快演習数理統計をひたすらに解いていました。ただ、ダラダラやっているので、進みは遅かったです。
2023年4月〜2023年8月
学年が変わり、履修を組む期間になったので、数学科などの統計学の授業などをとり、統計学の知識を深めました。深めたと言っても、95%信頼区間は95%の確率で真の値を含むものではないというような統計をしている人からしたら当たり前の内容を学んでいました。6月7月ごろには小寺先生の本は、全部を解いたわけではないけれど、問題は一通り解いたことのある状態でした。そのため、聖書と呼ばれている(?)久保川先生の現代数理統計学の基礎と過去問を書い、本格的に勉強を開始したと思います。
2023年9月〜本番直前
9月に受験の申し込みができるようになるので、そのタイミングで申し込みをしました。この頃はもう統計学にハマっており、学科の勉強そっちのけで統計学を勉強していました。過去問演習が主で、そのほかには他変量正規分布や時系列解析、ベイズ統計学、分散分析など過去問にはあまりないけれど重要なところを勉強していました。統計学を勉強する中で、物理学科なこともあり、確率微分方程式に興味が出て、その勉強もしていました。(統計検定1級の範囲外です。)
本番2週間前に日本統計学会の出している公式の統計検定1級対応の統計学という本を買い、知識の総整理をしました。
本番
当日はまとめノートと統計検定1級対応の統計学を持って臨みました。
過去問を解いている感じ、乱数生成が出そうだなと思っていたので、そこの復習と、チェビシェフの不等式は直前に見て臨みました。
試験会場と試験の様子ですが、意外と大学生っぽい人は少なかったように思えます。社会人の方や、大学院生のような方が多かったです。友達と受験しましたが、同じ教室にはぱっと見、自分たちが最も若いグループ出会ったように思います。
試験用紙は罫線が引かれており、白紙に書くことが好きなので、書きにくかったです。罫線に合わせようとすると、字が小さくなるので、計算はガン無視で書きました。
試験終了後
統計数理は一応全完しました。ただ、友達との答え合わせで間違いに気づき、「あー落ちたなー」と思っていました。統計応用の方は無理だという感じが試験中からあり、確実に落ちたなという感じでした。
合格発表
WEBで合格発表があり、統計数理のみ合格していました。
もちろん成績上位者ではありませんでしたが、合格できていてよかったです。
合格して得られたことと、今後
合格して得られたことは、統計学をご専門とする大学教授とお話をする際に話のネタができること、データ関連のインターンなどに申し込むときに面接が通りやすいことぐらいです。持っているからと言って劇的に人生が変わった感はありません。ただ、社会人経験のある大学の教授曰く、持っていると社内で一目置かれるらしいです。(もし、読んでくださっている方で、社会人の方がいらっしゃいましたら、取得するとどのような恩恵を得られるのか教えていただけると幸いです。)
一番よかったことは、統計学と物理学の接点、統計学の奥深さを知れたことです。受けた後に勉強を続けると、統計検定1級の知識も統計学の初歩の初歩であったんだと感じます。
今後は、応用合格に向けて勉強を頑張るのと、研究活動に精を出したいと思います。
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