RUN.EDGEでAI活用共有会の第一回を社内向けに開催したのでそのレポート
RUN.EDGE株式会社の猪野浩子です。
RUN.EDGEでは全社的にAIを使った業務改善を進めるため、社内向けのAI活用共有会の第一回目を7月15日に開催しました。
その第一回の内容をレポートにまとめました。
発表者一覧
登壇順に記載
- RECOROKU / TAGURU フロントエンドチーム 桑原さん
- RECOROKU / TAGURU フロントエンドチーム 猪野浩子
- サービス開発部 エンジニアリングマネージャー 阪口さん
RECOROKU / TAGURU フロントエンドチーム 桑原さんの発表
桑原さんは、実際のVSCode画面を共有し、GitHub CopilotのAgentモードを使ったコーディングのデモを行いました。
Agentモードの簡単な説明から、今回桑原さんが一番伝えたかったこととして「AIの使い方はAIに聞くのが一番良い」とのことで、Copilotに対してcopilotのエージェントモードとはなんですかと質問して返ってきた回答を元に解説する様子もありました。

デモは、実際に桑原さんがAgentモードを活用して作ったリポジトリ(Expressを用いたAPIサーバー)において、@workspace jestテストをこのプロジェクトに導入してくださいというタスクをAgentモードに任せてみるという形で始まりました。
Copilotは必要なパッケージのインストールをするために実行許可を促したり、設定ファイルやサンプルテスト、テスト用のREADMEの作成を行ったりタスクを進めていきます。

その後、FizzBuzz関数を下記のようにAgentモードで作成してもらうと、Copilotはテストも作ってくれます。
@workspace sampleUtil.tsファイルにfizzBuzz関数を追加してください
この関数は、引数に指定された数字が3だったらFizz、5の倍数だったらBuzz、3かつ5の倍数だったらFizzBuzzを返す関数です

締めとして、AIにコードを書かせる時は全部コードを見きるのが大変なため、テストコードを平易に作ってくれてさえいればAIの作ったコードをレビューしきれなくてもある程度は品質が担保されるので、テストコードを書かせるのが大事という話がありました。
また、AIに任せるタスクの実行がうまくいかない時はタスクの粒度を小さくすることを検討するとよい、とのことでした。
質疑応答
- 「出力内容は毎回変わりますか?」 → 「指示がふわっとしていたりするとぶれたり、ものによる」
- 「実際にプロダクトでAgentモードで機能追加などしているか?」 → 「この新しく作ったプロジェクト(小さいExpressサーバー)はほぼAgentモードに任せた。ドメイン知識が必要なプロダクトなどだと微妙な出力結果なことも多い」
- 「instructionファイルなどは用意しているか?」 → 「今回は用意していないが、使ったほうがプロジェクトに応じた出力になると思う」
デモも交えてわかりやすいCopilot Agentモードに関する発表でした。
RECOROKU / TAGURU フロントエンドチーム 猪野(浩)の発表
猪野からは、Copilot Chatを用いてリポジトリの実装内容をドキュメントにまとめる試行をしてみた話についての発表でした。

プロダクトの動画再生画面に実装しているキーバインド(ショートカット)をまとめてほしいという依頼があったため、それをCopilot Chatを用いて抽出しました。

段階を踏んで、小さいタスクから試してみてCopilotに出来るかどうか感触を確かめます。

結果として、キーバインドが表形式でほぼ正確に出力されました。
次の段階として、プロダクトにはいくつか動画再生画面の種類があるのですが、その種類ごとのキーバインドを指示を出してまとめてもらうと、実際にその画面ごとの内容がドキュメントとして落とし込めそうな表が出力されます。

また、ここでCopilotはその画面ごとの実装されているキーバインドの差異を備考として提示してくれました。これは実は実装すべきものが漏れていた形で、この指摘で気づいてからすぐに修正チケットを作成し、対応しました。
今回のような質問の場合、Agentモード、Askモードどちらでも出来るのか?という問いがあり試したところ、どちらでも可能な模様でした。
まとめとして、リポジトリの実装内容をまとめるには使える部分も多く、ドキュメントなどの整備に使っていけそうな感触を得ました。
この時点では、実装をCopilotに任せたことはなかったので、今後は実装も任せてみたい、という話で締めました。

サービス開発部 エンジニアリングマネージャー 阪口さんの発表
阪口さんからは、Claude Codeの実用性の検証と、AIエージェントの実装の検証の2つの発表がありました。
発表1: AI事例共有 Claud Code検証
1つ目の発表はClaude Codeを実際に試してみたという内容になります。


Claude Codeはいくつかの料金プランがあり、課金が必須ですが、モデルアクセスをBedrock経由にするとプラン購入しなくとも利用ができるそうです。
今回はこの方法でClaude Codeを試したとのことでした。

検証では、いくつかのタスクを任せてみたとのことです。
例
- Node.js v16 → v20バージョンアップ
- TypeScript対応
- 今後追加するソースをTypeScriptで記述可能にし、既存のソースもjs → tsに変更すればTypeScriptで記載できるようにした
など
結果として、全てのタスクを完了出来たそうです。
費用としては
- Node.js v16 → v20バージョンアップ 0.5日(10ドル)
- TypeScript対応 1日(20ドル)
程度だったそうで、自力で実施した場合おそらく倍以上の期間はかかっていたと思うとのことでした。
発表中には、実際にClaude Codeに渡したプロンプトやログなどのやりとりの共有があり、実際の使い方がイメージできるものでした。
利用してみた感想
- ほぼ全ての作業が自動的に実施されるため作業スピードが早く、ビルドスクリプトの場所がどこかやこのファイルがどこかなどの指示も不要
- 途中途中で確認依頼が来た時にビルドしているとエラーがあることがあり、その度問題点を伝える必要はある
- あまり良くない変更をすることがあったので指摘して対応してもらうこともあった

Claude Codeを利用するためには有料プランの購入が必要ということもあり、1メンバーでは気軽に試すことが難しいため、マネージャーが率先して試してくれたのでとても助かる発表でした。RUN.EDGEではClaude Codeは今後Bedrock構成で利用可能にするとのことです。
発表2: AI事例共有 AIエージェントの実装の検証
この発表は、AWS CloudWatchの確認作業の負担軽減を目的としたAIエージェントの構築についてでした。

このエージェント作成前の課題感として、AWS CloudWatchのアラームが発生した場合(アラームをSlackに通知しています)、バックエンドチームがCloudWatchのコンソールにログインし、ログイベントを見たり、内容から対応方法を調べるという手順を踏んでいて、結局既知の問題で対応不要な場合などもあり調査することの負荷がありました。

それを解消するためにログを解析するSlack botを作成したという内容です。
仕様
- アラームが通知されるSlackチャンネルに常駐する
- アラームに関連するログイベントを取得し、Slackにsnippet textで登録する
- ログイベントの内容を生成AIに送信し、原因/対応方法の依頼を検討
- 必要に応じてAlarmの対応方法がまとめられたConfluenceのページを参照する
- AIが調査した内容をSlackに登録する

▽実際のbotの画面

▽構成図

使用したフレームワークはMastraで、TypeScript製なのでTSの知識があれば使えます。
AIエージェント開発に必要な機能をオールインワンで提供するものです。7月時点ではベータ版だったようです。

今回はMCPサーバーも活用してみたかったとのことで、Confluenceからアラーム対応のページの情報を返却する機能を提供するMCPサーバーを作ったそうです。
(Mastraの機能でも同じようなものも作れるようです)
MCPサーバーの構成図は以下です。

発表中は、このツールのプロンプトの共有などもありました。
このAlarm用のAIエージェントは、現在も実際にRUN.EDGEのSlackチャンネルで稼働しており、活躍しています。
バックエンドチームのチャンネルだけでなく、フロントチームの管理しているWeb APIについてもこのbotが動いています。
このアプリもClaude Codeを使って作ったそうで、ほぼ手は動かしていないそうです。
「これで実際業務が楽になったのか?」という質問がありましたが、バックエンドのメンバーが「ログ出してもらえてる分、見に行かなくてよくて楽になった」と回答する場面もありました。
課題としては、このbotを使っていると多少なりとも課金量がかかってしまうという面があるそうですが、調査する人件費を考えればいいのではないか、ということでした。
まとめ
以上が第一回の内容でした。
この会は継続的に開催しており、9月16日に第二回を実施、11月10日に第三回の開催を予定しています。
全社的にGitHub Copilotを活用したり、他にも色々なAIの活用の幅が広がってきているので、今後もAIの活用を推進していきたいと思います。
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