🧐
なぜKubernetesが必要なのか?Dockerだけではダメ?K8sとDockerの扱うケース比較
最近のWeb開発やマイクロサービスでは「Docker」や「Kubernetes」の名前が頻出します。
でも、こう思ったことはありませんか?
「Dockerで動いてるならそれでよくない?Kubernetesって複雑じゃない?」
「KubernetesとDockerの違いあまり良く分かってないし、、」
本記事では、Dockerだけでは解決できない運用課題と、それをKubernetes(K8s)がどのように補うのかを、初学者向けにわかるように解説します。
Dockerのすごいところ
まずはDockerの利点をおさらいします。
- 環境依存をなくせる(どこでも同じ環境で動く)
-
docker build
だけで簡単に環境構築 - 本番デプロイもイメージ1つで管理可能
簡単にWebアプリを起動出来る(例)
docker run -d -p 8000:8000 my-app
- name: nginx
image: nginx:latest
ports:
- containerPort: 80
Dockerだけでは限界もある
しかし、実際の開発・運用現場では次のような課題に直面します。
課題 | Dockerだけでは… |
---|---|
スケーリング | 手動で複数コンテナ立ち上げが必要 |
障害対応 | サーバーが落ちたら自分で再起動 |
ロードバランシング | nginxなどの構成が複雑に |
管理 | どのコンテナがどこで動いてるか追いづらい |
保守性 | スクリプトがどんどん増える |
Kubernetes(K8s)の存在
Kubernetesは、大量のDockerコンテナを自動で管理・運用するための仕組みです。
Kubernetesが解決してくれること
Kubernetesができること | Dockerだけでは? |
---|---|
自動スケーリング | 手動で docker run するしかない |
自動再起動 | 障害発生時に対応が必要 |
サービスディスカバリ | IPアドレスやポート番号の手動管理 |
コンテナの配置管理 | どのホストで動かすか自分で決める必要あり |
構成のコード化 | スクリプトや手作業で対応が必要 |
実際のユースケース
ECサービス(例)
- セール時にアクセス急増
- オートスケーリングでPodを自動的に増やす
- 決済・商品表示などをマイクロサービスで分離
開発チーム
- 複数チームがそれぞれサービスを担当
- ネームスペースで環境ごとに分離
- HelmやGitOpsで効率的にデプロイ
Kubernetesの基本構成(ざっくり)
用語 | 説明 |
---|---|
Pod | コンテナの最小単位(1つまたは複数のコンテナ) |
Deployment | Podの数や更新の制御(リリース管理) |
Service | 外部アクセス用の窓口(ロードバランサ) |
Namespace | チームや環境の分離(dev / prodなど) |
Docker vs Kubernetes ではない
ここで重要なのは、「DockerかKubernetesか」という対立構造ではない、ということです。両者は役割が違う、協力関係にあります。
Docker: アプリケーションを動かすための「コンテナエンジン」。いわば、荷物(アプリ)を積むための高性能なコンテナそのもの。
Kubernetes: そのコンテナを管理・運用するための「オーケストレーションツール」。たくさんのコンテナ(荷物)を、世界中の空港(サーバー)へ効率よく、安全に、自動で配備し続ける巨大な物流システム。
Kubernetesは、コンテナを動かすエンジンとしてDocker(containerdのような他のコンテナランタイム)を利用します。両者は最高のパートナーでもあります。
Dockerだけでいい?Kubernetes使うべき? (IMOです)
条件 | Kubernetesが必要? |
---|---|
小規模なアプリ1つ | ❌ Dockerで十分 |
3つ以上のコンテナ構成 | ⚠ docker-compose or Kubernetes |
アクセスが変動する | ✅ オートスケーリングが便利 |
SLA(安定稼働)が求められる | ✅ 自己修復が重要 |
チーム開発&マイクロサービス構成 | ✅ 環境分離・サービス管理に最適 |
結論
Dockerは「アプリを簡単に動かすためのツール」
Kubernetesは「そのアプリ群を大規模・自動で管理するための仕組み」
Dockerが得意な領域 | Kubernetesが得意な領域 |
---|---|
小規模開発 | 本番運用、スケーリング、大規模運用 |
単体アプリ | マイクロサービス、複数環境の統合管理 |
手動で十分な構成 | 自動化・監視・復旧が必要な構成 |
Discussion