案件ジョイン時「とりあえず資料読んどいて」と言われたときの進め方を考える
案件に参加する際、「資料を一通り読んでおいてください」という、一見シンプルながらも実は難解な要求をされることがあります。
配慮のある人であれば「どこにどういう資料があるからどういう順番で読んで何々をインプットして」という説明をしてくれるとは思いますが、往々にして皆さん忙しかったり、そもそも資料管理ができておらず自分でも説明ができない状態だったりすることがあります。
私は開発案件に入ることもあれば運用案件に入ることもあります。
役割としてもエンジニア/オペレーター/Dir/PLなど案件ごとに異なります。(何でも屋…)
いままで多種多様な案件を経験してきましたが、毎回ジョイン時に「とりあえず資料読んどいて」と言われて眺めてみるものの「…うん、全然わからん☆」となることが多いです。
最近も新たな案件にジョインして同じような状況に陥ったので、どう進めていくのが効果的なのかを考えてみました。(汎用的にまとめようとしたが故にかなり抽象的になっちまった…)
これが正解だと思ってないですし言語化が甘いところもあるので、もしこれを読んで引っ掛かりを感じた方がいたら意見を頂けると嬉しいです。
そもそもなぜ難しく感じるのか?
細かく分けるとキリがないですが、超ざっくりまとめると以下かなと考えています。
- 何から手を付ければわからない
- 読み込む資料の優先順が分からない
- 資料の全体像が見えていない
- プロジェクトの理解が乏しい
- 専門用語が分からない
- プロジェクトの全体感が見えていない
それを解決するにはどう進める?
1.目的意識を持つ
最初に「資料を読む目的は何か」を明確にします。
手あたり次第資料を漁っていては効率が悪いですし、なにより漠然と読み込んでも理解できることは少ないです。目的を定めることで、その目的に沿った情報を重点的にインプットしていきます。
資料を読み込む目的がイマイチわかっていない場合は、事前に先輩や上司と「このプロジェクトでの自分の役割は何か」「成功のために必要な情報は何か」をすり合わせます。
2.フォルダの全体像を把握
共有された資料の全体像を理解するために、フォルダ構成やファイル一覧を確認します。
フォルダ構成を理解することでどこに何があるか探す手間は省けますし、もし壊滅的なフォルダ構成になって資料が取っ散らかっている場合でも、自分の手元で整理することでどういう情報が存在しているのか把握しやすくなります。
SharePointの場合「Excelにエクスポート」という、指定したフォルダ配下のファイル一覧をエクスポートする機能が存在します。
SharePointでなくとも、エクスプローラーであればコマンドプロンプトからファイル一覧の取得が可能です。
各資料は大まかにカテゴライズして、後のステップで読むべきものを選定していきます。
ファイル名から資料の中身が推測できれば良いのですが、そうでない場合は資料を開いてどのカテゴリに属するのかを把握します。
3.優先順を整理する
1で定めた目的に沿って読み込む資料の優先順を決めていきます。
優先順の決め方は個人のセンスに拠ってしまうので難しいところです。
不安な場合は先輩や上司と「この順番で読み込もうと思うのですがどうですか?」と意見を仰ぐのも良いかと思います。
私はDirやPL的な役割で入る場合、基本的にはRFP→提案書→運用設計書…のように上流から下流へ進めることが多いです。RFP/提案書でクライアントが求めることと弊社がどのようなバリューを出そうとしているのか把握し、その後実務のイメージをざっくり付けていきます。
オペレーターとして入る場合、まず作業の勘が必要になってくるので作業マニュアルを中心に読み込み、必要に応じて他の資料で知識を補填することもあります。そのとき上流工程の資料はスコープ外と割り切り優先順は下げています。
4.いざ読み込み
資料を読み進めていきます。
私は「案件メモ」「用語集」「質問表」に分けて管理しています。
また、管理の際はエクセルを使って、それぞれシートを分けています。
案件メモ
目的に沿って重要だと思う内容をメモしていきます。
情報をまとめる際、自分の意見を加えることによる曲解をしないよう注意が必要です。事実と私見は切り分けるようにしましょう。
不明点等は後述の用語集や質問表にまとめていきます。
用語集
理解できない用語をピックアップしていきます。
用語集を作ることには言葉の定義を管理する効果もあります。ITあるあるだと思うのですが、案件やツールごとに用語の定義が微妙に揺れていたり略語の理解が違ったりして、アンジャッシュのコントのような会話が繰り広げられることがあります。
後に入る人のためにも整理しておくと喜ばれるし、ひいてはコミュニケーションコストの削減にも繋がります。
私はざっくりカテゴリという形で切り分け、その用語と意味を記載しています。
- PJ用語
- ソリューション用語
- 一般用語
また、用語に揺れがある場合は「類義語」の項目を作るのも良いと思います。
質問表
案件に入りたての頃はプロジェクト背景の理解が乏しいこともあり、勘所が掴めず質問も抽象的になりがちです。質問事項はテキストという形で管理し、ある程度まとまった段階で先輩メンバーに確認出しをします。
言語化することで不明点の解像度が上がってきますし、場合によっては他の資料を読み込む中で自己解決することで資料間の紐づけができて情報の精度が上がっていきます。
また、質問される立場としてもいきなり口頭で聞かれても答えられないこともあるので、あらかじめテキストベースで貰えると大変助かります。
私は添付のような質問表を作っていますが、場合によっては以下のカラムを設けることもあります。回答者は指名というこちらが入力することもあります。
- 質問日/回答日
- 回答期限
- カテゴリ
- 優先度
- ステータス
ちなみに、「分からないことが分からない」という状況に陥るときもあるかもしれないです。そういうときのコツは、「自分が分からないことを言語化できるようになるまで細分化すること」だと考えています。
おまけ:逆に自分が資料読み込みを指示する場合
「読み込み時に自分がされて困ること」の逆をするようにしています。
具体的には以下の内容で指示出しをしています。
- 読み込む資料は具体的なファイルパスを記載し、優先順もこちらで定める
- どういう観点で読んでほしいのか、目的を伝える
- 用語集や質問表を作り、そこに不明点等を挙げてもらう
終わりに
このような資料読み込みなどの(「見えない家事」ならぬ)「見えない仕事」は人のセンスによるところも大きいのでなかなか型化が難しいところです。
冒頭に書いたようにこれが正解だと思ってないので、都度ブラッシュアップしていきます。
ご意見ご感想などお待ちしております。
Discussion
初めまして。
しなやかに取り組まれており、大変感心しながら読ませていただきました。
昨今、「資料が体型的に管理されていない」「既存メンバーが多忙で説明やフォローに回れない」といった案件に連続してジョインし、立ち上がりに苦労し続けていました。
その経験をもとに、案件ジョイン辺りで何かアウトプットしていけたらと思って情報収集していたところ、辿り着きました。
「とりあえずコレ読んどいて」は、技術革新が目まぐるしいにも関わらず、なくならないものですね〜。
しかも、ベテラン相手となると、何もせずとも案件をこなせるものでしょ?という神話があるのか?
というくらいフォローされなくて面白いです、笑
はじめまして、コメントありがとうございます!
誰しも一度は立ちはだかる壁ですよね〜。
私も忙しさにかまけてフォローおろそかになりがちだし、対象者の歳や職位が上なら「経験則でなんとかなるっしょ」が多いので気を付けたいところです。
理想論かもしれないですが、あらかじめ「誰がいつジョインしてもスムーズにインプットできる」仕組みを設計・構築しておくべきだなと考えています。