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GolangでOracle(その2)

2023/07/03に公開

はじめに

先日、Golang で Oracle の各種データ型を扱った場合の評価を行いました。

https://zenn.dev/robon/articles/9ab6cb9e1b9d1c

今回は、日本語の識別子、データを扱った場合の評価を行います。

Oracle

データベース

前回と同様、Amazon RDS 上に構築した Oracle サーバを使用します。

テスト用のテーブル

対象とするデータ型

前回は、全てのデータ型を対象としましたが、今回は文字データを保持するものを対象とします。

コード データ型 説明(抜粋)
1 VARCHAR2(size [BYTE | CHAR]) 最大長がsizeバイトまたは文字の可変長文字列。
1 NVARCHAR2(size) 最大長がsize文字の可変長Unicode文字列。
8 LONG 最大2GB(231から1を引いたバイト数)の可変長文字データ。
96 CHAR [(size [BYTE | CHAR])] 長さsizeバイトまたは文字の固定長文字データ。
96 NCHAR[(size)] 長さsize文字の固定長文字データ。
112 CLOB シングルバイト文字またはマルチバイト・キャラクタを含むキャラクタ・ラージ・オブジェクト。
112 NCLOB Unicodeキャラクタを含むキャラクタ・ラージ・オブジェクト。

非推奨の LONG 以外は、N なしと N ありの 可変長文字列、固定長文字列、文字型ラージオブジェクト になります。

テスト用のテーブル

ちょっとアレな感じの CREATE TABLE 文にします。

CREATE TABLE 日ほンゴ表 (
    列1 VARCHAR2(10 CHAR),
    れつ2 NVARCHAR2(10),
    レツ3 LONG,
    レツ4 CHAR(10 CHAR),
    Retsu5 NCHAR(10),
    列6 CLOB,
    列7 NCLOB,
    CONSTRAINT pk_日ほンゴ表 PRIMARY KEY(列1)
);

この CREATE TABLE 文の場合は、sqlplus で実行する前に NLS_LANG の設定が必要になります。Amazon Linux 2 上で動かす場合は、以下のようにします。

$ export NLS_LANG=Japanese_Japan.UTF8
$ sqlplus agra@oracle.■■■■.ap-northeast-1.rds.amazonaws.com/orcl

SQL*Plus: Release 19.0.0.0.0 - Production on 木 525 10:18:47 2023
Version 19.19.0.0.0

Copyright (c) 1982, 2022, Oracle.  All rights reserved.

パスワードを入力してください: 
最終正常ログイン時間: 木 525 2023 10:09:56 +00:00


Oracle Database 19c Standard Edition 2 Release 19.0.0.0.0 - Production
Version 19.18.0.0.0
に接続されました。
SQL> @testdata/create_table.sql

Golang

処理系とライブラリ

前回と同様、Golang は、1.18.6。github.com/sijms/go-ora/v2 は、v2.7.6 を使用します。

今回はタイムスタンプは、検証の対象ではありませんので、ドライバ付属の独自型の問題はありません(気になる方は前回の記事を参照ください)。

アプリケーション

前回と同様ですが、Golang 側の識別子も日本語にしてみます。ただし、Golang の識別子の先頭文字は、パッケージ外への export の可否の識別に使われるため、先頭文字は英大文字にしておきます。

package main

import (
	"database/sql"
	"log"
	"os"
	"reflect"

	"github.com/google/go-cmp/cmp"
	"github.com/jmoiron/sqlx"
	_ "github.com/sijms/go-ora/v2"
)

// S日ほンゴ表 は、日本語テストテーブル
type S日ほンゴ表 struct {
	F列1     sql.NullString `db:"列1"`     // varchar2
	Fれつ2    sql.NullString `db:"れつ2"`    // nvarchar2
	Fレツ3    sql.NullString `db:"レツ3"`    // long
	Fレツ4    sql.NullString `db:"レツ4"`    // char(10)
	FRetsu5 sql.NullString `db:"RETSU5"` // nchar(10) 全角でも大文字
	F列6     sql.NullString `db:"列6"`     // clob
	F列7     sql.NullString `db:"列7"`     // nclob
}

// Key は、日本語テストテーブルのキー
type Key struct {
	Col01 string `db:"COL01"`
}

func main() {
	sqlx.BindDriver("oracle", sqlx.NAMED)

	dsn := os.Getenv("DSN")
	db, err := sqlx.Open("oracle", dsn)
	if err != nil {
		log.Printf("sql.Open error %s", err)
	}

	key := Key{"カヘン長文字列"}
	src := S日ほンゴ表{
		F列1:     sql.NullString{String: "カヘン長文字列", Valid: true},
		Fれつ2:    sql.NullString{String: "カヘン長文字列", Valid: true},
		Fレツ3:    sql.NullString{String: "あぁアアガAa漢〇€㈱ー~―‐-", Valid: true},
		Fレツ4:    sql.NullString{String: "コテイ長文字列   ", Valid: true},
		FRetsu5: sql.NullString{String: "コテイ長文字列   ", Valid: true},
		F列6:     sql.NullString{String: "あぁアアガAa漢〇€㈱ー~―‐-", Valid: true},
		F列7:     sql.NullString{String: "あぁアアガAa漢〇€㈱ー~―‐-", Valid: true},
	}

	_, err = db.NamedExec(`
		INSERT INTO 日ほンゴ表 (
			列1, れつ2, レツ3, レツ4, RETSU5, 列6, 列7
		) VALUES (
			:列1, :れつ2, :レツ3, :レツ4, :RETSU5, :列6, :列7
		)`,
		src,
	)
	if err != nil {
		log.Printf("db.Exec error %s", err)
	}

	dst := S日ほンゴ表{}
	query, args, err := db.BindNamed(`
		SELECT 
		列1, れつ2, レツ3, レツ4, RETSU5, 列6, 列7
		FROM 日ほンゴ表 
		WHERE 列1 = :COL01`,
		key,
	)
	if err != nil {
		log.Printf("db.BindNamed error %s", err)
	}
	err = db.QueryRowx(query,
		args...,
	).StructScan(
		&dst,
	)
	if err != nil {
		log.Printf("db.QueryRow error %s", err)
	}
	if !reflect.DeepEqual(src, dst) {
		// log.Printf("\nsrc = %#v\ndst = %#v\n", src, dst)
		diff := cmp.Diff(src, dst)
		if len(diff) > 0 {
			log.Print(diff)
		}
	}

	_, err = db.NamedExec(`
		DELETE FROM 日ほンゴ表
		WHERE 列1 = :COL01`,
		key,
	)
	if err != nil {
		log.Printf("db.Exec error %s", err)
	}
}

問題ではありませんが、Oracle のカラム名の戻しが upper case なのは、全角文字でも同様みたいなので、StructScan で受けるためには、上記のように CREATE TABLE 文で「Retsu5」あっても、db タグは「RETSU5」にしないといけませんでした。

sqlx の問題(再掲)

以前の PostgreSQL の評価時に明らかになったのですが、sqlx の Named Query は、マルチバイト Unicode 対応できていません。

このため、このプログラムを動かすには、sqlx を修正する必要があります。今回の修正は、sqlx には プルリク 済みです(が、休眠しているようなので、取り込まれないかもしれません)。

この修正を適用して動かすためには、以下のリポジトリを clone して、go.mod で replace する必要があります。

https://github.com/roboninc/sqlx

https://github.com/take0a/go-sqlx-sample/blob/master/go.mod

おわりに

今回の評価では、Oracle 特有の日本語の問題は発見できませんでした。

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