基本情報技術者試験を最短で合格するための道のり
はじめに
基本情報技術者試験の受講者は、他の資格試験と比較しても多いです。
たとえば、令和5年度では121,611人が受験しており、そのうち57,278人が合格しています。(合格率:47.1%)
実は、これまでの基本情報技術者試験の合格率はかなり低く、20~30%程度でした。
しかし、令和2年度より筆記試験からCBT方式(筆記ではなくコンピュータを用いる試験)に変わりました。
これにより、各個人が十分に対策を行ってから試験に望むことができるようになり、令和2年度以降の合格率は40~50%を推移しています。
しかし、CBT方式へ移行してもおよそ2人に1人は不合格となっており、不合格となればもう一度受験しなければなりません。
(ちなみに、再受験は受験日から最短でも30日後となり、かつ再受験料が7,500円かかります)
そのため、基本技術者試験に最短距離で合格することは、応用技術者試験の対策に進んだり、その他スキルアップに時間を割くうえでとても重要な要素となります。
そこで、本記事では基本情報技術者試験の対策方法について、私の経験をもとに説明したいと思います。
以下の手順に沿って記載しています。
- なにも対策をしないで過去問を解いてみる
- テキストを読んでみる(1周目)
- わかる問題を解き、わからない問題はテキストを参考にする(2周目)
- テキストを読み、前回不正解だった問題を解いてみる(3周目以降)
- 過去問(2冊)を80~90%正解できるようになるまで繰り返す(試験1~2週間前)
1. なにも対策をしないで過去問を解いてみる
まずは、書店に行って基本情報技術者試験の過去問(テキスト付きでも可)を購入して、テスト1回分の過去問を実際に解いてみましょう。
常識的に考えると、テキストを何度も読んだあとに過去問を解くことが普通です。
確かに、私達は何も知らないことに対して正しい答えを選択することはできません。
しかし、基本情報技術者試験では、一般的な知識や普段インターネットを利用していれば知っている(または耳にしたことがある)知識によって、推測できる問題もあります。
そのため、試験であると重く考えずに、気軽に一回分の過去問を解いてみてください。
具体的には、1時間かけてテスト1回分の過去問を読解して、もっとも近いと思われる選択肢を解答したのち、残り時間まで見直します。
これによって、現状を把握するとともに、合格までに必要な学習量が直感的にわかります。
先ほど記述しましたが、このフェーズにおいて以下の重要なポイントがあります。
なぜ1時間もかけて過去問を解くのか
知識がない状態で1時間も解答に時間を時間の無駄だ、というのはごもっともです。
しかし、このプロセスで感じたことが最も大切です。
多くの場合、ほとんどなにも解けないことに対して大きなストレスを感じます。このストレスこそが重要であり、その後の学習モチベーションに対して良い影響を与えます。
それは、自身がレベル1であることを自覚することです。
テレビゲームに例えるとわかりやすいですが、これから自身がレベルアップすることは大きな達成感となり、モチベーションとなります。
特に、はじめの学習では知らない知識が多いため、1章ずつ進めるたびに解ける問題が多くなっていくことが実感しやすいです。
つまり、レベル1の状態を自覚することで、今後の勉強に対するモチベーションがより大きくなります。
2. テキストを読んでみる(1周目)
過去問を一度解いてみた後は、実際にテキストを読み始めましょう。
特に、テキストの構成を把握するようにしましょう。
多くの対策本は、ジャンルごとに章立てされています。
特に、書店に積まれている有名な対策本は、1章から順番に理解することで効率的に理解できるように構成されています。
そのため、細かい用語を何度も確認するよりも、全体としてなにを教えているかを把握することが重要になります。
また、ここでは内容を覚えることよりも理解することに集中しましょう。
感覚としては、テキストを読むというよりはテキストを眺めるくらいで問題ありません。
大切なことは、この時点でモチベーションを低下させないために、ハードルをぐっと低くして学習することです。
3. わかる問題を解き、わからない問題はテキストを参考にする(2周目)
基本情報技術者試験のテキストは書店に置かれているもので500~600ページと、とても厚く感じます。
それもそのはず、基本情報技術者試験は理解しやすい内容が多いものの、それらの範囲が広大であるため、どうしても網羅するために多くのページが必要となってしまいます。
2周目で大切なことは、間違うことを前提として問題を解いてみることです。
そして、その正誤をテキストに記載してください。
- 問題Aが正答だった場合、その問題に◯をペンで書き込んでおきます。
- 問題Bの解き方がわからない場合は、**?**を同様に書き込みます。
- 問題Cの解き方がわかっている(つもりだった)が不正解だった問題は、×を書き込みます。
こうすることで、以下の効果が得られます。
実績が目に見える形で残る
試験勉強は、特に独学であるとどうしてもモチベーション面でつらくなってしまいます。
なぜかというと、目標が試験の合格である以上、どれほど勉強すれば合格できるかを努力の指標としてしまうからです。
しかし、どれほど勉強したかを直接目で見ることはできません。そのため、問題をどのくらい解いてきたか、その正答率は何割かを見える化することがモチベーションを向上することにとてもいい影響を与えてくれます。
今後の学習時間を大幅に短縮できる
前述した通り、基本情報技術者試験の範囲はかなり広大であるため、それに準じてテキストの演習問題も多く存在します。
このような多くの演習問題を総当たり的に解いていくと、どうしても余計な時間がかかってしまい徐々にモチベーションが低下してしまいます。
これに対して、すでに十分理解している問題と苦手な問題を分類しておけば、苦手な問題のみを繰り返し解けばより効率的に試験対策を進めることができます。
以上のような効果があるため、問題を解いたあとは付近に◯や×といった記号を書くことを習慣化することを強くおすすめします。
そして、×や?(わからない問題)は、その分野に関連するテキストを再度読み直します。
目安としては、テキストを読んだ直後であれば正答理由を説明できる程度の理解度で十分です。
4. テキストを読み、前回不正解だった問題を解いてみる(3周目以降)
2周目では、テキストを読んだうえで演習問題を解き、その時点での現状を記号にて書き記しました。
3周目以降で重要なことは、理解していない問題のみを学習することです。
試験勉強をしていると、解けない問題が解けるようになることで大きな達成感を味わうことができます。
それと同時に、解けるようになった問題に執着してしまうことがあります。
これは、達成感を味わったあとに新たな問題に取り組むことに対して、ハードルを感じてしまうことが原因であり、かなり陥りやすい罠のひとつです。
対策としては、問題が解けること、解けないことに一喜一憂しないのが最も効果的です。
マインドとしては、試験に合格することが目標であり、この問題に正答することは手段のひとつなんだと思い込むことが重要になります。
5. 過去問(2冊)を80~90%正解できるようになるまで繰り返す(試験1~2週間前)
前述した通り、基本情報技術者試験はCBT方式を採用しているため、受験日を自由に決定できます。
これはつまり、合格できると確信してから受験することが可能であるとも言えます。
しかし、多くの対策本に記載されている通り、モチベーションの点からいえば先に受験日を決定しておいて、試験勉強をはじめる際に受験料を支払うことが最善の策です。
目安としては、手順1~4を4~6週間で終わらせて、試験当日の1~2週間前から過去問を解くのがよいです。
過去問は市販されている教材で全く問題ありませんが、是非出版社が異なる2冊を購入することをおすすめします。
これは、物量をこなすためではなく、網羅度が高まるためです。
私が複数の過去問題集を購入して感じたことは、書籍によって傾向が偏っているということです。
これは仕方のないことで、新シラバスがテキストや過去問に適用されていない場合や、頻出問題を多く掲載するという過程で一部問題を割愛している場合があるためです。
最短でかつ確実に合格するためには、過去問を2冊購入してそれらの問題を繰り返し解くことが重要です。
また、最近の基本情報技術者試験では、対策本に書かれていない知識を問う問題もかなり多く出題されます。
しかし、これは全受験者に対して平等に出題されます。私も同様に、当日に出題された問題で初めて目にした単語が数多くありましたが、過去問で出題された問題をしっかりと解くだけで合格できました。
なかには、不安になって上位の試験問題(応用情報技術者試験など)を解いてより完璧にしたいと思われる方もいると思いますが、私はおすすめしません。
なぜなら、0.なにも対策をしないで過去問を解いてみる にて記述した通り、応用情報技術者試験の問題は難しいため、レベルダウンしたと錯覚してしまう可能性があるためです。
もちろん、これまで学習してきた知識が失われるようなことは起こりませんが、本番当日までのモチベーションに悪い影響を与える可能性があるため、基本情報技術者試験の問題のみを復習することが最も大切となります。
まとめ
以上が、私の経験に基づいた基本情報技術者試験の対策方法となります。
基本情報技術者試験には、科目Aと科目Bがあり、それらを区別せずに記載しました。
科目Bについては、アルゴリズムについての知識があると有利になります。考え方についても過去問で十分に対策できるため、まずは1.に記載したとおり一度過去問を解いてみると道のりがはっきりします。
記載した学習の手法は試験勉強であれば活用できるため、基本情報技術者試験に合格したあとは、是非応用情報技術者試験に向けて同様に対策を行ってみてください。
ひとつひとつの内容について詳細が求められるため、基本情報技術者よりも難易度が高いですが、全体の構成や傾向は重なっているため、連続して試験勉強を行うとより効率的に進めることができると思います。
この記事を参考にしてひとりでも多くの方が基本情報技術者試験に合格してエンジニアとしての道をスタートできればと思います。
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