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小規模プロジェクトマネジメント(前編)

2022/12/20に公開

背景

先日2022年度駒場祭にて、UT-virtualの有志メンバーとともに「天空島からの脱出」というVRゲームを制作しました。僕含むUnity経験者は2名、初心者は3名で制作し、僕はプロジェクトマネジメントに携わりました。主観としてはチーム運営に成功し、限られた時間の中では満足のいく作品を制作することができました。プロジェクトマネジメント(以下PM)を行うにあたって徹底していた点を以下に書き残します。

前提

今回の製作はサークルの有志メンバーによって行われたため、初心者含め、互いに創作へのモチベは高い状態で始まりました。そのため本稿は、すでにやる気のあるメンバー同士で組まれたチームを対象とし、そのチームの運営が成功するような経験則をまとめたものとなっています。また、知見も学生サークルにおいて、かつ初心者を含むチームでのPMに関する内容となっています。ご了承ください。

制作はUnityとblenderによって行われ、Unity担当者4名、blender担当者1名に分かれてゲームを制作しました。最初の3週間ほどは初心者の育成に費やし、残りの1か月ほどでゲームを完成させました。詳細は後日。

PMのお仕事

学生サークルにおいて、PMがやるべきことは以下の3点です。

  • 楽しむ
  • まず肯定する(後編)
  • 進捗を細かく確認する(後編)

「楽しむ」ことがまず大事!

PMの仕事としてよく取り上げられるのは、プロジェクトを完成させることです。しかし学生サークルでの創作としては、これを第一の要素としてしまうと軋轢が生じる可能性が高いです。プロジェクトの完成のためにロボットのように相手に進捗を迫っては、「創作」が嫌な思い出としてメンバーの心に残ってしまいます。楽しんで創作し、プロジェクトを完成させる。この二つを同時に達成することが必要です。

初心者を含むメンバーとともに楽しんで創作するためには、初心者自身が進捗を生める存在になることが理想です。経験者は初心者の成長を目にした時にこそ喜べるのだと思います。そのため、初心者が自発的に創作に取り組み成長してもらえるように、「創作を楽しそうと思うこと」、「創作を楽しいと思うこと」の二つが伝わるよう取り組みました。

創作を楽しそうと思うこと

創作は楽しい。経験者としては事実でしかありませんが、これは往々にして立ちはだかる壁を乗り越えた先にあります。それらを一人で乗り越えていけ、と初心者を突き放してしまうのは少し酷です。PCに向き合い、壁を乗り越えんとするためのエネルギーを、「創ること」や「創るもの」への憧れという形で提示するため、以下の二点をプロジェクト初期で共有しました。

一つ目は創作の面白さです。自分の思い描いた作品に近づけたとき、展示してお客さんに喜んでもらったとき、自分の技量が上がっていると気づいたとき、迫りくる締め切りを横目に必死で手を動かしているとき(笑)。創作においてどんな瞬間を楽しいと思うかは人それぞれですが、Unity経験者の僕ともう一人の二人でなぜつくるのかについて語り、それをチームメンバーに共有していました。つくる理由の言語化については以下の本が詳しいです。
https://www.amazon.co.jp/クリエイターになりたい-ミータ-ワグナー/dp/4760149813https://www.amazon.co.jp/クリエイターになりたい-ミータ-ワグナー/dp/4760149813

二つ目は制作物の面白さです。面白さとして挙げていたのは、創りたいものの風景、創りたい感情、創りたい体験などです。自分たちが作ろうとしているものでお客さんは何を得ることができるのかを言語化し、互いに共有していました。これは後述する、体験の核から実装する話と密接にかかわります。ゲームの面白さの言語化については以下の本が詳しいです。
https://www.amazon.co.jp/「気持ちいい」から考えるゲームアイデア講座-吉沢-秀雄/dp/4297126192

創作を楽しいと思うこと

創作への憧れが生起されたなら、次は実際に手を動かすことへの楽しさを実感してもらうことが重要です。創りたいものを思い描き、調べながらなんとか作り上げ、そして思い通りに動いたとき、創ることへの楽しさはただの知識から実感へと変身します。最初は自分の作品への自信が持てないことも多いです。初心者が進捗を挙げてくれたならば、最大限反応することは心がけていました(以下の画像は僕のSlackでのスタンプです)

創作のためには技術を身に着ける必要があり、そのためにチュートリアルを探すことになると思います。しかしネット上にはチュートリアルは多く存在し、挫折せずに、手順を追うだけで成果を実感できるようなチュートリアルを選ぶことは難しいです。Unityとblenderについて、以下に重宝したチュートリアルを掲載します。一番最初のチュートリアルとして強くお勧めします。

Unityのチュートリアル

Essential Pathwayを修了するとエディタをある程度操作できるようになります。Unityを担当してくれた初心者の二人は、Pathwayを修了した後実際にコードをかけるようになりました。
(※Unity Learnの紹介についてはまた別途記事を書きます)
https://learn.unity.com/

blenderのチュートリアル

https://www.youtube.com/watch?v=S6aAvxUx2ko&ab_channel=3DBibi

おわりに(前編)

本稿では初心者とチーム制作をするPMとして、実際に取り組んだことや気を払っていた点をいくつか述べました。創作を楽しむこと、それは創作に対して敬意を払うことに繋がります。創作に対する熱意、欲求、敬意を抱えた人とともに制作するのは、経験者にとっては本当に楽しいことだと思います。そのため、今回のチーム制作では初心者にまず創作を楽しいと思ってもらうことを最初の目標としました。後編へと続きますが、また目を通していただければ幸いです。





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