サイボウズ x SmartHR アジャイル文化醸成への挑戦 ~ 実践と学び ~ 参加レポート
概要
今回は「サイボウズ x SmartHR アジャイル文化醸成への挑戦 ~ 実践と学び ~」に行ってきました。
そのメモになります。
アジャイルな開発チームでテスト戦略の話は誰がする?
cybozu
1. 課題意識
- アジャイルなチーム →SW 品質はチーム全体の関心ごとのはず
- チームメンバーが考える時、同じ方向を向くには?
→ テスト戦略(開発プロセスのいつ、どこで実施することで狙った品質を実現するか、の粒度)
2. チームの変遷
1:受け渡し型: アプリエンジニア →QA エンジニア(チーム)
- 機能テスト → リグレッションテスト → リリース
- good
- 役割分担が明確
- 課題
- FB ループが長く、不確実性を増大
2: アジャイル導入:スクラム(アプリ、QA 混在)
- よかった点
- QA が開発プロセスの早期から関与できる
- FB ループの短縮
- 職能間の距離を縮める
- QA が開発プロセスの早期から関与できる
- 課題
- QA の人だけ が戦略を考える形になってしまった
3:スクラムに加えて、QA 専任チームも追加
業務量の問題には対応できた
3. アラインメントという課題
アラインメント=向きをどう揃えていくか。
製品戦略
- QA 的には考慮できてそうだが、、、製品戦略には生きているのか、、、?
他の技術戦略
- テスト戦略と他で食い違いあるかも?
- CI/CD、リリース戦略、テスト戦略は密接だが、、、
開発チームや個々人の理想
- メンバーは同じ方向を向いている?
- テスト戦略に従った活動ができているか追跡できていない
4. 現在取り組もうとしていること
- 事業戦略に紐づいた技術戦略の一つとして、テスト戦略を立てよう
- 事業戦略とそこからブレークダウンされた製品戦略に照合して、テストの現状と理想のギャップを明らかにする
- 少し無理があっても紐づえ k て、アラインメントを維持したまま全体像を把握できるようにする
- トレーニングが必要
- 優先順位を考慮して、理想に向かっていくための施策を打つ
5. アジャイルな開発チームでテスト戦略の話は誰がする?
- チーム全体が話すこと、個々人の向いている向きが揃うことの両立
- EM カンファレンスでもあった、同じ方向のベクトルであれば合成して強くなる。違う方向だと弱くなる
- 皆が話すための議論の土台として、事業戦略に紐づいたテスト戦略を作る
- 各自でテスト戦略を参照して話をする
- → 安心して How に取り組める
- What, Why の問いを生み出して、FB ループを回す
アジャイルやっていきを醸成する内製講座
SmartHR
開発プロセスの変遷
~2019: イテレーティブな開発(少数精鋭、アジャイルプラクティスのかいつまみ
2019~: スクラムの本格導入 → 他チーム →Large Scale
アジャイル推進室
- 2020/04 立ち上げ(2 名)
- 各チームに SM が常にはいない、改善に注力できなかった
- https://tech.smarthr.jp/entry/2020/04/07/173653
- 現在 9 名
内製講座 「スクラム講座」
- プロダクトエンジニアは受講推奨(他の職種メンバーも可能)
- 半年ごとに全 8 回
- 通算 11 期の講座
講座概要
1:概念的な内容
2~7: スクラムガイドを事前に読んで、関連シチュエーションについて GD する。その上で、アジャイル推進室の回答例を示す。GD では、具体的なお題を出す。
8:SmartHR が大事にしてきたアジャイルの考え方
中途向け → 入社すぐにアジャイル講座(第 1 回くらいの内容)
講座運営のカタ
- 事前準備のテンプレート化:事前準備 TODO
- 改善:講座資料のアップデートなど
取り組み
-
交代制スクラムマスター
- チームの SM ができるようになることを目指す
- YWT+K で SM は毎週相談
- アジャイル推進室はファシリテートなどで協力
-
アジャイルやっていきの集い
- 互いの悩みや知見を共有する場
- 毎週 30 分
内製講座のメンターをやっていく中での学び
Good
- 定期的な学び直しの機会
- 教える=アクティブラーニング
- 他チームの好事例を多く知ることができる
難しかったこと
- メンターのグループへの介入頻度、FB の踏み込み具合(参加者の自律性を期待している)
- 講座内容の期待値調整(アンケートで違う内容を求めていた旨が出てきたりする)
アジャイル推進室で心がけていること
自分たちが最も楽しみ、学ぶこと
- 積極的な知見共有と情報発信
- コミュニティ仮設キャンバスで目線合わせ
- 定期的な飲み相談
kintone 開発を効率化するためにチームで試した施策をその結果を大放出!
cybozu おぐえもん さん
kintone:Google Closure Tools→React(2021~着手)
チームでやっていたこと
定例の予定の整理
色んな S イベントや予定 → 時間の固定費 → 個人の作業に慢性的ない影響が出る
取り組み
- 似た予定の統合: 夕会+朝会 → 朝会(会の勤務時間の差がないから影響がない)
- 予定の時間帯を集約:予定の分散 → 特定の時間帯に集約(予定忘れなくなる)
- 意義の乏しくなった予定の解消:組織階層ごとの朝会 → バッサリ切る
予定の塊とまとまった空き時間で、コンテキストスイッチが減る
学び:まとまった時間、定例の予定を断捨離するには覚悟が必要
開発プロセスの改善
- 後に回せるものを後に回す:1 タスクの細分化
- 使い回せるものを使い回す:手動テスト環境と受入確認で使う環境を揃える
- 減らせるものを減らす:フルリニューアルではなく、差分だけ追記
結果
- コーディングと Docs のスイッチングが減ってやりやすくなった
- 後回しタスクが忘れられやすい → 適切な管理
他
- Slack「1 タスク 1 スレッド」:連続した投稿の検索性を上げるため
- タスク管理で zenhub を活用:進捗、所要時間の可視化機能が強く、今後の改善に活かしやすい(それ以外はまだまだな印象)
- チームを2分割:人数減 → 予定の所要時間減、責務の分割。
まとめ
- 減らす系の施策は大体 OK。問題意識出てからの復活でも OK
- 改善は大体試行錯誤、モグラ叩き
- 取るべき施策はチームを取り巻く状況次第で変わる:臨機応変さ
現場の俯瞰と地道な改善
30→150 人のエンジニア組織拡大に伴うアジャイル文化を醸成する役割と取り組みの変化
2023 ~ アジャイルコーチングユニット
推進室とユニットの違い
- 推進室:メインの職種をやりつつ、集まる
- アジャイルコーチングユニット:スクラムマスター専任
背景
- 領域の連携 → チームの連携
- メンバーの急激な増加に伴い、アジャイル・スクラムに明るい人の割合が少なくなっていく
- スクラムの仮説検証が形骸化してきた感覚がある
アジャイルコーチングユニットがやってきたこと
- 専任 SM 活動
- 内製の SM 育成コンテンツのアップデート
- 仮説検証サイクルの評価と FB
これだけやればアジャイルを維持できるんじゃないか。
→ 大きく変わらなかった。。。
なぜ、変わらなかったのか
- SM 育成が組織拡大のスピードに追いつかない
- あくまで「チーム」にフォーカスしてるから(組織にモメンタムする必要がある)
- リソースの限界(ユニットは 2 名だけで、実働が 1 人。組織に作用したかったが、、、)
改善
- アジャイルコーチのポジション設立・採用
- 組織の変革
- CxO, VP を巻き込む
- 各領域のリーダーが思い描く戦略とアラインメントする。
- 小さく始める(パイロット領域の選定):組織を戻すのにも時間がかかるから。
学び
- フォアキャストではなく、バックキャストのアプローチ
- 見えている課題だけでなく、組織やプロダクトの理想から逆算してやっていく(ゴール設定)
- Pd、組織の戦略にアラインしやすい(課題解決だけやっていくと、組織や Pd に合っているか見落としやすい)
- ポジティブなアプローチである(課題に目を向ける=ネガティブに始まりがち。理想はワクワクしてくるし、ポジティブになれるマインドセット)
展望
- そこにいる人たちのマインドセット(ソフト)にもアプローチする
- パイロット領域の横展開
- AI 活用: https://smarthr.connpass.com/event/346632/
感想
内容自体が勉強になりますし、業務で活かすにはどうしていくと良いのか
知見を得ることができる、そんな会だったように思います。
個人的には、アジャイルの目指す方向性がどうあるべきか
常に言われてはいますが、やはり「顧客への価値提供が全て」なのだなぁと感じました。
価値を届けるために、素早く提供できるようにする。そのために知識を共有する。
あらためてアジャイルについて認識させられました。
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