技術広報はじめました
こんにちは、株式会社ケップルで VPoE を務めている池浦(@pr1v4t3_)です。主な仕事は Slack にニッチなスタンプを登録することです。一番のお気に入りは「手の込んだガラクタ」スタンプです。
さて、本記事は技術広報 Advent Calendar 2024 5日目の記事です。
ケップルは2023年の末から技術広報に取り組みはじめて、ようやく 1 年経ったくらいです。まだまだ若輩者で高尚かつ奥行きのあるナレッジを語れないことから、これから技術広報を始めなければならない人に向けて「とりあえずこんな感じでやってみた」という記事を書きます。振り返りも兼ねて。
本記事における技術広報の定義
本記事における技術広報は、エンジニアリングの魅力を外部に伝え、組織の認知度と理解を深める活動を指します。ターゲット層であるエンジニアに対し「この会社で働きたい」と思ってもらえるようなコンテンツを提供すること・この会社を知ってもらうことを目的とした活動です。
技術広報を通じて、組織の存在を知り、文化や技術への共感を深めてもらう。このように、新たな仲間を迎え入れるための第一歩です。
※組織によって技術広報の解釈は異なることがあります。
想定読者
本記事の想定読者は以下の通りです。
- エンジニア採用に課題感を抱えている方
- 「技術広報担当」がいない企業で活動を模索している方
- 小さな組織やスタートアップで、採用の新しいアプローチを模索している方
具体的には、エンジニア採用市場の厳しさを実感し、「次の手を打たねば」と考えている方々に向けた内容です。
技術広報が必要になるとき
技術広報を始める理由はいくつかあります。ケップルの場合は組織の課題に関する内的な動機と、エンジニア採用市場の熾烈化という外的な動機がありました。
内的な動機
良くも悪くもアーリーなスタートアップでは「熱量と裁量」でエンジニアが集まります。一方で、組織や事業が成長すると文化の多様性や事業の多角化が進み、「熱量と裁量」だけでは表現しきれない多くの文化が誕生します。
これからも組織や事業を継続的に成長させるために、会社の文化や魅力を整理し丁寧に伝え、そこに共感した仲間を増やす。そのような広報的な活動が求められるようになりました。
外的な動機
エンジニア市場の競争は年々激化しています。IT人材の人口減少、待遇水準の上昇、スタートアップ間の採用競争など、エンジニアを採用するハードルは高くなる一方です。助けてください。
こうした状況下で、技術広報は「予算が潤沢な企業だけができる特権」ではなく、すべての企業が工夫して取り組むべき領域となっています。
組織の状況は千差万別ですが、エンジニア採用市場の激化はエンジニアを抱える企業の共通の課題です。一時期に比べるとほんの少し熱りが冷めた感覚を得ていますが、それでももう少し続くと思います。
何から始めればよいのか
技術広報のスタート地点として、広報活動を「認知」と「認識」の2つに分けて考えています。採用マーケティングのような細かい分類をすると私の脳が爆発するので、ここでは「認知」と「認識」だけにさせてください。
- 認知:多くの人に存在を知ってもらう。
- 認識:組織の文化や技術力を深く理解してもらう。
どちらも重要ですが、はじめは「認識」を深めるコンテンツ作りが重要だと考えています。テックブログや採用サイトなどが当てはまりますね。
認知を広げることを優先するのも良いですが、その層を受け入れる仕組みが整っていないと、せっかくの認知が無駄になってしまいます。また、認知が広がっていなくても、人材紹介など他の採用手法を活用できるため、認知を深めるためのコンテンツ作りに力を入れることが重要だと考えます。
認識編:テックブログのはじめかた
テックブログは、組織の技術力や文化を外部に伝える最もプリミティブで最もエフェクティブな手段の一つです。まずは「続けやすさ」を重視して始めましょう。
エンジニアのコミュニティプラットフォームとして強い Zenn、単純に利用者数が多い note がおすすめです。特別な理由がない限りは Zenn という巨象に乗る選択がよいと思います。
私はまずはてなブログを使い始めましたが、重要なのは「どこで書くか」よりも「書き始めること」だと心に言い聞かせて生きています(自戒)
ブログ運営と聞くと、SEOにこだわってしまいがちですが、初めの段階ではそれほど気にしなくても大丈夫です。重要なのは、「リンクを直接シェアしてもらい、読んでもらうこと」や「会社について調べているうちにブログにたどり着くこと」といったストーリーです。検索エンジンからのアクセスに頼りすぎると、すぐに結果が出ないことが多く、モチベーションが下がる原因になります。
実際に検索からのアクセスがじわじわと増え始めたのは、きちんと努力を続けて1年ほど経った時が多いので、ブログを始めたばかりの時は、検索流入よりもこうしたストーリー作りを重視しましょう
認知編:テックイベントのはじめかた
テックイベントを初めて企画した時のドキドキ感は今でも忘れられません。ドキがムネムネして、バクゾウがシンシンしたのを覚えています。
最初の一歩としておすすめなのは、トーク形式のイベントです。ディスカッション形式に比べてトーク形式の方が構成を緻密に練らなくてよいので準備が少ないです。
テックイベントのテーマについては、採用したいペルソナが興味を持つものを考えましょう。私たちの場合、フロントエンドとバックエンドの開発でTypeScriptを使用していたため、「TypeScript」をテーマに選定していました。どのような人が、何に興味を持って参加し、何を持ち帰れるのかが重要です。
また、技術広報のつながりが弱かった私は、コミュニティに参加してイベント共催企業を募りました。ちょうど技術広報を始めようかくらいのタイミングで発足した DevRel ギルド にお世話になりました。コミュニティの力に感謝しかありません!
おわりに
というわけで、 施策のはじめかたと 1 年の振り返りでした。数値で語っていないので、小学生の感想文みたいになってしまいましたが、数値面も語れることあるので、リアルでお会いした方は語りましょう。
これから技術広報を始めようとしている人に届くことを願っています。
技術広報 Advent Calendar 2024 6日目(明日)は @ShuzoN さんの記事です。
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