【文系&IT知識0】1年半でITパスポート,基本情報,応用情報,データベーススペシャリストに合格した話
2022年春から2023年秋にかけて、以下の試験に合格したのでその振り返り。
試験名 | 略称 | 受験年月 |
---|---|---|
ITパスポート | IP | 2022年5月 |
基本情報技術者 | FE | 2022年11月 |
応用情報技術者 | AP | 2023年4月 |
データベーススペシャリスト | DB | 2023年10月 |
主な読者対象
type TargetUser =
| "文系"
| "プログラミング未経験"
| "IT系国家試験に興味のある方";
書いてるのはどんな人?
タイトルの通り、文系あがりでIT知識はゼロのエンジニア力は皆無だった人。
以前から興味はあったが知識も技術も必要そうで、
敷居が高そうなエンジニアはなかなか目指せずに過ごしていました。
しかし、
2022年4月に政府による社会人のためのリカレント制度を利用して、再度学習に集中できる時間を得たことで、一念発起し勉学に励みだしたのが、このお話の始まり。
ちなみに試験勉強を始めたときは、
「2進数とは?」
といったコンピュータサイエンスの基礎中の基礎も知らない所からのスタートでした。
まずは勉強方法の勉強からのスタートだった
社会人以降、明確な試験といったイベントからは離れた生活を送っていました。
そこで改めて、
「効率の良い学習方法はどんなものがあるだろうか。」
と考え、
勉強方法を勉強するところから始めました。
基本的に人は皆、何かを覚えようとしても忘れる性質を持つ。
そこで、「エビングハウスの忘却曲線」に注目し、適切なタイミングで繰り返し学習を進めることで、必要な知識の定着を図る作戦を実施することに。
具体的には、「練習帳」というアプリに参考書を登録し、忘却曲線に沿った適切なタイミングで復習を行えるように、勉強計画を半自動化。
このアプリのお陰で、自分がその日にすべき新規学習と復習学習がリスト化され、することに迷いがなくなりました。
何月何日に当該参考書を終えられているかどうかも事前に算段が立ち、その他の計画も立てやすかったです。
ITパスポートで試験のリハビリ
試験名 | 略称 | 受験年月 |
---|---|---|
ITパスポート | IP | 2022年5月 |
長らく試験から離れていた事情から、まずはIT系の試験で一番難易度の低いITパスポートの合格を狙いました。
4月下旬のゴールデンウィークが始まってすぐに勉強のギアを上げ、参考書を一冊隅々まで精読しました。
そして、過去問対策は皆さんもお世話になっているであろう「ITパスポート試験ドットコム」を利用しました。
ユーザ登録を行っておくと、過去に解いた履歴も全て残るので、利用の際は登録の方を推奨します。
基本的に、ITパスポートの対策は参考書1冊と上記のサイトで全て事足ります。
(ちなみにIパスだけでなく、基本情報、応用情報、データベーススペシャリスト全ての試験で姉妹サイトを利用しました。Webサイト制作者・運営者その他関係者の方々、本当にありがとうございます。)
ITパスポートの勉強量
- 参考書1冊。
- 過去5年分を1,2回
- 苦手分野の問題を追い学習
これで充分に8割以上で安定し、自信を持って試験に望めました。
https://www.itpassportsiken.com/ipkakomon.php
ITパスポートに合格するだけならもっと少ない勉強時間でも合格できると思います。
しかし、基本情報や応用情報といった上位試験も視野に入れるのであれば、簡単だからと奢らずに、しっかりとITパスポートの知識は入れておいたほうが良いです。
基本的に、IT系国家試験は下位と上位で分野としての広さは変わりません。
(テクノロジ系、マネジメント系、ストラテジ系として、基本も応用も、午前は全て同じ形式になっています)
よって、上位に行くほど知識の深堀りになっていくので、ITパスポートで身につけたしっかりした知識は後々必ず活きてきます。
特に、私のような文系育ちでコンピュータサイエンスの基礎が無い人は、
「ITパスポートなんて意味ないよね。」
といった巷の意見に惑わされたりせずに、知識を上位試験に繋げるつもりで取り組む事をオススメします。
ITパスポート合格
5月上旬のゴールデンウィーク期間で既に過去問で合格ラインに達していたので、早く試験を受けたかったが、なかなか予約が取れず5月下旬での受験となりました。
結果は想定よりも少し点数が低かったが、問題なく合格。
予約時のTips
ITパスポートを受験予定の方は早めの受験予約をおすすめします。
予約のキャンセルこそ出来ませんが、受験日を別日にずらすことは可能なので、万が一準備不足を感じた際は戦略的に一時撤退できます。
このため、各試験日の直近になれば大体何枠かキャンセルが入ってその枠に飛び込めますので、早く受けたい人はチェックしておくのがオススメです。
基本情報技術者試験
試験名 | 略称 | 受験年月 |
---|---|---|
基本情報技術者 | FE | 2022年11月 |
リカレントで通っていた教育機関が基本情報の午前免除対象のカリキュラムだったので、ありがたくその制度を利用しました。
ちなみに私が基本情報を受験したのは2022年秋でしたが、2023年春に試験制度の大幅改正が行われました。
よって、下記の午後対策は旧制度となります。
・午前対策
- 参考書1冊読破
- 基本情報技術者試験ドットコムを利用して、午前の過去問を解く
https://www.fe-siken.com/fekakomon.php
自身のコンピュータサイエンス知識に自信が無かったこともあり、午前過去問は平成22年春までの20回分を解きました。
結果としては90点で午前免除を突破したので、少しやりすぎた感があります。
5〜10回分を理解しながら終えられれば、充分に合格できる気がします。
・午後対策
- Pythonの試験対策本1冊
- 基本情報技術者試験ドットコムで午後の過去問演習
https://www.fe-siken.com/fekakomon_pm.php
プログラミング選択に事前知識0のPythonを選んだことで、実際のところ学習コストは跳ね上がりました。
Pythonを選んだ理由としては、「プログラマーになるのだから、逃げてはいけない!」という謎の強迫観念と、「なんかPythonが流行ってるらしいぞ」という2つの理由から選んでみました。
基本情報総評
結果としては余裕を持った点数で合格できました。
対策したネットワークが出題されなかったのは正直ショックでした。
あと、Pythonが過去問や参考書の想定問題よりも遥かに難しく、コードがまともに追えず。
悪くて4割を予想していたが、受験テクニックを使ってひねり出した解答が上振れた結果となりました。
2021年と2022年の基本情報の試験に関しては、ペーパーで行われていた試験方式のまま、CBTに移行(コロナの影響だったっけ?)したことで、正直イビツなものだったと思います。
問題は数ページにまたがるので読み直しがしづらく、
問題文にメモも書き込めない。
ただ、僅か3年しか採用されなかったPythonで合格できたのは、ちょっとだけレアな合格者として自己満に繋がりました!
基本情報の新制度について
現在は全体的に問題量が圧縮され、午後に関しては8割アルゴリズムと2割セキュリティという試験になってます。
実際に午後のサンプル問題を解いてみましたが、旧試験と比べて難易度は易化。
間違いなく受かりやすくなってると思います。
ただ、基本情報の午後旧試験は応用情報の午後と似た出題形式だったということもあり、応用情報との難易度差がかなり広がった印象。
なので以前よりも、基本→応用と流れで受けたときに、応用レベルに達するための学習量は増えると思います。
応用情報技術者試験
試験名 | 略称 | 受験年月 |
---|---|---|
応用情報技術者 | AP | 2023年4月 |
・午前対策
- 参考書1冊
- 応用情報技術者試験ドットコム
やることは基本情報と一緒ですね。
基本情報でやりすぎた事もあって、応用は26年秋までさかのぼり、合計15回分の問題を対策しました。
https://www.ap-siken.com/apkakomon.php
それに加えて、
午後でも選択する予定だったデータベースやネットワーク等の問題を26年春以前も解いてました。
https://www.ap-siken.com/apkakomon.php
基本と同じく、午前に関しては正直やり続けてもキリが無いです。
どの年度でも、必ず見たことがない問題(数学系や新発想な問題)があるので、初見の80問通しで75%〜80%を超えたあたりで一度区切りをつけて、午後対策を始めましょう。
ただし、午前の基礎知識量は午後の知識問題の正答率に関わってきますので、午後対策を始めた後も、午前問題は隙間時間にスマホ等でこまめに続けていくのがオススメ。
・午後対策
問番号 | 選択科目 | 解答目標時間 |
---|---|---|
問1(必須) | 情報セキュリティ | 20分 |
問2 | 経営戦略 | 20分 |
問5 | ネットワーク | 25分 |
問6 | データベース | 25分 |
問7 | 組み込みシステム | 25分 |
5問合計 + 見直し = 合計 | 115分 + 25分 = 150分 |
午後は幅広い分野から問題を選択できるので、自分の強みがある分野を選択するのが合格への道しるべとなります。
ただ、自分は業務未経験ということもあって、始めの1回は問1から問11まで全て解いてみて、感触の良いものだったり、将来的に業務に活かせそうな分野に絞って対策を進めていきました。
最初の数回はあまり時間を気にせずに解き、午後の問題形式に慣れるところからスタートしました。
そして、慣れてきたら上記表の時間を目安に、ひたすら [ 過去問解く→解答読み込む ] を反復していきました。
そうして解いていくうちに、
最終的には過去問をほとんど解き終えてしまいました。
また、私の場合はスプレッドシートに設問ごとの正答率を表にして、進捗を視覚化できるようにしていました。
埋め始めると全て埋めてしまいたくなるのが人の性。
ストラテジ以外は完凸する結果になりました。
ちなみに別冊1,別冊2...別冊n というのは応用午後対策で定評のある通称「緑本」です。
解説も丁寧で、午後対策にオススメできる1冊です。
そして、本番はペーパー試験となります。
問題用紙に適切に書き込んだりするテクニックは必須なので、積極的に紙に印刷して、本番と近い環境で取り組みましょう。
応用情報結果
結果としては、午前午後ともに充分な点数で合格することが出来ました。
午後試験は、1期分の5問を全て解くのに早くて2時間程。
解答読み込みは3時間ほどかかるので、今振り返ってみても中々な勉強量だったと思います。
得点上位約25%の奪い合い
応用情報やその他高度試験は、絶対評価ではなく相対評価だと思います。
これは公式には発表されているわけではないのですが、ネットの情報や実際に受けてみた得点からも信憑性があると思います。
年度によって問題の難易度に明確にバラツキがあるのに、合格者数は一定の範囲内で毎年収まっています。
易しい問題の年度に合格者数が30%超とならないように、難しい問題の年度は20%を切らないように。
平均して25%が目安でしょうか。
つまり、応用情報は上位25%前後の席の奪い合いです。
それを踏まえて受験者はどうするべきか?
・問題が例年より易しく、6割を超えたと思っても油断しない。最後まで全力。
・問題が例年より難しく、6割を超えないと思っても諦めない。最後まで全力。
本番で出された問題の難易度にかかわらず、試験の終了の合図まで、問題と向き合い続けましょう。
データベーススペシャリスト
試験名 | 略称 | 受験年月 |
---|---|---|
データベーススペシャリスト | DB | 2023年10月 |
・午前Ⅰ対策
応用情報合格により免除。
・午前Ⅱ対策
毎度おなじみこちらのサイト。
加えて、参考書1冊。
応用情報と違って問題数が少ないので、過去問はささっと全部解いたらOKです。
試験本番も午前Ⅱはウォーミングアップなので、可及的速やかに午後対策に入りましょう。
午後対策における物理設計か論理設計の取捨選択
-
物理設計
- SQL強め
- 計算問題あり
- 実務の基本設計あたり?
-
論理設計
- 概念データモデルと関係スキーマが大部分
- 実務の上流工程より?
業務未経験は論理設計がオススメされることが多いです。
理由は少ない対策時間でも、上振れの合格を狙えるから、との事。
ただ、勉強時間が確保できるなら好きな方で問題ないかと思います。
問題を見たり解いてみたりして、感触の良い方を選びましょう。
・午後Ⅰと午後Ⅱのどちらから対策を始めるか
三好さんが執筆されているデータベーススペシャリスト対策の書籍では、午後Ⅱからの対策を推奨されています。
その理由としては、「午後Ⅱの対策は午後Ⅰを兼ねる」とのこと。
試験を終えた後も、この言葉に間違いはないと思ってます。
ただ私自身、その助言の通りに午後Ⅱから対策を始めたときに、午後Ⅱのあまりの文章の長大さに、解くだけでかなり疲弊してしまい、続けられませんでした。
そのため、午後Ⅰの対策を一旦始めてみると、1問あたりは応用情報の設問に近い感覚で解くことが出来たので、私は午後Ⅰの対策を先に進めました。
そして、ある程度午後Ⅰを進めた後、改めて午後Ⅱに戻ったときに、最初の頃よりも解ける感覚がありました。
加えて疲労感も以前より少なく、スムーズに午後Ⅱ対策を再開できました。
なので、午後Ⅱの対策から入って問題ない方はそのまま続けて、辛いと思ったら午後Ⅰからやるのが良いと思います。
・午後Ⅰ対策
私の場合は午後Ⅱで論理設計(問2)を選ぶ予定だったので、午後Ⅰも論理設計中心に解いてました。
応用情報と同じく、実際に解かないと力に出来ないと感じる性格なので、[ 初見で解く → 解答を読み込む]の繰り返しです。
・午後Ⅱ対策
やることは午後Ⅰと変わらないです。
ただ、午後Ⅱは問題の長さが凄まじいので、勉強の段階から体力勝負です。
解くのに2時間ちょっとかけて、
解答の読み込みは4時間ほどかかることもありました。
しかも年度によっては、解説を何度読んでも理解出来ない事もあったので、厳しそうなら一旦寝かして次の年度に進んでいくのが良いと思います。
試験本番までに、なるべく多くの過去問に触れておきましょう。
データベーススペシャリストも、応用と同じくスプレッドシートで年度ごとに進捗管理を行いました。
- 午後Ⅰの正答率平均は61.7%
- 午後Ⅱの正答率平均はハズレ値を除いて54%
過去問の結果から、試験本番もギリギリの勝負になると考え、覚悟を決めての挑戦となりました。
高度情報は体力勝負
試験本番は体力勝負です。
諦めて投げやりになったり、疲弊して散漫になってしまえば、望む結果は得られません。
応用情報でも充分に長い試験でしたが、高度情報は更に試験時間も長く、大変な1日となるでしょう。
当日は脳みそに負荷のかかる過去問を解く行為は非推奨。
頭を使わない、暗記系の単語を眺めたり、軽く参考書を眺めるのがオススメ。
試験部屋は場所によっては収納人数が多く、酸素が薄かったり、空調次第で暑かったり寒かったりと大変です。
温度調整のできる服装でいきましょう。
そして、午前Ⅱで合格ラインに達する解答を終えたら、途中退出をして休憩に入りましょう。
昼食を取り、外の空気を吸ってリフレッシュし、勝負の午後に備えましょう。
また、応用情報と同じく、データベーススペシャリストも上位17%前後の席の奪い合いです。
午後Ⅰでもし上手くいかなかったとしても、絶対に諦めずに午後Ⅱの最後まで受けきりましょう。
私の場合ですが、午後Ⅰは問1と問2の両方に論理設計が出題されたレアな年となり、その影響か2問全てを時間内に解ききることが出来ませんでした。
最後の5分ほどで、問2の半分程が解けていない状態で、普通に解いていたら間違いなく終わらなかったので、問題文を斜め読みしながらとにかく解答欄を埋めていったことを今でも覚えています。
そのため、午後Ⅰの体感の得点は甘く見積もっても65点程。
悪ければ50点台で午後Ⅰ敗退も覚悟していました。
しかし、結果を見てみれば午後Ⅰは74点という、体感よりも大きく上振れる結果となりました。
これはおそらく、他の受験者もイレギュラーな問題形式に戸惑い、全体として平均点が下がったからではないかと推測しています。
なので、この事実から言えることは、午後Ⅰで失敗したとしても、チャンスは有る。
諦めずに午後Ⅱに全力で立ち向かいましょう。
まとめ
以上が、私の1年半に渡るIT系国家試験の旅路でした。
文系上がりで、IT業務も未経験でも、
努力次第でレベル1からレベル4まで駆け上がれます。
これらの国家試験が直接実務に役立つかどうかはさておき、達成困難な事象に対して、計画を立て、成功に導くためのプロセスとその成果はきっと様々な場面で役立つと思います。
具体的な問題の対策まで書くと終わりが見えなそうだったので、各試験のガイドラインとなるような対策紹介にとどめました。
個人的には応用情報が一番大変だった気がします。
なんてったって、範囲が広すぎる!
データベーススペシャリストに関しては、応用情報の午後選択でデータベースの対策をしっかりとやっていたこともあり、試験対策時間は応用情報よりも少なくなりました。
- 参考書読み込みと午前対策で2〜3週間
- 午後対策で3週間
合計1ヶ月半ほど。
応用情報からデータベーススペシャリストは、積み重ねた知識が上位試験に活きた典型例となりました。
余談
ちなみに、1年半ずっと国家試験の対策していたわけではなく、各国家試験の間にプログラミングの方も熱心にやってました。
むしろそっちの方が熱量が高く、基本情報のPythonをキッカケに、
- 11月から12月にかけてWeb系技術全般(HTML,CSS,JS,Nodejs)
- Dockerでのインフラ構築学習
- 1月〜3月の応用対策が始まるまではRustに心酔
といったように、気になったものをとにかく学んでいきました。
2023年の夏頃からは、更に発展的な物に取り組んでおり、
- フロントエンドにReactやそのフレームワークのNext.js
- サーバサイドにPHPのLaravel
といった業務を意識した技術選定をし、本格的なチャットアプリを個人開発していました。
今現在は、ついにTypeScriptの開発体験の素晴らしさに気づき、チャットアプリのリファクタリングに取り組んでいます。
長々と書き連ねてしまいましたが、最後までお読み頂きありがとうございました!
何か国家試験等でご質問があれば、お気軽にどうぞ!
これから先、国家試験に挑戦される皆様方を応援しています!!
(試験本番は時計を忘れずに!!!!)
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