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【失敗から学ぶ】誰でもできる工数見積もり改善のコツ

2025/01/30に公開

こんにちは!
今回は工数見積もりについてお話しします。
最近、工数見積もりの甘さからスケジュールが乱れ、苦労したプロジェクトがありました。
そこで、この経験を教訓に、改めて工数見積もりを学び直し、実践的な方法を整理しました。この記事が、同じような悩みを抱える方のお役に立てば幸いです。

これまでの工数見積もりの課題

正直に言うと、以前は工数見積もりを深く考えたことがありませんでした。プロジェクト開始時に「どれくらいで終わりそう?」と聞かれると、感覚で答えてしまうことが多く、後になって「見積もりが甘かった…」と後悔することもしばしばありました。
こうした失敗をきっかけに、見積もりに対する考え方を根本から見直す必要があると強く感じました。

工数見積もりの基本

見積もりはあくまで「予測」であり、ある程度のズレは避けられません。
「○ 日後に必ず完了する」といったピンポイントの予測ではなく、「○ 日〜○ 日後の間に完了する」 と幅を持たせるほうが現実的です。こうした柔軟性が、計画の安定性を高めてくれます。
また、「正確に見積もるのは難しい」と割り切り、必要以上にプレッシャーを感じないことも大切です。

工数見積もりの難しさ

工数見積もりが難しい理由には、心理的なプレッシャーが大きく関わっています。

  • 早くリリースしてね:短期間での完了を求められる
  • 遅れないでね:遅延を指摘される

これら相反する期待が、以下のような葛藤を生みます。

  • 短く見積もりたい理由
    • 早くリリースしたい
    • 短期間で終わらせて評価されたい
  • 長く見積もりたい理由
    • 遅れて怒られたくない
    • 余裕を持った計画にしたい

相反する期待をバランスよく考慮する必要がありますが、実際にはかなり難しいのが現状です。

見積もりにズレが生じる原因

見積もりにズレが生じる主な原因を整理すると、以下のとおりです。

  1. 未来の不確実性

    プロジェクト初期の見積もりは、誤差が大きくなりがちです。初期段階では無理に正確さを求めるよりも、進捗に合わせた 再見積もり が大切。

  2. 要件の変化

    プロジェクト中の要件変更や曖昧な要件は、見積もりを大きく狂わせる要因となります。
    要件が変わった場合は速やかに見積もりを再評価するようにする。

  3. 予測不能なトラブル

    • 障害対応が発生
    • 外部サービスのトラブル
    • 想定していなかった欠勤

完全に予測することは難しいため、ある程度のバッファを見積もりに含める必要があります。

失敗例と改善のポイント

私自身の経験を振り返ると、以下のような問題がありました。

  • 感覚に頼った見積もり
  • タスクの粒度が大きすぎた
  • フル稼働(1 日 8 時間)を前提にしていた
  • 祝日やイベントを考慮していなかった
  • 未経験タスクの不確実性を軽視していた
  • 実装が想定以上に複雑だった
  • 作業内容の細かな報告などが疎かになっていた

これらの失敗要因を洗い出すことで、見積もり精度を高めるための改善策が明確になりました。

見積もり精度を高める工夫

上記の失敗から学んだ改善策として、以下のような工夫を取り入れ改善していこうと考えました。

十分な時間を確保する

  • 見積もりをその場で即答せず、情報を整理してから根拠をもって回答する。
  • 初期段階ほど慌てず、必要な情報を集めてから見積もる。

必要に応じて技術調査やプロトタイプを作成する

  • 未知の技術や要件に対処する際は、調査や試作で不確実性を減らす。

経験者の意見を取り入れる

  • 似たようなタスクを経験しているメンバーの知見を活用する。
  • リスクを見落とさないよう、複数の視点から確認する。

タスクを細分化し、1 つのタスクが 3 時間以下 になるまで分解する

  • タスクが大きいほど見積もり誤差も大きくなりがち。
    作業内容をイメージしやすいサイズに分割する。

稼働時間を現実的に設定

  • 1 日 8 時間フル稼働を前提にしない。
  • 社内イベントや突発対応なども考慮する。

定期的に進捗を共有し、スケジュールを見直す

  • こまめに進捗確認を行い、計画との差異を早期に発見する。
  • スケジュールは必要に応じて修正し、大きな遅延を防ぐ。

問題が発生した場合、早めに報告する

  • トラブルが長引くと他のタスクにも影響するため、早期の報告を徹底する。

MUST 要件と WANT 要件に分ける

  • MUST(必須):絶対に達成すべき要件
  • WANT(望ましい):余裕があれば盛り込みたい要件

経験と勘を活用する

  • 過去のプロジェクト経験や同様のタスクの実績を活かす。
  • 感覚に頼りすぎるのは避けつつも、経験則に基づく暗黙知は大切にする。

複数人でレビューを行う

  • 一人で見積もると考慮漏れが起こりやすい。
    工数が 1 週間以上かかるようなタスクに関しては、チーム内でレビューしてもらい、漏れや不要な作業を洗い出す。

調査用タスクの作成

  • 調査に 1 日以上かかる場合は調査タスクを切り出す。
    調査タスクも見積もりをして不確実性を下げるのが理想。
    内容としては、公式ドキュメントを読む、プロトタイプを組む、詳しい人に相談など。

作業状況の細かい報告

  • 少なくとも 1 日 1 回、または期間の半分を過ぎた段階で状況を共有する。
  • 「いつ終わるの?」という質問を未然に防ぎ、ズレを早期に修正する。

見積もり結果の振り返り方

見積もりと実績のズレが起こった場合、その理由を分析し、次回以降に活かすことが重要です。以下は、見積もり結果を振り返る際に着目すべきポイントです。

最小見積もり以下で完了した場合

  • 最小見積もりは「達成可能かどうかギリギリの挑戦的な日数」として定義する。
  • 無意識にマージンを取りすぎていないかチェックする。

常に最小見積もりと同じ(または近い)場合

  • 手を抜いた最小見積もりになっている可能性がある
  • 最小はあくまでギリギリにする
  • 最小見積もりは達成できないことが普通
  • 自分のアウトプットを過小評価していると、実績は最小見積もりに近くなる
  • 小見積もりはもっと攻めた見積もりにしても大丈夫

バッファの中央値と同じ(または近い)場合

  • 理想的な見積もりの形。うまくいったポイントをメモしておく

上記が出てこない場合は、当てずっぽうの見積もりの可能性があり

常に最大見積もりと同じ(または近い)場合

  • 見積もりをする際になにか考慮が抜けてしまっている可能性がある
  • 見積もりのときに休憩や割り込みを入れている可能性がある
  • 見積もりと実績は同じ定義でとらないと意味がない

それでも最大に近いという場合、見積もりに余裕がなさすぎる可能性と、自分のアウトプットを過大評価している可能性がある。

最大見積もりを超過した場合

  • 使えると思っていたライブラリが使えなかった、使い回す予定だったコードが流用できなかったなど、想定外の事態が原因。
  • 不確定要素を十分に検証しないまま見積もりに含めていたことが大きい要因。

作業中に問題が発生したら、早急に事実を報告・共有して影響範囲を明確にし、必要であれば調査タスクを別枠で設定するようにする。

また、チーム内で得意な人に協力を仰ぐことで、大きな手戻りを防ぐ。

こうした対応で得た知見やノウハウを蓄積・共有して、次回以降の見積もり精度をさらに高められるようにする。

まとめ

工数見積もりは簡単ではなく、完全に正確な予測を行うのはほぼ不可能です。しかし、適切な方法を用いることで精度を高めることは可能です。

  • タスクの細分化
  • 不確実性を減らすための調査やプロトタイプ
  • 複数人によるレビュー
  • 定期的な進捗共有と計画の見直し
  • 経験を活かした振り返り

これらの工夫を積み重ねていくことで、プロジェクト進行の安定性が増し、無理なく成果を出しやすくしていきたいと思いました。

今回の記事が、皆さんのプロジェクトにおける工数見積もりの精度向上やスケジュール管理の参考になれば幸いです。

参考文献

https://amzn.asia/d/5NTq71V
https://qiita.com/taku-0728/items/7a2f0919ce375bbb48f7
https://studio-tale.co.jp/career-stories/guide/how-to-estimate-work-hours/
https://en-ambi.com/itcontents/entry/2017/08/28/110000/
https://liskul.com/effort-estimate-108680
https://techblog.baseconnect.in/entry/2022/08/23/184330

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