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NeurIPS 2023 参加記

2023/12/31に公開

この記事は創薬 (dry) Advent Calendar 2023の15日目です。

先日ニューオーリンズで行われたNeurIPS 2023の AI For Automated Materials Design (AI4Mat) Workshop でLLM創薬チャレンジに関する論文 LLM Drug Discovery Challenge: A Contest as a Feasibility Study on the Utilization of Large Language Models in Medicinal Chemistry のポスター発表を行いました。本記事はその報告になります。


会場の New Orleans Ernest N. Morial Convention Center

LLM創薬チャレンジについて

LLM創薬チャレンジは @souyakuchan 主催で2023年3月30日から6月4日にかけて開催された、大規模言語モデル(LLM) をどれだけ創薬に活かせるかを競う大会です。

CBL-Bタンパク質のTKBドメインを標的として、LLMが化合物の提案もしくは選別をするステップを含めたワークフローで10個の活性化合物候補を提案するというルールの下、9人の参加者が競いました。

5人の審査員による化合物の目視評価にLLM活用度と既知化合物との類似度(離れているほど良い)を加味したスコアで順位付けを行い、受賞者を決定しました。

筆者は運営側の一人として審査員の採点プラットフォームの開発を担当しました。これは以前紹介した Sanitize It Yourself を改造したものです。

論文について

この大会の開催報告をNeurIPS 2023の AI For Automated Materials Design (AI4Mat) WorkshopのFindingsトラックに投稿しました。Findingsトラックは "Early-stage work and ideas for future work, including negative results and interesting dead ends." を投稿するための枠になります。

論文では先ほど説明したようなルール説明のほか、上位受賞者の手法について紹介しました。ご興味のある方はOpen Reviewに上がっている論文をご覧ください。

投稿した論文は無事Acceptされ、運営側を代表して私がワークショップに現地参加することになりました。

作成したポスター

発表に使ったポスターは以下の通りです。コンテストの概要説明と上位入賞者の手法説明、代表的な化合物などを説明しました。

ワークショップ当日

ワークショップは12月15日に開催されました。ワークショップごとに異なるサイズの部屋が割り当てられていて、AI4Matは中規模の部屋でした。


ワークショップ会場を示す掲示板


設営したポスター。壁にテープで直貼りしています


会場のパノラマ写真。前に二つの画面があり、スライドとリアルタイム生成された字幕が表示されていました。後ろの方だとスライドの文字が見えないので前の方に座る必要がありました。ストリーミングサイトがよくできているので、発表内容を聞くだけならオンライン参加の方が良い可能性すらあります。


定期的にコーヒーブレイクが設定されていて、会場から軽食が提供されました。写真はニューオーリンズ名物のベニエ


自由に食べていいアイスクリームの冷凍庫が出ている時間帯もありました。


大規模会場で開催されるワークショップではポスター台が設置されていました。ワークショップ会場は過去の実績によって決まるらしいです。

ポスター発表感想

ポスター発表は二位受賞者の古井さんとZoomで接続した創薬ちゃんさんと一緒に行いました。2時間の発表時間で20人くらいの方と話したと思いますが、素通りされる方がかなり多かったです。反省点としては

  • ポスターを部屋の隅に配置したため人の流れが悪かった
  • コンテスト開催報告というテーマが新規手法開発のような主流のテーマから外れていた
  • 同じ時間帯に創薬に関する別のワークショップ (New Frontiers of AI for Drug Discovery and Development) が開催されていたため、創薬に興味のある人が少なかった

あたりが挙げられます。

もし次回があれば今回の反省を活かしてより良い発表にしたいと思います。

その他のワークショップ

自分の発表がなかったワークショップ2日目にはいくつかのワークショップを見て回りました。興味深かったものをいくつか挙げます。

ワークショップは重複投稿が許されているようで、1日目と2日目で別のワークショップに投稿してポスターを使いまわしている人もいました。

おまけ

発表翌日は飛行機まで時間があったのでニューオーリンズの観光をしました。


カフェデュモンド本店のベニエ


ルイジアナ料理のガンボ


The National WWII Museum の飛行機展示

謝辞

論文の執筆に協力してくださった共著者の皆様、特に発表に協力してくださった古井海里さんに感謝します。また、渡航費用を負担してくださった株式会社シャルクスに感謝します。

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