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DevinのDeepWikiでコードをWiki化する

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はじめに

ソフトウェア開発において、コードの理解とドキュメントのメンテナンスは常に課題となっています。
新しいプロジェクトへの参加や久しぶりに触れるコードの理解には、適切なドキュメントがあることで、スムーズに機能開発に着手が可能です。

そんな課題を解決するために、DevinはDeepWikiというドキュメンテーション機能を提供しています。この記事では、DeepWikiの概要から実際の使用方法までを解説します。

DeepWikiとは

公式情報からざっくりと。
DeepWikiはリポジトリを自動的にインデックス化し、以下の要素を含む包括的なWikiを生成する機能です。

  • アーキテクチャ図: コードの構造を視覚的に表現
  • ソースコードへのリンク: 関連するファイルへの直接アクセス
  • コードの概要: プロジェクト全体の理解を促進する説明

主要な特徴

1. 自動インデックス化

DeepWikiは手動でのドキュメント作成作業を不要にします。リポジトリをスキャンし、コード構造を自動的に分析してドキュメントを生成します。

2. 包括的な文書化

単なるコード一覧ではなく、プロジェクトのアーキテクチャ、依存関係、主要な機能などを総合的に文書化します。

3. 直感的なインターフェース

生成されたWikiは見やすく整理されており、開発者が必要な情報に素早くアクセスできます。

DeepWikiの種類

DeepWikiには大きく2つに分類できます。

  • パブリックDeepWiki
  • プライベートDeepWiki(※公式的にはただのDeepWikiですが、どちらのことか分かりづらくなるため、以降も便宜上プライベートDeepWikiと言います)

パブリックDeepWiki(deepwiki.com)

パブリックDeepWikiはその名の通り、公開されているGitHubリポジトリをWiki化し、React、TensorFlow、LangChainなどの人気のあるオープンソースリポジトリのドキュメントを無料で閲覧できます。
これらの例を通じて、DeepWikiがどのようにコードが文書化されるかを実際に確認できます。

deepwiki.comとして公開されており、
Devinのサブスクリプションなしに利用可能です。

参考までに、VS CodeのDeepWikiです。
https://deepwiki.com/microsoft/vscode


画像は翻訳したものです。実際はすべて英語で表示されます。

画面下部にはチャット欄があり、質問をすることでAIアシスタントがインデックス化されたコードを調査し、詳細な解説をしてくれます。
これはAsk Devinという機能であり、プライベートDeepWikiやDevinのコンソールからも利用可能となっています。
質問や応答は日本語にも対応しています。

リポジトリの追加

パブリックDeepWikiの面白い機能として、誰でもリポジトリを追加することができます。

「Add Repo」から

追加したいリポジトリのURLを入れるだけ

数分から数十分待つと追加されます。
気になるリポジトリがあれば、DeepWikiに追加してコード理解に活用するのも良いでしょう。

プライベートDeepWiki

プライベートDeepWikiは、Devinに連携したリポジトリをWiki化します。

右のメニューの本?のアイコンがDeepWiki

操作感はパブリックDeepWikiとほぼ同じです。

唯一異なると思われる点は、右上の「Start Refresh」ボタンです。
ボタンをクリックすると、リポジトリの最新の情報を元にWikiの内容を更新してくれます。
自動で更新してくれることを期待しましたが、自分でボタンを押さないと更新してくれなそうです。
※自動で更新されるかは検証中です。

2025/08/07追記:
mainブランチにマージ後、1日経過すると自動的にリフレッシュされます。

プライベートなDeepWikiを利用するためには、Devinに対象のリポジトリを追加する必要があります。
リポジトリの追加はGitHub(GitLab)の統合ページから実施します。

DeepWikiの内容

Wikiの各ページには参照したファイルのリンクも付いています。
リンク先はGitHubの該当ファイルのページです。

概要部分は、README.mdやjson、yamlなどの定義関連ファイルおよびmain.goなど起動ファイルを中心に参照されます。

個別のページでは、具体的な実装からも参照されています。

何度かDeepWikiの更新を試してみた所感

  • mainブランチの内容で生成されます。デフォルトブランチを変えてもmainブランチを参照。
    dev, stg, mainのように特定ブランチのWikiも作れる様にして欲しいところ。
  • mainブランチへのマージでは自動的にリフレッシュされません。
  • トップ階層にあるREADME.mdの影響を受けそう。
    READMEに記載のないディレクトリを追加してもWikiに反映されませんでした。モノレポ故に顕著かもしれませんが、READMEに追加したディレクトリについて概要を追加したところWikiにも反映されました。
    Wiki上に作られていなくてもAsk Devinで確認するとコードの解説はしてくれるので、インデックス化はされています。
  • 履歴がありません。リフレッシュして変になっても戻せません。
  • 作成は手軽ですが、故に調整の余地がありません。

https://docs.devin.ai/work-with-devin/deepwiki

DeepWiki MCPサーバー

DeepWikiはブラウザで参照するだけでなく、MCPも提供されています。

DeepWiki MCP(パブリックリポジトリ向け)

  • 認証不要の無料リモートサービス
  • パブリックリポジトリへの即座のアクセス
  • 簡単な統合が可能

Context7的な使い方で、プロジェクトで使用している言語やライブラリについてのナレッジを活用できると思います。

https://docs.devin.ai/work-with-devin/deepwiki-mcp

Devin MCP(プライベートリポジトリ向け)

  • Devinのプランに契約し、Devinの参照を許可したリポジトリが対象
  • パブリックなリポジトリへもアクセス可能(DeepWiki MCPの機能を内包)
  • Devin APIキーを使用してMCPサーバーへアクセス

https://docs.devin.ai/work-with-devin/devin-mcp

活用シーン

新規プロジェクト参加時

新しいチームやプロジェクトに参加する際

  • リポジトリの全体構造を迅速に理解
  • 主要なコンポーネントや機能の把握
  • 開発チームとの効率的なコミュニケーション

仕様不明なコードの理解

運用されているが、仕様理解者がいないリポジトリにおいて、または、使用言語やライブラリのソースを確認したい場合

  • 依存関係の可視化
  • 実装レベルでの動作の理解
  • リファクタリング計画の策定支援

コードレビューの効率化

  • 変更箇所が全体に与える影響の把握
  • 関連するコンポーネントの特定
  • レビュー品質の向上

DeepWikiと他のAIにおけるドキュメント化の違い

CursorやClineのエディタ系、Claude CodeやGemini CliなどのCLI系など他のAIエージェントでも、同様のドキュメントを生成することは可能だと思います。
それらとの違いについて以下の点が挙げられます。
Devinが優位性がある部分もありますが、イマイチな点も多くあります。

良い点

  • Devinコンソール上に専用のページを自動で生成
  • コードを編集することなく、ドキュメント化が可能
  • 完全自動化ではないですが、ボタン1クリックで最新化可能
  • DeepWikiで仕様を確認するAsk Devinが利用可能

悪い点

  • 英語出力のみ対応
    テキスト部分はブラウザ翻訳でなんとかなりますが、フローチャート図などは変換されません。
  • プロンプトの指定はできないため、調整不可(Devinの気分次第)
  • リポジトリ内のドキュメント化が弱いとWikiの出力がイマイチ
  • 網羅性が不十分
  • Devinコンソール上にWikiが作成され、エクスポートもできないため、Devinにドキュメントがロックインされてしまう

まとめ

DevinのDeepWikiについて解説しました。
ドキュメント周りの課題を解決する便利な機能です。
パブリックDeepWikiについては普段使用している言語やライブラリのハイレベルなコードを理解する助けになると思いました。
一方で、プライベートDeepWikiについては課題があると言えます。
手動でのドキュメント作成の負担を軽減できるのは良い点ですが、網羅性の面や柔軟性の面で懸念があります。欲しい情報をWiki化するには、事前にリポジトリ内のドキュメンテーションが一定程度必要だと感じました。
ただ、Ask Devinの機能は体感良さそうだと感じています。
概要をWikiで理解し、細かい点はAsk Devinで該当箇所を抜き出しつつ解説付きで詳細を理解する、という使い方はあり得ると感じました。


参考リンク:

レスキューナウテックブログ

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