JAWS FESTA 2025 in 金沢に参加した!〜Day1セッション聴講&登壇&スタッフ〜
はじめに
こんにちは!株式会社Relic の 2025 Japan AWS Jr. Champions である、保 龍児もとい、エイミ/amixedcolorと申します!
今回、初めてのZennの記事を、JAWS FESTAの参加記として書き上げます!
懇親会1次会・2次会と、日曜の能登日帰りツアーにも参加しますが、そちらはまた別日に投稿予定です。
自分が参加する上でより記憶しやすくするとともに記録し、参加者が後から振り返ったり、参加していない人が参照して様子を知ることに役立てていければと思います。
集合・準備
昨年に引き続きボランティアスタッフも務めたので、8:45に集合し、受付・準備・顔合わせなどを行いました。
オープニング
去年の広島開催になるかどうかの決選投票では、元々石川とだった。しかし、地震により断念。
今日は当事者の方にも来ていただいて、お話ししていただくとのこと。
なんと会場の空きが令和10年ごろまでなかったそう!
参加者は300人越え!が、この人数が入る部屋がなく、記念写真はないとのこと。
代わりに、お祭りトラックでグリーンバックのフォトスポットがあり、なんとAIによる着せ替えもできるそう!
今回は2会場跨っての開催なので、聞きたいセッションがある時はいつもより多めに移動時間を加味する必要がありますね。
セッション聴講:招待講演「能登半島地震で見えた災害対応の課題と組織変革の重要性」
地震のときに副知事をなさっていた西垣さんからのお話。
震度5強のあとに震度7が来ていて、その間に特徴的な2つの出来事があったとのこと。
- 「地震だから急いで帰らなきゃ」と帰っているところにより大きな地震で巻き込まれた
- 「津波が来る前に急いで避難しなきゃ」で家を出たため、大きな地震の倒壊に巻き込まれなかった
災害救助法の適用やそれに関わる動き・費用負担の変化がある。
地震以外にも火災・津波・液状化などの被害がある。
- 地震で生じた問題
- 道路・電気などのインフラの断絶
- 高い高齢化率のもとで、医療や介護施設等の機能の低下
→広域避難が必要に。
住民票は市町村にしかなく、情報が分断されてしまう。←今日のメインの話。
災害関連死を防ぐために、石川県が取り組んだこと
既存システムには防災システム、被災者生活再建支援システムがあったが、避難者を特定して支援する仕組みがない。
防災システムにおける避難所の特定においても、インフラの断絶による移動不可、正月で1.4倍の人数がいたことによる人数オーバーの課題があった。
情報を収集するにあたり、避難所情報は独自様式で直接現場に行く必要があったり、指定避難所以外の避難先が多数発生したため、人数も場所もわからず、物資の配布に課題があった。
それに対し、避難所の把握のために「写真を撮る」ということを行なった。
自衛隊に写真を撮ってもらうことで、「緯度経度」「タイムスタンプ」の情報を得て、情報を集約し、集約していった。
指定避難所IDの共通化やIDのない避難所の名寄せなどを行うために、SAPによる一次集約を挟んだ。
一番大変だったのは、「やったことのない中、水も道路もガソリンも限られた中、現場でどう動くか」だったとのこと。
避難者把握においては、避難所から退所した避難者がどこにいったのか把握できない課題があった。17,102名いたが、どこに行ったのか。
被災者データベースと関連する名簿は3つあるが、特に要支援者名簿について懸念していた。
避難所にいない人の把握においては以下の課題があった。
- 住民でない人をどう把握するか(観光や帰省など)
- 広域避難した人をどう把握するか
OODAループ(ウーダループ)をして、対応した。
どうやったら人が集まってくるのか、 いかに行政を信頼してもらい、「あそこに行ったら支援してもらえる」 と思ってもらうかが重要とのこと。
情報を集めるためにも、被災で大変な中、その情報を提供していただく必要がある。
普段から被災者データベースが必要なのではないか?
DWAT(災害派遣福祉チーム(Disaster Welfare Assistance Team))の必要性も再認識。
今回の災害で直接亡くなられた方は228名の中、災害関連死の人数はそのさらに2-3倍にも及ぶとのこと。
災害で亡くなる人は、直接的なものだけでなく、関連しても多い。
市町村業務と都道府県業務の日頃の連携について、今回の災害で気がついた。
ランチタイム
近江町市場を抜けて、地元の定食屋さんに行きました!焼き魚が美味しかった!!
セッション聴講:キーノート「JAWS-UGの災害支援と石川県の災害を振り返る - エンジニアクロストーク」
JAWS-UGと災害支援の歴史
大谷さんの災害支援の原体験は30年前とのこと。阪神大震災で西宮にボランティアへ行き、指示系統の重要さを痛感した。
JAWS-UGについての説明。
- 2010/2/23が第0回で、15年以上の歴史
- 全国66支部(リブート含む)
- 昨年は538回のイベント、延べ27,754人が参加
- 春 東京開催の JAWS DAYS、秋 地方開催の JAWS FESTA
東日本大震災でもJAWS-UGは活動し、会社の枠を超えてウェブサイト復旧支援を行なった。
被災者に関する情報がSNSに載った時、膨大なアクセスでWebサイトのサーバーが次々とダウンする現象が発生していた。
当時は自治体のDNSサーバーもオンプレミスであり、避難所のことなどを発信したいものの津波で流されてしまい発信できなかった。そこにAWSクラウドを活用した。
熊本地震でも湧水場所の情報を示すアプリを作成した。
急ぐ中で、よくハンズオンで引っかかるようなところに頻繁に引っかかったとの頃。
自治体とコミュニティがつながっていることによって、その地域に適した災害支援ができるようになる。
災害が起こってからのコミュニケーションでは難しい側面が大きい。
地元エンジニアが体験した能登半島地震と奥能登豪雨水害
能登半島は、金沢で働いている方の実家であることが多かった。
そこで起きた地震は地形的にもアクセスしにくいものだった。
特に北の方は過疎化していて、自治体職員も少ない状況だった。
2024/1/1に発災。1/2には金沢市内のコンビニで棚から商品が大変少なくなっていた。
この時点では現地との連絡も取れないような状況で、「おそらく孤立している」という想定の中で金沢市内から食料や水を入手しようとしたが、入手が困難だった。
特に道路の状態がひどく、物流のトラックでは到底通れないような状況だった。
少しに見えるひび割れでも、そこを通過するとすぐにパンクしてしまう。
地震で止まった電車の車両も、中から人は避難したものの車両自体は放置せざるを得ない状況。
1/4にようやく実家に辿り着けたが、隣の家も倒壊していて道が通れないなどがあった。
能登では、「若い人」で40過ぎ。「地域の立て直しが可能なのか」と大丈夫かと思うとのことだが、関係人口を増やしていければいいと考えているそう。
能登半島災害現場エンジニアクロストーク
当時の石川県庁では、いろいろな民間企業から技術者が集結していた。
災害関連死を防ぐために、あるいはDMATに正しい情報を伝えるために、支援をしていた。
入口でつまづいたのは信頼関係の課題だった。
また、法律や制度の難しさもあった。例えば、個人情報の閲覧において、市町村間では共有されないようにする必要があるなど。本来、命にかかわるときは法律上で許可されているそうだが、普段そうしていなかった中でその方法を取ることには難しさがあった。
県庁にはいろいろな会社の方がいらっしゃるが、初めて会う企業もある中で、普段/平時から繋がりのある企業の重要さを感じたそう。
今後エンジニアがどう貢献できるかについて。
8/5にデジタル庁により災害派遣デジタル支援チーム(D-CERT)が創設された。
民間のエンジニアが災害時に支援を行う制度で、平時にはデジタルツールの整備や訓練を行い、災害時にはツール導入できるようにする。
ここまでの課題を解決し、防ぐために、デジタル庁の声掛けで発足した団体の主体で、民間企業と一緒に、耐災害デジタルコーディネーションセンター(DIT/CC)を設立した。
このセンターは被災自治体を支援する。
キーノートまでの聴講感想
震災に関わる話はそれを聞くだけでもなかなか言葉に表しにくい感情になる。
私はこの感情をどう形容したらいいかわからないが、楽しい感情などとは到底かけ離れているだろうということはわかる。
お恥ずかしながら、能登の震災について実際の写真を複数枚見たり、被災の状況を具体的に知ることは初めてで、その悲惨さを今回のFESTAをもって感じることになった。
ありきたりな感想にはなってしまうが、このような貴重な話を聞くことができて、本当に良かったと思う。
明日は能登への観光で、道中は震災語り部観光列車にも乗りつつ、さらに話を聞いたり、見聞きしていきたい。
設営・登壇準備
これまでつながっていたTrack AとBを仕切りで分けて、Track Bのセッション司会/タイムキーパーに備えます。
昨年はこのセッションの準備でプロジェクターのエラーに悩まされましたが、今年はスムーズに接続できました!
ここからはセッション担当なので、登壇の時以外つきっきりになります。必然的に聴講するセッションはTrack Bのセッションです!
登壇:「スタートアップで高速検証するためのAmplify Gen 2 〜利便性と、ハマるS3認可や一覧画面実装の解決テンプレート〜」
レベル300での発表で、セッション概要は続く通りです!
また、早速SpeakerDeckに資料をアップロードしました!
資料だけでも得られるものがあるように努めているので、ぜひご興味ある方は資料だけでもご覧ください。
このセッションでは、Amplify Gen 2を用いてMVP/ファンクショナルプロトタイプ開発をする上で、それに適した使い方をテンプレートでご紹介します。
スタートアップでは欠かせない事業やプロダクトの検証ですが、Amplify Gen 2を用いることは特に軽量な選択肢であり、ECSやEC2をコンピューティングリソースとして活用するよりも低いインフラ構築コストと、300PV/日程度のアプリでも$10/月程度未満のランニングコストを達成できます。
新規事業開発を専門的に行う弊社でも検証は常に行われており、数年前から開発テンプレートによる簡単な構築や運用を続けてきましたが、検証段階においてはコストの高いテンプレートでした。そこで採用されたのがAmplify Gen 2であり、利用実績もあるものとして特に有益な部分を今回紹介させていただきます。
しかしながら、そのようなメリットのあるAmplify Gen 2にも、以下のような注意すべき点があります。
- ユーザーのCognito認証でのグループによる認可制御とS3のオブジェクト所有者認可制御の併存
- いわゆる一覧画面を実装する上でのページネーション・フィルタ・ソートのDynamoDBでの実現
このセッションを聴講すると、新規事業開発に取り組む上で欠かせない「MVP/ファンクショナルプロトタイプ開発」の実践的なノウハウを活かせるようになります。
聴講:「Amazon Verified Permissions実践入門 〜Cedar活用とAppSync導入事例」
Amazon Verified Permissions(AVP)は初耳でしたが、アクセス制御専用のサービスのようです!
ちょうど発表したばかりのAmplify Gen 2では複雑な認可要件が発生するところを、うまく扱えるとのこと。
Cedarという専用の言語を使って、ポリシーを記載し、AVPで評価。
全く知らないサービスのLevel300セッションはハテナが多くなってしまいますね…。
AmplifyにおけるAppSyncでのパイプラインリゾルバーについての話がありました。
思わぬところでAmplifyへの理解が深まります。
AVP用のAppSync関数を追加して、認可処理を追加していくことができるようです。
単純な認可処理であればAmplify Dataでも十分可能ですが、それ以上の認可処理では、Amplifyを使用する場合AVPは有力な候補になりそうです。
Cedarポリシーの自動テストもできる!
@cedar-policy/cedar-wasm
を利用して簡便に書けるとのこと。
同様の認可処理をLambdaリゾルバーを使ったとき、一覧画面の表示に10秒もかかったそう!
ひぇ…。ネイティブはこういった側面も優れていますね。
聴講「CodeCatalystでCDKのワークフローを簡単に作ろう!」
CodeCommitのサービス終了に合わせて、CodeCatalystの需要が上がるという背景で決めた発表、ところが発表直前にこのCodeCatalystもサービス終了…!😭
クロスアカウントの権限操作がシンプルに組める!
Amazon Qとの連携もできる!
Blueprintという、プロジェクトのテンプレートもたくさんある!
「なのにどうして終わってしまうんだ…!」致し方なきこと…
CDKの利用のためのブートストラップも、CodeCatalystからActionを設定するとのこと。
ここは自動ではないんですね。
3日前に終了が決まったサービスの一覧も共有。
最後に、「皆様の記憶に残れば幸いです」で〆でした。
聴講「オンプレ→S3の大容量データ移行におけるサービス選定のリアル」
データ移行の代表的なサービスをご紹介。
- AWS Snowball
- AWS DataSync
- AWS Database Migration Service
- AWS Application Migration Service
こちらの中からもサービス終了する。
こちらもほぼ全く知らないサービスのLevel300、なんとかついていきます。
いきなり転送はせず、まずはテストを段階的に行う。
最終的に採用したのはAWS CLIで、 s3 sync
を使用したとのこと。
s3 cp
でも、更新する可能性がないなら良い。
転送は全てを一括では行わず、細かく分割することでうまくいかなくても扱いやすいように工夫。
パフォーマンスを上げるためにCLIの設定値を調整する。
- max_concurrent_requests
- S3でのUL/DLにおける並列数の設定
- 速度の向上とサーバー負荷はトレードオフ
- max_bandwidth
- S3でのUL/DLにおける速度の設定
- 厳格な設定ではなく目安
監視においては、S3バケットのリクエストメトリクスを有効化し、BytesUploadedを監視。
一定期間の送信バイト数、もしくは1分間あたりの送信バイト数をみて、スクリプトの不具合や転送速度が監視できる。
格納したオブジェクトも検証を行う。
- S3 Inventory
- オブジェクトのリストとメタデータを日次/週次で出力
- S3 Metadata
- オブジェクトごとのメタデータをApache Icebergの形式で管理
- 東京リージョンではまだ使えない
知らなかった情報がいろいろ出てきて楽しいです!
s5cmd
も検討した。今回はネットワークの帯域制限があったので見送り。
オンプレミスでのデータ移行は「実機での検証」を優先しつつ、実際の環境に近く、繰り返し検証を行える環境を早めに整えるべし。
移動・準備
次の登壇の前準備含め早めに移動です。セッションの司会などができなくなってしまうので代わりをお願いしつつ(ありがとうございます🙏)、盛り上がるといいな〜、と思いを馳せます。
いや、盛り上げるぞ〜〜〜!!!
登壇:「コラボセッション 〜地元の若手とJr.Championsで活動の原点を語る〜」
続いて、北陸の若手と2025 Japan AWS Jr. Championsのコラボセッションで、モデレーターを務めさせていただきました!
会場の皆さんのリアクションが非常に良く、大盛り上がり!
ありがたいことに質問も多くいただき、残念ながら時間の都合上全てにはお答えできませんでしたが、大盛況大成功で終えられました!
クロージング
ロゴの文字は著名な先生に書いていただいたとのこと!すごくいい文字だ
おはなししました!!まなびがありました!!
NEXT
たくさんのJAWS-UGのイベントが告知されました!
そしてJAWS DAYS 2026!!
3/7(土)に池袋で開催されます!
早速ホームページも公開されました!!
おわりに
すごく楽しくて充実した1日でした!この後の懇親会も、どんな話ができるかとても楽しみです。
ここまでお読みいただきありがとうございました!
エイミでした、またこんど!
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