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【イベントレポート】JaSST'24 Kansaiにてテーマセッション登壇しました

2024/07/02に公開

はじめに

こんにちは。令和トラベルのQAエンジニア 兼 エンジニアリングマネージャーの miisan です!

2024年6月21日(金)にソフトウェアテストシンポジウム 2024 関西 JaSST'24 Kansaiが開催されました。
JaSST'24 Kansaiは大阪にてオフライン開催されたので、せっかくなのでJaSST'24 Kansaiに参加した様子や、テーマセッションでお話しさせていただいた内容について紹介したいと思います!

JaSST'24 Kansaiについて

開催概要

  • 今回のテーマ:「QAはどう生きるか~テストと品質保証の枠を越えて」
  • 日程:2024年6月21日(金)
  • 場所:東リ いたみホール(兵庫県伊丹市)
  • セッション概要:こちら

JaSST'24 Kansaiへの登壇にあたって

JaSST'24 Kansai登壇に至るまで

JaSST'24 Kansai実行委員のメンバーの一人から、登壇依頼のメッセージをもらいました。
今回のJaSST'24 Kansaiのイベント趣旨はこのような内容でした。

◆テーマ 「QAはどう生きるか~テストと品質保証の枠を越えて」
◆どんなことを参加者に持ち帰ってほしいか?
“QAエンジニア"の名称はこの数年で定着しつつあるが、QAの仕事の領域はそこまで議論されていないように思う。
テストエンジニアのようにスコープが明確でなく、 組織やドメイン(サービス、プロダクト)によって、微妙に異なると思われ、定義したいわけではない。
これからQAチームを作っていく人 または、従来の「品質保証」、「テストチーム」から進化・変化していく方に向けて、 「QAとは何か」を考える良いインプットを与えたい。

上記のような内容でイベントを構成させるにあたり、「テーマセッションの登壇にmiisanが思い浮かびました!」とメッセージをいただきました。

JaSSTへの参加が初めましての自分にとっては、参加だけでなく、いきなり登壇をするというハードルを超えることになりましたが、QAエンジニアをしている以上、JaSSTで登壇することがどれだけ意義のあることであるかは理解しているつもりだったので、すぐに登壇させていただくことをお伝えしました。

JaSST'24 Kansai実行委員のみなさまへの感謝

当日はもちろん、登壇することが決まった時から、実行委員のみなさまには終始サポートいただきました。この場をかりて改めて感謝いたします。

特に今回登壇するにあたって、どんな話をすることがこのイベントにとって一番良いのだろうか?という部分の解像度を、実行委員の方々としっかり詰めさせていただきました。
参加してくださる方に、濃厚な学びを持ち帰って欲しいという思いがあったので、より満足いただけるようなコンテンツにするために、実行委員の方とは内容について擦り合わせさせていただきました。
初めは『チームで目指す「品質とスピードをトレード・オンする」プロダクト開発のすすめ』というタイトルで講演しようと考えていたのですが、もう一案の『品質活動を事業に結びつけるためのQA文化の築き方』の方が良い、というアドバイスをいただき、結果こちらの案で進めることにしました。

当日の会場の反応や様子を見ても、最終こちらの案にしたことは正解だったと思っています。

品質活動を事業に結びつけるためのQA文化の築き方

テーマセッションについて

セッションの内容は以下の内容で話しました。

令和トラベルではコアローンチとともにQA組織を創設し、QA文化のなかった環境に“ゼロイチ“でQA文化を築いてきました。
スタートアップという“スピード“を重視するフェーズで、「品質とスピードのトレード・オン」を実現するプロダクト開発をどのように実現してきたのかについて紹介します。
本セッションでは、QA文化をゼロイチで作った過程やQA戦略のたて方、チーム全体を巻き込む品質活動などについてお話しします。
また、QAエンジニアのキャリアの可能性についても皆さんと考えてみたいと思います。

発表内容について

https://speakerdeck.com/mii3king/how-to-build-qa-culture

このセッションのテーマは、品質活動と事業貢献の関係性について考え、品質の価値を考えてみようということを大きな主題にすることにしました。

QA文化の築き方

  • プロダクト開発におけるトレード・オフの考え方について

    • サービス提供上、トレード・オフを迫られる場面で、多くの場合で品質が選ばれることが多い
    • これを言い換え、「なぜ会社に、なぜボードメンバーに品質の価値が伝わらないのか?」と問い直した
  • この問いへの解決方法として、事業KPIに品質と生産性指標を組み込んだ

    • 目標を置くだけではなく、目標達成に向かえるように、一緒に進めていった過程を具体的な取り組みとして3つに集約

img1

QA文化を築くための具体的な取り組み

  1. 共通認識を揃える
  • “品質”は抽象度の高い概念なので、品質の定義や解釈を揃える
  • QAオンボーディングを行う中で、全体を巻き込んだ品質活動ができるように設計している
  1. 定量的な品質管理
  • プロダクトの健康状態を定期的にモニタリングできる状態を構築
  • デプロイ頻度、変更失敗率、平均修復時間などは、初期フェーズからモニタリングできる体制を構築して、現在も開発目標などに活用している
  1. 改善活動
  • 定量的にプロダクトを可視化することで、優先度の高い課題から解消していく

QA戦略

  • 戦略とは
    • 「やること」と「やらないこと」を決めること
  • 3ヵ年計画
    • step0
      • コアローンチ後に散見された問題の終息
      • 大きな問題から打ち手をアプローチし、改善を進める
    • step1
      • 生産性を最大化し、PMFを目指す
      • そのために必要機能をとにかく量産させることを優先させ、プロセス整備、仕組み化、意図的な属人化による効率性を最大化させた
    • step2
      • スケールアップに耐えうる品質の再定義
      • 自動テストや標準化などを用いて、効率的かつ安定的なアウトプットの強化を意識

振り返り・結果

事業KPIに品質と生産性指標を組み込んでいた結果、事業貢献と品質の関連性を紐づけることができた

令和トラベルのQA文化

  • 「良いものを作るには時間がかかる」という難問との向き合い方
    • 令和トラベルでの正義は最小単位戦略
    • トレードオフするなら、スコープを削ることから検討する

QAエンジニアについて

  • 令和トラベルのQAエンジニアに必要なこと

    • ソフトウェア品質だけでないその先にある体験価値の創造が求められる
    • なぜなら、旅行に行く前のプロダクトがどれだけ素晴らしい体験だったとしても、実際の旅の思い出がよくなければそのサービスが良かったとは言えないから
    • 各チームと連携しながら協業することで、サービス全体を改善することができる。それが私たちの目指すべき品質との向き合い方
  • 事業に貢献できる改善活動にはおわりがない

    • サービスの改善活動に取り組める領域はたくさんあるので、その分だけきっとQAエンジニアのキャリアの選択肢もあるはず
    • "テストと品質保証の枠を越えて"は、私の中ではこのような解釈をしている

JaSST'24 Kansaiをふりかえる

1人目QAエンジニアの共通点

このイベントでは、3人の1人目QAエンジニアが登壇しましたが、全員共通してやっていたことは"QAエンジニアの認知獲得"でした。
アプローチの仕方は違うにせよ、1人目QAエンジニアは、QAエンジニアというロールにおけるその環境の開拓者になるので、共通して"私は誰で、QAエンジニアって何者なの?"に対して、アプローチしていました。

QAエンジニアの居場所を作るためのそれぞれのアプローチ方法は、ぜひ登壇者各自の発表資料などにてご確認ください。

情報交換会での出会い

セッション終了後に行われた情報交換会にて、参加された方とお話しさせていただくことができました。
関西圏での弊社における認知度はゼロみたいな状況だったため、めちゃめちゃ心配だったのですが、お話しさせていただく中で、嬉しいフィードバックをいただけました!

  • 令和トラベルを知らない人が多かったが、セッション聞いた後、少なくともこの会場にいた人はファンになったと思う!
  • "アジャイル"という言葉を使わずにアジャイル開発であることを想起できた
  • 一つの理想的なプロダクト開発の成功事例のようなものを感じて、"やり切れるんだ"とエンパワメントされた
  • QAはソフトウェア品質だけでなく、"サービス"を考える人なんだと思ったらグッときた。QAの可能性は無限大なんですね

また大阪開催だったにもかかわらず、東京からお越しの方もいらっしゃって、以前東京で交流のあった方との再会なども果たせて、リアルイベントの良さを感じました。

おわりに

JaSST初参戦でしたが、めちゃくちゃ学び深い1日となりました。
品質保証について真剣に考えている人、向き合っている人たちがこんなにもいるのか!という驚きと、私自身もっと学ばなければいけないという焦りを得た、貴重な機会でした。

またオフラインでのこの規模感のイベントでの登壇は初めてだったこともあり、当日の雰囲気も分からず、緊張でいっぱいという中で挑んだのですが、当日は会場の方々の温かい雰囲気に安堵しました。

さらにオフラインならではの、会場の反応が面白かったです。

例えば、

  • 「NEWTというアプリは初めハワイしか行けないアプリだった」という話をした時に笑いが起きたのが、自分の中では驚きだった(実際海外旅行サービスと言ってリリースしているのにハワイしかないのは、カスタマー視点では"それはそう"すぎた)
  • "品質ってトレードオフで選ばれがち"の場面における、会場からの深いうなづきや、"不具合を未然に防いだ人より、不具合をたくさん見つけた人の方が評価されがち"に対しての深いうなづき

私自身、まだまだわからないことばかりですし、"品質"などという曖昧なものに正解もゴールもないので、これからも学びながら、良いサービス作りに向き合えたらと改めて思いました。

イベントにご参加くださった皆さん、実行委員の皆さん、本当にありがとうございました!!!
また別の機会にお話ししましょう〜!

イベント登壇のおしらせ

https://techplay.jp/event/946649

JaSST'24 Kansaiでは、1人目QAエンジニアとしてどのようなことを具体的に取り組んだか?という事例についてお話ししました。
まだQA文化も組織もなかった環境において、どのように進めていこうと思ったか?など、エピソード0に近いようなお話をこちらのイベントではしようと思っていますので、ぜひこちらのイベントもご参加ください!

令和トラベルでは一緒に働く仲間を募集しています

この記事を読んで会社やプロダクトについて興味を持ってくれた方は、ぜひご連絡お待ちしています!お気軽にお問い合わせください!
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次回は、「チームで品質に向き合うエンジニアとQAそれぞれの取り組み」をテーマに、開催予定です。

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