Google Analyticsを活用してプロダクトの利用状況を可視化する方法
はじめに
Rehab for JAPANでモーションAIチームの真木です。
私の所属するチームでは撮影した動画をAIが分析し、身体機能の測定結果とフィードバックを提供するモーションAIというプロダクトの開発を行っています。
モーションAIはリリースから1年が経過しました。現在では、製品の方向性や成長を推進するプロダクトチームから、実際に利用されているお客様からのフィードバックだけではなく、利用状況に基づいた機能改善を行いたいという要望が寄せられています。これに応えるためGoogle Analyticsを活用し、利用状況のデータを可視化することにしました。
この記事では、最小限の工数で設定・実装を行い、必要に応じて追加の設定や実装を行う方針で、Google Tag Managerも併用しています。この方法でプロダクトの利用状況を可視化したい方にとって、参考になれば幸いです。
ターゲット
- Google Analyticsを利用してプロダクトの利用状況を可視化したい方
要約
この記事では、プロダクトの利用状況を可視化するためのGoogle AnalyticsとGoogle Tag Managerの概要を紹介しています。
詳しい設定方法については別の記事でご紹介できればと思っています。
Google Analyticsで自動収集できる情報
プロダクトの機能改善のために利用状況を可視化する際、どのようなデータを取得すべきか、考えたことはありませんか?たとえば、ユーザーがどのようにアクセスし、どのような操作をしているのかが主に知りたい情報ではないでしょうか。Google Analyticsを導入するだけで、これらの情報の多くを自動で収集できるようになります。
まずはGoogle Analyticsで自動収集できる情報についてご紹介したいと思います。
自動収集されるデータのカテゴリー
以下は、Google Analyticsで自動収集されるデータの主なカテゴリーです。
1. 自動収集イベント
設置するだけで自動的に収集されるイベントです。特別な設定なしに標準で記録されます。
session_start | ユーザーのセッションが開始されたときのイベント |
first_visit | ユーザーが初めてサイトやアプリを訪問したときのイベント |
user_engagement | ユーザーがサイトやアプリに一定時間滞在したときのイベント |
2. 拡張計測機能
管理画面で簡単に設定でき、追加のイベントを自動で収集するための機能です。拡張計測機能を有効にすると、以下のようなイベントも収集されます。
ページビュー(page_view) | ページが読み込まれたときのイベント |
スクロール(scroll) | ユーザーがページの90%に達したとき |
クリック(click) | ユーザーが外部リンクをクリックしたとき |
サイト内検索(view_search_results) | ユーザーがサイト内検索を行ったとき |
動画のエンゲージメント | |
video_start | 動画の再生が開始されたとき |
video_progress | 動画が一定の割合で再生されたとき(10%、25%、50%、75%、100%) |
video_complete | 動画が最後まで再生されたとき |
ファイルダウンロード(file_download) | ユーザーがドキュメントやPDFなどをダウンロードしたとき |
フォームの送信(form_submit) | フォームが送信されたとき |
3. ユーザー属性とデバイス情報
ユーザー属性 | 年齢、性別、興味関心、地理的位置(国、都市など) |
デバイス属性 | 使用デバイス、OS、ブラウザ、スクリーンサイズ、ネットワーク |
参照元情報 | ユーザーがどのチャネルから訪れたか(検索エンジン、広告、ダイレクトトラフィックなど) |
4. リアルタイムイベント
リアルタイムで発生するイベントも自動で追跡されます。これにより、今現在どのようなユーザー行動が行われているか把握することが可能です。
5. エンゲージメントの指標
ユーザーエンゲージメントを評価するための指標も自動で収集します。
エンゲージメント率 | セッション中に一定のアクティビティがあったセッションの割合 |
エンゲージメント時間 | ユーザーがサイトやアプリでアクティブだった時間 |
6. eコマースイベント(有効化後)
eコマースに関連するトラッキングも自動で可能です。追加の設定が必要ですが、有効化すると以下のようなイベントが収集されます。
view_item | 商品ページが閲覧されたとき |
add_to_cart | 商品がカートに追加されたとき |
purchase | 購入が完了したとき |
Google Tag Managerを併用する理由
Google Analyticsで自動収集されるデータは非常に多く、これだけでも十分と感じるかもしれませんが、今回、Google Tag Managerを併用した理由は2つあります。
カスタムイベントの設定
プロダクトの利用状況を可視化するため、ユーザーのクリックイベントを分析したいと考えました。しかし、自動収集されるクリックイベントは外部リンクに限定されており、全てのクリックイベントを把握することはできません。Google Tag Managerを利用することで、すべてのクリックイベントを簡単に収集することができるようになります。
カスタムプロパティの設定
また、事業所IDのような動的なIDごとの分析を行う際にもGoogle Tag Managerを利用することで簡単な実装でデータ収集をできるようになります。
設定の概要
-
Google Analyticsの設定(参考)
1-1. アカウントにプロパティを追加します。
1-2. プロパティにデータストリームを追加します。(イベントの拡張計測機能をONにする) -
Google Tag Managerの設定(参考)
2-1. コンテナを追加します。
2-2. Google Analyticsと紐づけるための「タグ」を作成します。
2-3. カスタムプロパティとして使用したい「変数」を追加します。
2-4. 取得したいデータの発火タイミングのイベントを「トリガー」に追加します。
2-5. 追加した「変数」と「トリガー」の紐付けを「タグ」に追加します。 -
Google Analyticsのカスタム定義(参考)
3-1. Google Tag Managerで設定した変数を「プロパティの設定 - データの表示 - カスタム定義」にカスタムディメンションとして追加します。 -
Google Tag Managerとの連携
4-1. Google Tag Managerと連携するために指定されたコードをサイト内に設置します。(参考)
4-2. Google Tag Managerへ変数を渡すためのコードを設置します。(参考)
データの出力
Google Tag Managerを介して、Google Analyticsに収集したデータはGoogle Analyticsのレポートでも表示することができますが、今回はLooker Studioのレポートで可視化し、共有しています。
LookerStudioではテンプレートを使用することで簡単に視覚化することができます。
まとめ
プロダクトの利用状況を可視化するためのGoogle AnalyticsとGoogle Tag Managerの概要について説明しました。
利用状況を可視化することで、「スマホユーザーが多いので、スマホ向けのUI改善が必要だ」といった洞察や、「このボタンがあまりクリックされていないので、機能の見直しを検討しよう」といった議論が可能になりました。
この記事が、プロダクトの改善の一助になれば、幸いです。
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