VRRP, OSPF, VLANの組み合わせの挙動の確認
VRRPの基本
以下のようなトポロジを構成する。
- VRRP group 10のとき、仮想MACは0000:5e00:010a(※)
- ルーター間の経路交換はOSPFを用いる
※0000:5e00:01までは共通。最後の2桁のみ、VRRP groupの値になる。今回は「10=0a」
まず、OSPFの設定(省略)
参考までに、R1のルーティングテーブルは以下のようになる。
R1#show ip route
172.16.0.0/24 is subnetted, 4 subnets
O 172.16.200.0 [110/2] via 172.16.1.200, 00:05:41, FastEthernet0/0
[110/2] via 172.16.100.1, 00:05:41, FastEthernet0/1
O 172.16.6.0 [110/2] via 172.16.100.1, 00:05:41, FastEthernet0/1
C 172.16.1.0 is directly connected, FastEthernet0/0
C 172.16.100.0 is directly connected, FastEthernet0/1
R1の設定
R1(config)#interface fastEthernet 0/0
R1(config-if)#vrrp 10 ip 172.16.1.254
R2の設定
R2(config)#interface fastEthernet 0/0
R2(config-if)#vrrp 10 ip 172.16.1.254
R1がマスタルータになっていることがわかる。
R1#show vrrp brief
Interface Grp Pri Time Own Pre State Master addr Group addr
Fa0/0 10 100 3609 Y Master 172.16.1.100 172.16.1.254
PC1からPC2にpingを打ってみる。
期待通り、Switch1とR1の間にはパケットが流れるが、Switch1とR2の間は何も通信されない。
R1だけがデフォルトゲートウェイになっていることがわかる。
マスタルータからマルチキャストアドレス(224.0.0.18)宛に、VRRPアドバタイズメントが送られる。
※このとき、バックアップルータは何も送っていないことに注意。
障害時の挙動
デフォルトゲートウェイじゃない側のI/Fを落としてみる。
即座にOSPFのLSA Updateパケットは送信されるが、VRRPのマスタルータは変わらない。
OSPFがルートを変更して、PC1→R1→R2→R3→PC2のように、ダウンしたI/Fを迂回してPC2にパケットを送付するようにしている。
R1#show ip route
172.16.0.0/24 is subnetted, 4 subnets
O 172.16.200.0 [110/2] via 172.16.1.200, 00:00:46, FastEthernet0/0
O 172.16.6.0 [110/3] via 172.16.1.200, 00:00:46, FastEthernet0/0
C 172.16.1.0 is directly connected, FastEthernet0/0
O 172.16.100.0 [110/3] via 172.16.1.200, 00:00:46, FastEthernet0/0
このとき、トラッキングを行って、デフォルトゲートウェイ以外がダウンしたときにもマスタルータを切り替えることもできる(設定は省略)。
参考: https://nw.seeeko.com/archives/handson
デフォルトゲートウェイのI/Fを落としてみる。
すると、すぐにGARPが送信され、マスタルータが切り替わる。
以降、VRRPアドバタイズメントはR2から送られる。
PC1からPC2にpingを打ってみる。
期待通り、Switch1とR1の間にはパケットが流れなくなった。一方、Switch1とR2の間にパケットが流れる。
R2だけがデフォルトゲートウェイになっていることがわかる。
マルチキャストの挙動
検証
以下のように、VRRPルータを追加してみる。
OSPFやVRRPのマルチキャストパケットがCR1, CR2に送られないことを確認する。
なんと、送られている!!
スイッチはブロードキャストドメインを分割しないから?
ここで、Switch1をVLANで分割してみる。
手順(VLANの分割)
Switch1をVLANに対応できる機器に置き換える(GNS3の都合)
VLANの作成
VLANSW1#vlan database
VLANSW1(vlan)#vlan 172
VLAN 172 added:
Name: VLAN0172
VLANSW1(vlan)#vlan 192
VLAN 192 added:
Name: VLAN0192
VLANSW1(vlan)#vlan 10
VLAN 10 added:
Name: VLAN0010
VLANのアクセスポートの設定
VLANSW1(config)#int fa 1/1
VLANSW1(config-if)#switchport mode access
VLANSW1(config-if)#switchport access vlan 172
VLANSW1(config)#int fa 1/2
VLANSW1(config-if)#switchport mode access
VLANSW1(config-if)#switchport access vlan 172
VLANSW1(config)#int fa 1/3
VLANSW1(config-if)#switchport mode access
VLANSW1(config-if)#switchport access vlan 172
VLANSW1(config)#int fa 1/4
VLANSW1(config-if)#switchport mode access
VLANSW1(config-if)#switchport access vlan 192
VLANSW1(config)#int fa 1/5
VLANSW1(config-if)#switchport mode access
VLANSW1(config-if)#switchport access vlan 10
検証
VLAN172ではOSPFもVRRPもマルチキャストパケットを受信している。
VLAN10, VLAN192にはマルチキャストパケットは一切送られてこない。
まとめ
VLANはブロードキャストドメインを分割するため、マルチキャストパケットもVLANを超えることはない。
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