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PdM反復横跳び問題とマインドフルネス

2023/12/19に公開

この記事は、READYFORアドベントカレンダー2023 19日目としてお届けします。
https://qiita.com/advent-calendar/2023/readyfor

こんにちは、kecy (@kecy_ja)です。

READYFORでは3年近くプロダクトマネージャーとして開発チームのリーダーやオーナーを務め、「月額課金の継続寄付サービス」「プロジェクト実行者向けの管理画面リニューアル」など社内でも大きめのプロジェクトを担当してきました。

最近は、AI技術と独自データを活かしたレコメンデーションや分析環境の整備に取り組んでいます。

PdM反復横跳び問題、ありません?

そうした過程で散々思い悩んできたのは、「いま現在や目先の開発に追われるばかりで、将来・未来のことを考える余裕を持てない」という問題。

特に、プロダクトマネージャーとして自分に期待される役割が増えていくにつれて、大きく分けて3つの時間軸を行ったり来たりすることになります。

  • いま現在のこと(現在進んでいる開発の進捗管理、要件・仕様を実装に落とし込む過程で生まれる諸問題の解決、リリース後の効果検証)
  • 数週間〜数ヶ月先の将来のこと(少し先の開発に向けたリサーチと要求定義、直近の開発のための要件定義、デザイナーとのデザイン検討)
  • もっと先の未来のこと(プロダクトビジョン、ロードマップ作り)

いま現在・近い将来・もっと先の未来を反復横跳びしながら、プロダクトの新たな価値を見出し、ユーザーの皆さんに届けなければなりません。

一方で、多くのプロダクトマネージャーのキャリアは、現在から未来の方向に進むことが多いのではないでしょうか。

具体的には、

  1. いま現在の開発(デリバリー)をQCD(品質・コスト・スケジュール)のバランスを保ちながら推進し、アウトプットを出せるようになる
  2. 近い将来のために「何をなぜ作るか」の検討過程(ディスカバリー)を主導し、アウトカムを出せるようになる
  3. さらに先の未来のための戦略を立案して、開発組織を動かせるようになる

のような順番です。

そうなると、現在未来を反復横跳びする日々の中で、自分にとって経験豊富な「いま現在〜近い将来」の時間軸で起きていることに注意を引かれ、その先の未来まで考え抜く時間にリソースが行き渡らない事態に陥りがちです。

この記事は、いままさに自分の身に起きているこの「PdM反復横跳び問題」(いま名前をつけました)を、しばし立ち止まって、捉え直してみる試みです。

(自分個人の振り返りを垂れ流す感じになっていますが、ご容赦ください。。。)

「いまこの瞬間」に集中する🧘

さて、この記事のタイトルには、一見するとこの話と関係なさそうなワードが入っています。

「マインドフルネス」

一般的には、瞑想などの手法により、過去のことや未来のことに心奪われて交錯する思考や感情から 「いまこの瞬間の気持ちや身体状況」に意識を集中できている状態を指します。

やったことない方はぜひ一度試してみてください。

  • ゆっくり目を閉じて、呼吸に意識を傾け、鼻腔と肺を行き来する空気の感覚に全神経を集中する
  • 思考や感情に意識を持っていかれたら、まずはそのことを自覚し、距離を取り、離れて、呼吸の身体感覚に意識をそっと戻す

この2つだけを徹底して維持できれば、5分もすればもうマインドフルネスな状態といっていいでしょう。この分野では素人ですが、おそらく。。

もしマインドフルネスに興味を持った方がいたら、Balanceというアプリが個人的にはおすすめです(他にもいろいろあります)。
https://balanceapp.com/

自分の足はどこにある?

話を「PdM反復横跳び問題」に戻すと、はっきりさせた方がいいことが見えてきます。

すなわち、自分が集中するべき「いまこの瞬間」は一体いつなのか?

例えばいまの私にとっては、「いま現在のデリバリー・数週間先のディスカバリー」ではなく「数ヶ月先のディスカバリー・もっと未来の戦略づくり」です。

たくさんの時間軸のあいだでの反復横跳びをもっと素早くこなすのではなく、一つの時間軸の上に足をつけて、そこからできる限り足を離さない。

ほかの時間軸で進んでいることについてはなるべくエンジニア、デザイナー、他のプロダクトマネージャーに任せる。そばで見守り、必要な手助けはするものの、決して両足ごと持っていかれないようにする。

常に、自分の足は在るべき場所に在るか? を自分に問う。

抽象的な精神世界の話をしましたが、このイメージを身に刻み込むことが、未来を作るプロダクトマネージャーを目指す自分にとっては重要そうです。

先日pmconf2023に登壇されていた曽根原 春樹さんが、「LNO」というタスク分類フレームワークについて紹介しながら、

  • PMとしてもっともインパクトのある仕事(Leveage)に力を入れるべき
  • それ以外の仕事(Neutral, Overhead)は任せる・省く・最小化する・やらない

という話をされていたのが思い出されます。

https://speakerdeck.com/sonehara/pmconf2023-sirikonbarenopurodakutomaneziyada-nijian-ru-jue-wu-wojue-metapmhahe-gawei-unoka?slide=54

もっとチームに任せるための「SCDマトリクス」

これだけでは精神論に終わってしまうので、最近取り組んでいる工夫について最後に紹介します。

現在、私の所属する開発チームではエンジニアが5名、PMが私1名という編成。UIデザインについては業務委託のデザイナーさんに依頼しています。

この状況でPMである自分が「いま現在のデリバリー・数週間先のディスカバリー」よりも「数ヶ月先のディスカバリー・もっと未来の戦略づくり」に集中するためには、いま〜数週間先のことをどれだけチームのエンジニアに預けられるかにかかっています。

しかし、施策によっては、ユーザーニーズを踏まえた要求定義・全体最適なスコープ判断・ステークホルダーとの調整など、どうしてもPMが必要になるシーンは様々あります。

また、開発の規模や仕様の複雑さによっては、事前の仕様定義や設計にどれくらいリソースを割くべきかも変わってきます。
場合によってはプロジェクトマネジメント能力が必要になってくることもあります。

そこで、施策ごとの特性を踏まえて「どの施策を誰がどういう役割を持ってどんなタイムラインで進めていくか」をチームで判断しやすくするためのツールを考案しています。

それが「SCDマトリクス」です(これもいま名前をつけました)。

  • 縦軸:開発の規模や仕様の複雑さ(Scale / Complexity)
  • 横軸:PM依存度(PM Dependency)

という2軸のマトリクス上で施策の位置付けを評価し、その位置に応じてその施策をどんなやり方で進めるか・エンジニアがどの役割まで持つのかを判断するというものです。

一般的に、上に行けば行くほど、「一つのプロジェクトとして事前準備の期間を含めて数週間〜数ヶ月単位のスケジュールを引いて進めていくやり方」が適しています。

また、左に行けば行くほど、エンジニアがPMに依存することなく要件定義の工程から役割を発揮しやすくなります。

過去にやったほかの施策の位置も参考にしながら、今回の施策がどの位置になりそうかをチームの中で話し合い、その位置に応じた役割分担や進め方を決めるのに活用し始めています。


明日はフロントエンドエンジニア 菅原(@kotarella1110)さんが記事を発信予定です。お楽しみに!!

https://qiita.com/advent-calendar/2023/readyfor

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