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ユーザーの感情を動かすためのUXライティング手法

2023/12/03に公開


この記事はREADYFORアドベントカレンダー2023の3日目の記事です。

こんにちは!UXデザイナーのわたなべです。
普段はUI作ったり、ユーザーインタビューをしたりしています。

UXライティングとは

UXライティングは簡単にいうと、「ユーザーがより良い体験をするためのライティング」です。(そのままですね笑)
優れたライティングはそれだけでユーザーのモチベーションをあげ、ユーザビリティも向上し、結果としてサービスの成長に大きく貢献します!

この記事を書こうと思った理由

僕もREADYFORで働きはじめて、気づいたら1年以上経過していました...!
そんな中で「UIにおける言葉のチョイスに対して議論が多く起こるな〜」という印象を持っています。
その文化?のおかげか、READYFORのライティングはユーザーに寄り添ったものもすでに多くあると思っています!

「もうできてるならいいじゃん!」と思うかもしれませんが、これらのライティングがなぜ”良い”か説明できますでしょうか?
"なんとなくユーザーにわかりやすくライティングする"のと、"ライティングの重要性を知り、手法を知り、意図的にUXを向上させる意識でライティングする"のでは結果に大きな違いが生まれると思います。

もしうまく言語化できなければ、この記事の続きをぜひ読んでみてください!

”言葉”の情報は邪魔なのか?

ユーザー体験を向上させるためのインタフェースとしてよく言われるのは「シンプルで"すっきり"としたなデザインをし、できるだけ文字情報を少なくする」といったものです。
確かに自分もずっとそう思っていましたし、完全に間違いというわけではないと今でも思っています。

しかし、このトレンドに呑まれ”言葉”を過小評価してはいないでしょうか?
脳死で文字情報を削ることが本当に正解でしょうか?

インターフェースはユーザーとプロダクトのコミュニケーションツールです!
そしてコミュニケーションの基本は”言葉”であることはシンプルな事実であり、決して軽視してよいものではありません。

会話型ライティングのすゝめ

UXライティングを進める上で今回は「会話型ライティング」というものを紹介しようと思います!
会話型ライティングとはその名の通り、実際に人と会話するときのようにライティングを実施することです。
スタンフォード大学教授であるクリフォード・ナス(なんかすごい人)の実験結果では以下のようなことが言われています。

コンピュータを操作する人々は人間社会で他者とコミュニケーションをとる時の一般的な規範に従う。コンピュータやデジタルデータと向き合っていても、私たちはそれらがまるで人間であるかのように振る舞う

簡単にいうと、例えスマホサービスであっても、私たちは無視や無愛想な態度を取られたら怒りを覚えますし、なにかを完了した時に褒めてもらえたら喜んでしまうということです。

しかし、ほぼすべてのプロダクトは、機械的で堅苦しい定形分ばかりで人間らしさからほど遠いのが現実です。
クリーニングに服を受け取りに行ったら手違いでまだ終わってなかったけど、店員は「時間を置いて再度ご来店ください」としか言わなかったら最悪の体験ですよね笑

会話型ライティングの実例

よく優れたライティングとして例にあがるのは「Slack」や「Discord」などです。

こうしてみると他のプロダクトより圧倒的に人間らしさがありますよね!

ただ勘違いしてほしくはないのは、必ずしもSlackやDiscordの”人格”を目指す必要はありません。
Slackもビジネスマンが使うサービスでなければエンジニアとの裏話は載せないでしょうし、Discordのやりすぎなくらいのユーモアもゲームメインのコミュニケーションサービスだから成り立つものです。

大切なことは自分たちのプロダクトのブランディングやサービス内容、やってくるユーザー属性に適した"人格"をプロダクトに持たせることです。

会話型ライティングの5つのコツ

ではこれから会話型ライティングを意識しよう!と思ってもなかなか難しいと思います。
そのため、会話型ライティングに重要な要素を5つに絞って簡単にまとめてみます!
もし自分でライティングを実施する機会があればぜひ意識してみてください!

①会話では口にしないような言い方を避ける


いわゆる「書き言葉」を使ってしまうと会話型ライティングにはなりません。
意図的に「話し言葉」に変えて表記することで、形式的な堅苦しい言い回しが避けられることが多くあります。
ただし、話し言葉といっても敬意を欠いたり、誤解を生むようなライティングは避けましょう。

②ユーザーがよく使う言葉を採用する

プロダクト内でライティングをすると、つい「日本語的に正しい」や「より正規の表現はこっち」といった基準で言葉を選んでしまいがちです。しかし、どれだけ正しい表現でもユーザーに伝わらなかったり、誤解を招いてしまっては意味がありませんよね。(開発者の専門用語使っちゃうというのもよくあります)
もしどの言葉を使うか迷ったらサービスのレビューやSNSの投稿など見てみるとユーザーが普段使っている言葉がわかるので参考にしてみてください!

③音読してチェックする

「この出来事をどう言い表せばいいのか?」と判断に迷うときは、ユーザーがあなたの目の前に立っていると想像してみましょう。
あなたは目の前のユーザーにその出来事や結果をどう伝えますか?
できるだけ自然にその場で思いつくことがユーザーにも伝わりやすいことが多かったりします!

④質問を混ぜる


「質問する→それに回答する」という言葉のキャッチボールの感覚が生まれることで、より会話型ライティングはリアルになります。また、人間は答えられる状況にありながら、答えないと落ちつかない性質をもつため、ユーザーの反応を促す効果もあります。
ただし、質問は増やしすぎないようにしましょう。質問攻めにされてもあまりいい気はしないはずですしね。

⑤ユーザーの前後の行動と感情を考慮する


同じエラー画面でもエラーの内容やユーザーへの影響度が変わればライティングも変わるのが理想です。フランクな人格だとしても重大なエラー(障害など)ではより真剣に謝罪をするべきかもしれません。
「汎用性があがると有用性が下がる」という原則もあります。なにに成功したのか?どの程度ユーザーは嬉しいのか?など、ユーザーとの共感度をより高めてライティングしましょう。

情緒的ライティングと機能的ライティング

とはいってもプロダクト内の言葉をすべて会話型ライティングにしてしまっては大変なことになります!
それは会話型ライティングはどうしても文章量が多くなってしまうからです...

これではライティングでユーザーの感情を動かす前に機能性が損なわれてしまいます。
そのため、実際に会話型ライティングを導入する際は、機能的ライティング情緒的ライティング(≒会話型ライティング)を意識して使い分けましょう。

機能的ライティング

️機能的ライティングとは与えられた要件を確実に達成するためのライティングのことです。
これまで言葉に人間らしさを持たせろ!と散々言ってきましたが、基本的にはこの機能的ライティングで済むこと(済ませるべきこと)が大半を占めます。

わかりやすいのが先ほど載せた入力フォームとかですね。
なにか一生懸命作業してる時に友だちからずっと話しかけられたら鬱陶しいのと一緒です笑
それに入力フォームにびっしり文字が書かれてたら「めんどくさそう...」って思われてしまうのはイメージしやすいと思います。

ただ、機能的ライティングは特にユーザーを意識しなくていいというわけではなく、ユーザーのやりたいこと(タスク)に対して、「どのような条件で、最低限何が記載してあればそのタスクを解決できるのか?」かは意識しましょう!

情緒的ライティング

情緒的UXライティングは、機能的UXライティングで最低限の機能を満たした上で、さらにユーザーに対して好意的な印象を与えるためのUXライティングです。

前述したようになんでも欲張って情緒的ライティングを反映させるのは避けましょう。
あくまでユーザーにとって重要な画面であったり、感情が上がる(もしくは落ちる)タイミングを狙い打ちし、そのライティングをすることで、ユーザーをどんな感情にしたいのか?を意識しましょう!

「どこから手をつけていいかわからないよ〜」という人は、まずエラー、成功メッセージ、ブランク、オンボーディングなどから考えてみるのがおすすめです!

終わりに

いかがでしたでしょうか?
今回はUXライティングについて説明してみました!

記事は専門ではないですが、これもUXライティングを意識して書いてみました...笑
文章から僕の人格は伝わりましたでしょうか?
皆さんの感情もちょっとは動かせたでしょうか?

これをみて、ライティングを考える時に少しだけでもこの記事の内容を意識してもらえたら嬉しいです!
ありがとうございました!

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