フリーランスを盲信するな。契約と分割を意識して発注をマネジメントしよう。
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- フリーランスを盲信するな
- 業務分割で相手のタスクをコントロールしながら、契約でリスクコントロールしよう
- できないならセカンドオピニオンを入れよう
本文
過激なタイトルなのですが、ちょっと近日立て続けに同じような相談が入ったのでまとめておきます。簡単にまとめておくと
- 3度目の納品期日延長依頼(泣き)が入った。これ仕上げれると思う?
- システム発注一式をお願いしたフリーランスが音信不通になった
- フリーランスから納品されたシステムが想定してたレベルに達していなくて使い物にならない
といったのがこの年末相次いでます。友人に聞いたところ、そこでも同じような相談を聞いてるらしく、発生してる事象は違うものの、根本的な原因は同じで、私としては 発注側の 責任を強く感じるところです。受託側ではないです。構造的な問題です。
なぜこのようなことが起きるか
フリーランスという、組織形態がない前提を理解しないといけません。
1人企業にも言えることなのですが、どれだけ信頼できるフリーランスでも交通事故にあって重症になったら月末納品のプロダクトを仕上げる事はできません。病気も一緒です。それどころか意識不明や混濁期間があればその間は連絡とることができません。そういう相手に仕事を依頼してるという意識を持つことがとても重要です。
組織だと当たり前にやってること
これは相手が組織に所属している場合は、「担当Aが連絡取れなくなったから、Bが代わりに担当につく」みたいなリスク分散が組織内で行われます。つまり発注先の組織内で冗長性が取れてるわけです。業務量が多くなるとオートスケーリングをとる(再委託)するようなところもあります。そして属人性が低い組織ほど、社長が倒れても副社長が業務を代行し、マネージャーが倒れてもある程度は業務が回るようになっています。それが組織です。(※ 中の炎上具合や失敗事例はここでは触れません)
また、組織では業務も分割して粒度を小さく定義します。一番わかりやすいのは営業とバックオフィス業務と納品に直結するディベロッパー部隊ですね。ディベロッパー部隊の中でも、デザインやコーディング、プログラミングと粒度を細分化し、それぞれが同時進行で進むようなところもあります。そして、会社は実際の開発に関わるところだけではなく、こういった業務分割、業務管理や進捗管理、バックオフィス費用などもまとめて発注先に請求します。
つまり、発注費用の中には開発にかからないリスク分散フィーや進捗管理フィーも入ってるわけです。
フリーランスの場合を考える
全てが全てそうだというわけではありませんが、フリーランスでリスク分散をしっかりしてるところはあまり聞きません。もちろん以下ぐらいはやってるところばかりだとは信じていますが。
・ 倒れて作業できない時の再委託先の形成とドキュメントの作成
・ 倒れて意識ない時に最低限、現状をクライアントが取得できるソースコード管理と業務進捗管理の共有
リスク分散を本気でやるなら、アライアンスを組んで、そこで共有するメールアドレスがあってccで常に情報を共有してるとか、そういうリスク分散を常にするためにコストがかかる前提で自分だけでできる仕事を細分化して発注しあう習慣を作るとかしておくべきでしょう。
ただ、これはフリーランス側の問題ではなく、フリーランスの元々の定義が「傭兵」であることを考えると、やってなくて当然だと私は考えています。傭兵がリスクコントロールするのは傭兵の収入と人生で十分で、 これは発注元がコントロールすべき内容ではないでしょうか。
雇用契約を正式に結んでいないにしろ、発注者はフリーランスを自分自身が迎え入れた傭兵とみなす方が安全です。どれだけ槍が鋭くても全てにおいて優れたフリーランスはまずおらず、発注者はそういったリスクをコントロールしながらフリーランスを目の前の戦いにだけ集中させると効率がいいです。フリーランスはマネジメント対象で、それをしない(できない)なら大人しく組織を持った企業に外注すべきです。
マネジメントには以下の2つが有効です。
契約で縛る
当たり前すぎて何ですが、契約書を交わしましょう。口約束で前金払うのはもっての他で、そういうことをするのは親しい信頼関係がある友達の範囲に留めてください(それでもお勧めしませんが)。この間、ある契約書をみる機会があったのですが、必要事項が足りてなくて「お、おう・・・」ってなりました。少なくても
・ 何をもって契約達成なのか
・ 契約解除の条件(1ヶ月間連絡が取れない場合など)
・ 契約解除・違反の場合の損害賠償規定
は入れておいてください。フリーランスがもってきた契約書に「そういうものだから」とサインだけするのはありえないので、契約は双方で内容を詰めて行なってください。フリーランスには上司がおらず、納品品質をチェックできるのもあなたしかいません。
業務分割でリスク分散する
全員が、1人でアプリを作り上げることができるフリーランスではありません。また、自分がどこまでできて、どこからできないかわからないで「やってみます」という人はとても多いです。
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みたいな人もいることを前提に、フリーランスに出す業務量を決めてください。業務分割をして粒度を小さくすればするほどあなたの管理コストは増えますが、フリーランスへの発注費用は安くなることが多いです。相手がやるマネジメント作業をこちらで引き取るわけですから。
で、トラブルが起きた場合、該当部分の業務 だけ を発注をかければいいわけです。
まぁ、Webサイトぐらいの粒度だと、いちいち粒度を小さくする必要はありませんが、これが200-300万円を越えるアプリ開発やマーケ一式とかになると、本当業務を分割しておいた方がいいです。組織では、マネジメントと進捗管理に特化した上長がおり、その下で作ることだけに集中して完成する内容を、1人でやり切れるほどスーパーマンなフリーランスばかりではありません。
そして、これは契約とセットです。やり切れると相手が言うなら、ペナルティも大きくし、発注金額も高くしましょう。やりきれなかった場合、プロジェクトの実現であったり、取引先との関係悪化などで損害を被るのは誰でもない発注者自身ですので、しっかりとリスクをコントロールすべきです。
再委託禁止とかもってのほかです。相手1人ですべてを仕上げないといけないことほど怖いことはないので、ガンガン再委託してもらいましょう。要は高品質で出来上がって納品されればいいわけです。(ただ再委託の場合の品質の責任はあなたの直取引の相手にあることは明記しておいた方が無難です。じゃないと責任の押し付け合いが始まるので)
まとめ:丸投げはハイコスト。できないならセカンドオピニオンを入れよう
何度も言いますが、フリーランス全員が、組織でやる仕事すべてを1人でこなすことができるスーパーマンではありません。中にはそういった人もいることは否定しませんが、あなたの目の前の相手がそうであるかを判断するのはあなた自身です。
スーパーマン相手でないからには、業務分割で相手のタスクをコントロールしながら、契約でリスクコントロールすることはとても重要です。そして、もしその判断ができない、もしくは難しすぎるなら、あなた自身のリスクをあなたがコントロールするためにセカンドオピニオンを入れることをお勧めします。発注者と受託者だけではなく、第三者を中に入れることでリスクコントロールしましょう。
繰り返しになりますが、丸投げはハイコストです。相手が悪意をもっていなくても、明日事故に遭って一週間連絡が取れなくなった時に、あなたのその依頼してる内容は何の損害もでないようにリスクコントロールされていますか?
それではまた。
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