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FSC 引退ライブに寄せて ①

2023/09/08に公開

ヨルシカ LIVE「だから僕は音楽を辞めた」

9月8、初台Doors、ヨルシカです。(でした。)


キービジュアルとセトリ

キービジュアルとセトリです。ちなみに撮影場所は千葉県市原市の上総村上駅という小さな無人駅です。なんか特別なゆかりとかは全くなくて、都内からあまり時間とお金を掛けずに行けて、それでいて人がいなくて、なんかいい感じに田舎っぽい雰囲気があるところという基準で選びました。市原市は私が7歳から19歳までを過ごした地です。千葉県は左上4分の1以外はいい感じに過疎ってるので、金をかけずに田舎の写真を撮りたい人はぜひ検討してください(?)。

アクセシビリティに配慮してセトリだけテキストで再掲。

SET LIST

  1. だから僕は音楽を辞めた
  2. 負け犬にアンコールはいらない
  3. 神様のダンス
  4. 車窓
  5. 八月、某、月明かり
  6. 海底、月明かり
  7. 冬眠
  8. 夏、バス停、君を待つ

枠全体のコンセプトについて

まず前提として、私が今回のコピーで目指したのは「n-bunaさんの模倣」ではなく「エイミーとエルマの物語の二次創作」でした。

原作(公式な『だから僕は音楽を辞めた』『エルマ』のストーリーをここでは原作と呼ぶことにします)の内容をちょっとおさらい。エイミーという音楽の道に生きることを夢見た青年と、彼の恋人であったエルマという女の子の物語です。余命僅かだったエイミーは十数篇の曲を遺して自殺し。彼を真似て曲を作り始めたエルマは一度彼の後を追って死のうとするも、海の底で見つけた「エイミーの万年筆」に救われる形で再度生き続けることを選択します。原作の詳しい内容は今回の部誌に3.6万字の怪文書を寄稿してるのでそれを読んでくれ。

今回のセトリは、この時に万年筆を見つけることができなかったら……という、所謂「結末改変IF」系の二次創作という形で世界観を構築しています。

セトリ解説

曲に込めた思いみたいなものをちゃんと書いたらそこそこ重くそこそこキツい内容になってしまった気がする。読んでいく中で気分が悪くなった場合は無理に先へ進まずに遠くの青空か緑を見て深呼吸をすることをおすすめします。

だから僕は音楽を辞めた

https://youtu.be/KTZ-y85Erus

たぶんヨルシカを全く知らない人が適当にセトリを組んだとしても絶対にこいつだけは1曲目にしないと思う。初手で音楽辞める逆張りでごめんなさい。そしてなんとなくMV貼ってみたけどセトリの中でMVあるのこれだけじゃん。ウケる

この曲は私が初めてヨルシカを認識した曲なのでそれなりに思い入れがあります。

これを1曲目にした理由は、今回のライブの主人公をエルマにしたかったからです。エルマに音楽を始めてもらうために最初にエイミーに死んでもらう必要があった。なのでこの1曲でエイミーの「この一年が僕の一生」を表現しきるつもりで歌いました。

最初のイントロ前サビの「この一年が僕の一生だ。/ 作品の題は決めてある。/『だから僕は音楽を辞めた』」は本家ライブ『月光』のpoetry「関町にて」から引用しています。これによってこの曲がエイミーのセクションであることを明示しました。ちなみに箱のプロジェクタそこそこ解像度低いらしいけど果たしてちゃんと文字として読めたんだろうか。1日目観覧してて悟りました。たぶん読めんわこれ。

2番Aメロの「将来何してるだろうって、大人になったらわかったよ 何もしてないさ」は歌詞考察でも書いた通り、エイミーが何度も夢を諦めて、それでもなお縋ってきた様子を表す箇所です。刺さる人多そうだな〜と書きましたが、むしろ20年かそこら生きてきた人なら何かしら刺さるところがあってほしいなとすら思います。ちなみに私もめちゃくちゃ刺さります。才能が及ばないと悟って捨てた憧れも金銭的な理由で諦めざるを得なかった夢もたくさんあるので。詳しく語るつもりはありませんが。ここで映像に流れる「エルマ、きっと人生は / どうにもならないことの方が多い。/ 音楽だけは違うと思ってたんだ。/ だって音楽は芸術じゃないか。」は3/14のエイミーの手紙からの引用になります。

挫折を受け入れることと諦めることを知った人の強さが私は好きです。

最後、エイミーの「どうでもいいんだ 間違ってないだろ 間違ってないよな 間違ってないよな」という独白の後にピアノが同期演奏から生演奏に切り替わります。この演出を採用したのは、私自身とエルマを同一視することで「エイミーの独白→C和音(エイミーの死)→ピアノが生演奏になる(=エイミーの死後にエルマが音楽を始める)」という流れを表現できると思ったから。エイミーの「間違ってないよな」に対してエルマが「間違ってるんだよ わかってるんだ あんたら人間も(中略)正しい答えが言えないのだって防衛本能だ」と激昂気味に返す構図です。そこに更にエイミーが「僕だって信念があった 今じゃ塵みたいな思いだ 何度でも君を書いた 売れることこそがどうでもよかったんだ」と答え、最後に「昔はそうだった だから僕は音楽を辞めた」と結んで終わります。

映像の「花緑青と云うのは、/ 毒性の人工染料だ」は5/17のエイミーの手紙からの引用であり、『エルマ』収録曲「ノーチラス」のMVのオマージュでもあります。「ノーチラス」MVではエイミーが実際に入水するシーンは描かれておらず、この1文とその後に映る誰もいない桟橋だけで彼の死が表現されています。それに倣うことでエイミーが死んだことを明確に示しました。

ところでさっきちらっと同期演奏と言ったのですが、これ、打ち込みではなくグランドピアノの録音です。ヨルシカが実際にレコーディングで使用したらしいYAMAHA C7という機種のグランドピアノを使っています。レコーディングスタジオとしてピアノスタジオノア吉祥寺店様を利用させていただきました。あの4分かそこらの音源を作るのに4.2万円かかりました。高いと見るか安いと見るかは皆さん次第です。

あ、そうそう、下灘駅にもちゃんと自分で行ってきました。GWに。写真数枚を撮るためだけに。最初にでっかく「下灘」って映るのは行ってきたよ!!のドヤ顔以外にあまり意味はないです。7万円相当の写真なのでありがたく眺めてください。


7万円相当の写真

これも7万円の写真

8/25 追記

急に情緒が狂ってラスサビ以降の映像を作り直しました。他の曲の映像作ってないのに。なにやってんだこいつ。

負け犬にアンコールはいらない

全体の思想の強さを薄めるために非マイナー曲を入れたつもりでした。よく考えたら曲自体の思想が強かったのであまり意味ないかもしれない。

ストーリー的にはエイミーがまだ生きていた頃の思い出みたいな感じをイメージしています。3.6万字でも書いた通りこの曲はエイミーによって書かれたという裏設定があるんですが、まだ人生を諦めきってない雰囲気がうっすら感じられて好きなので入れました。

ちなみにABメロは高校時代の嫌いだったクラスメイトをイメージして声を作ってました。あんな感じの女どの学校のどのクラスにも1人はいません?

神様のダンス

この曲が入ってるのはセトリを決めた時のメンタルが終わってたからですね。だいぶマシになった今聴くとめっちゃ病んでておもろい。

そんなに大変じゃなさそうだったのでイントロだけライブバージョンにしました。ちなみに(ちゃんと弾こうとすると)間奏のピアノソロがえっぐい。ドラムからも苦情を受けたような気がする。あのソロさえなければめちゃくちゃ簡単な曲なのに……。

個人的には「捨てられた元カノ」としてのエルマの曲として聴くのが好きです。「音楽だけでいいんだろ 他人に合わせて歩くなよ / 教えてくれたのはあんたじゃないか」「価値観だって自由なら 人を傷付けていいだろ / 教えなかったのはあんたじゃないか」辺りが最高にメンヘラしてていいですよね。メンヘラの本質は他責だと思っているので。n-buna さんこの曲といいエルマちゃん自体の人物描写といい、メンヘラに対する解像度が高すぎませんか? ホストとか向いてると思う。

あ、そう、これは完全な与太話になるので部誌の3.6万字には載せなかったんですけど。えっ全部与太話じゃないんですかって?うるさいよ。 エルマちゃんがメンヘラって話からちょっと派生させて自分の解釈でも語ろうと思います。

エイミーに関しては音楽への向き合い方に悩んでいた n-buna さんの投影という話がインタビュー等で何度か語られていますが、エルマについては言及されている場面が多くありません。別にインタビュー全部追っかけてるガチ勢ではないので見落としてるだけかもしれない。ここで言ってたよという情報があればお寄せください。

翻って原作を見てみると、今度はエイミーに関する人物描写が極限まで曖昧にされている印象があります。血縁者の存在や生い立ち、経歴など、彼自身の人格形成に寄与したであろう要素についての言及が一度も為されていないですね。スウェーデンで生まれたっぽいということくらい。あと家事ができない。[1]

逆にエルマについては原作からわかることがいくつか存在します。承認欲求が強い。自己肯定感が低く自己嫌悪の癖がある。泣き虫で臆病だが強情。文章を書くのが得意。幼少期の家庭環境に欠陥があった、あるいは両親どちらかまたは両方と離別 / 死別している。

最初の1つについてはエルマの日記7/18の記述から、次の3つは自殺未遂直後に書かれた思い出のページからわかります。最後については連想ゲームですが、エイミーは手紙の送付先としてエルマの祖母宅を指定しているんですね。エルマ自身の住居に送らなかったのは引っ越してしまっているかもしれないしわからないでもないですが、祖母宅にエイミーの手紙が届いたということはエルマ自身が緊急連絡先として祖母宅の住所を彼に教えていたということになります。実家ではなく。それでそもそも実家が既に存在しないか、実家に言及したくないなんらかの理由があるんじゃないかな、とか。

さて。ヨルシカが、というより『だから僕は音楽を辞めた』『エルマ』が刺さった人たちに訊きたいんですが。
先ほど列挙したエルマの人物描写のうち、自分にも当てはまる項目はいくつありましたか?

ちなみに私は8割方当てはまってます。どれがとは言いませんが。

そして n-buna さんは何かのインタビューで「エルマは自分で自分の生き方を規定できない人間です。エイミーの模倣、エイミーの生き方をなぞるという形でしか音楽に向き合えない」、そしてバンドスコアに付属するインタビューで「このスコアを手に取ったファンの人たちが、僕たちの音楽を『模倣』することで何かを感じてくれたら嬉しい」といった感じのことを言っているんですよね。だからエイミーが n-buna さんの投影ならエルマは我々の、ヨルシカが刺さるような人たちの暗喩なんじゃないかと。

与太話ですけどね。ですけど、もし本当にそうだったら「自分たちがどういう人に刺さるか」を具体的に理解できているということになって n-buna さんってやべえ人だよなって。ホスト向いてるよ、知らんけど(2回目)。

車窓

チューニングが必要だと言われたので入れました(身も蓋もない)。この曲はピアノ曲としても結構好きだったのでまあ自分で弾くか〜のノリで弾きました。最後の部分が発車のベルが鳴って電車のスピードがだんだん上がっていく感じがしてすごく好きです。

後ろの映像で流してた文章読んだ人います?てか読めました? 語りについては大人の事情でできなかったのですが、語るなとは言われたものの流すなとは言われてないので(以下略)。はい。

八月、某、月明かり(Live Edit)

私にとって命の恩人みたいな曲です。以上。

え?……はい。真面目に書きます。

この曲、原曲も好きなんですがライブ音源も最高なんですよね、全体的に。今更ながら夕凪→八月(原キー-1)の流れも再現したかったかもしれないなと思ったけど大人の事情でできませんでした。 [2]ピアノが原曲と異なりかなり自己主張していてかっけえ〜〜って思いながら耳コピしました。原キーとライブ音源キーを何度も反復横跳びして気が狂うかと思った。

映像に使った写真、これも実際に撮りに行きました。無駄に3回くらい行った。同じ都内なのに大岡山から1時間くらいかかるのふざけてるだろ。近いのに3回くらい行ったせいで1.5万円くらいの写真になってしまった……。できれば映像もライブを完コピしたかったんですが、素人のカメラワークじゃ疾走感が消えてしまう気がしたので静止画で妥協しました。

この曲だけは絶対にセトリ入りさせると決めていたので実はストーリーにおける明確な立ち位置がないです。強いて言えば同じ道を辿って旅をし、真似をして曲を作ってみてもエイミーを理解できないエルマの焦りとかそんな感じでしょうか。原作で言うと「声」の後〜8/27(海に飛び込む前)くらいまでをイメージしています。

エルマのセクションなのにエイミーの曲を使ったせいでかなり無理をさせました。映像に。ところどころで挿入される黒背景の謎画面はエルマの日記帳からエイミーとの思い出のページを抜粋しています。読めた人いたかな? 2番サビの後の間奏では少しゆっくり表示したのでわかった人いたかもしれない。

ちなみに最後のサビの「最低なんて語呂だけの歌詞だ」らへんのリードギターは夕凪アレンジだそうです。らしい。今(8/28)から本番当日までリードギターの気が変わらなければ本番もたぶんそう。

この曲はアルバム『だから僕は音楽を辞めた』収録曲の中で n-buna さんが1番思い入れを持っている曲らしいのでヨルシカを(というか n-buna さんを)もっとよく知りたい人は1回原曲を聴いてみるといいと思います。思想強いけど本当にいい曲ですよ。思想強いけど。

私がこの曲に固執してる理由でも書くか。

正確にはこの曲というよりサビの「人生、27で死ねるならロックンロールは僕を救った」の1文です。ここにエイミーの音楽に対する愛情が全て詰まっている。知らんけど。

3.6万字の怪文書でも書いたので部誌を買ってくれた人は読んだと思いますが(……え?読んでない?そっか…)ここはアメリカの27クラブというジンクスがモチーフになっています。27クラブについて詳しく解説する気はないのでググるか部誌を読んでください。惜しむらくは27クラブを素で知っているような層とヨルシカを聴く層がほぼ重ならないこと。これはマウントなのですが、 こんなにいい曲なのに私がこの曲を初めて聴いた時と同じ衝撃を感じられる人があまりいないなんて勿体ないな〜と常々思っています。

私がこの曲を初めて聴いたのはヨルシカを知ってから半年程経った頃でした。実家の経済状況があまりよろしくないので1年の時からずっと奨学金をもらいながら大学に通っているのですが、東京の家賃と物価はバカみたいに高いので当然それだけでは人間の生活はできずに足りない分をバイトで賄っていました。

生活を懸けて働きながら学生の本分を全うするのは本当に苦しかったです。少なくとも私は。来年の4月からも生活を懸けて働くんですが学生ではなくなるのでその分少し楽になるかな。なるといいな。ところで「勉強はできるのに仕事は覚えられないんだね!」ってあれなんなんですかね?

本当は院進するつもりだったんですが、それくらいの時期にあれ?院進する金なくね?ということに気づいてしまい。いや今と同じくらいバ畜すればどうにかなったんでしょうが、今ですらしんどいのにこれだけ働きながら修士論文書くのは無理ですたぶん。結論としてストレートでの院進を諦めることにしました。

経済的な事情を理由にやりたいことを諦めるのってものすごく惨めなんですよ。当時はコロナ自粛が続いてたりとかバイトと学業の両立のストレスだったりとかで躁鬱になってました。躁あったかな?ないかもしれない。この曲のテーマは躁鬱らしいので、それで余計刺さったのかもしれません。そんな状態だったので初めてこの曲を知った時はめちゃくちゃ泣きました。

何かのインタビューでsuisさんが「n-bunaさんの歌詞を歌うことで、合法的に人を傷つけられる」的なことを言っていたんですけど。これに近いのかもしれない。歌詞の形を借りることで、誰にも同情されずに希死念慮を叫ぶことができる。別に同情はされたくないけど1人で抱えていたら潰れてしまうような感情ってあると思うんですよね。

海底、月明かり

チューニングが必要だと言われたので(略)

ここからお通夜感が一気に増していいですね。後ろで流してた文章、個人的にかなり納得いく出来になって気に入っています。この記事の最後に載せておくのでよかったら読んでね。

冬眠

リードギターの選曲。リズムが取りづらすぎてバンド内からめちゃくちゃ苦情が出ましたが選んだの私じゃないので諦めてください。

前曲の「海底、月明かり」でバルト海に飛び込んだエルマが見た走馬灯をイメージしています。Cメロの「神様なんていないから 夢は叶うなんて嘘だから」の破壊力やばくないですか?原曲を聴け。

夏、バス停、君を待つ

これもリードギターの選曲です。そこにいた人がいなくなってしまった後の光景みたいなイメージ。

練習を後回しにしてたらちゃんと弾けるか怪しいカスになってしまった。弾けたら褒めてください。

最後に

最後に ①

引退に出るにあたって自分の大学生活を真面目に振り返ってみたんですが、びっくりするほど何もしていないことに気づいてしまった。1年は皆さんご存知のコロナ体制で、2年は鬱で、3年の全期間と4年の前半は就活で潰れ、ようやく大学生活というものにまともに向き合える余裕が出てきた頃には4年の7月になっていました。

だからエイミーの「この一年が僕の一生だ」の切実さがほんの少しだけ実感として理解できるんですよね。そこまで重いものではないけれど、いつか過去として振り返った時に、私にとってはこの1年が大学生活の全てになるだろうから。

鬱も就活もない状態でライブの準備をできたのは実は今回の引退が初めてでした。バカみたいに睡眠時間を削りまくって本当にしんどかったけど本当に楽しかったです。元インターン先の仕事が忙しかった5,6月の睡眠時間(平均5時間/日)より余裕で寝れてなかった(平均4時間/日)けれど全然病まなかった。好きなことに向き合ってる人間は強いんだよなやっぱり。だんだん自分が何を言いたいのかわからなくなってきたな。微妙に間に合わなくてこの部分は引退当日に2時間半睡眠の脳で書いています。

自分の思想を詰め込んだヨルシカを一度はやりたいと思っていたのでとりあえずその希望は達成かな。更にあと2ヶ月くらい使えたらもっと映像凝りたかったけど。

最後に ②

せっかくなので、月並みですけど感謝の念を抱いている各位に愛でも伝えて終わりにしようかな。でも恥ずかしいので張本人たちに見つからないといいなと思っています。

リードギターへ。そもそもヨルシカのリードをなんでも弾ける人材というのは(技術と思想両方の意味で)希少だと思っているのですが、私は君の弾くヨルシカが1番好きだし1番上手いと思っています。え?おまえそんなに断言できるほど友だちいないじゃんって?うるせえな観測してなければ存在してないのと一緒なんだよ だから引退のメンバーを集め始めた時から本当はリードは君にお願いしたいと思っていたし、なんだかんだでFSCへの復帰を決めてくれた時はすごく嬉しかったです。あとは私がヨルシカを聴き始めたのは君の影響なのでちゃんと責任を取らせることができて割と満足しています。私が(自分を含め)バンドメンバーのキャパを一切考慮しないセトリを組んでぶん投げてもきっちり仕上げてきてくれてかっこよかったです。

ドラムへ。「せっかくなら最後まで部費を払い切って卒業しませんか?」とかいうふざけた誘い文句に乗ってくれてありがとうございます。なんかたくさん組んだような感覚があるけど引退含めて3バンドしか組んでないな…? すごくピシッとしたドラムを叩くのでかっけぇな〜と思ってました。あとほとんど走らない(走るべきところでだけ走る)安定感があってとても合わせやすかったです。全然ヨルシカ聴かないっぽいのにあのクオリティまで仕上げてくれて本当に感謝。[3] 逆に何か君のやりたいバンドがあったらキーボード私でよかったら誘ってください。

ギター、ベース、そして映像制御を引き受けてくれた後輩各位。こんなよくわからない枠のサポートを引き受けてくれてありがとうございました。少しでも楽しく演奏してもらえていたら嬉しいです。来年の引退は……仕事と被ってなければ見に行きますたぶん……。

最後に ③

この記事の題名、「FSC 引退ライブに寄せて ①」なんですよね。つまり②があります。

11/11 に Replay 企画という個人企画で今回の続編的なセトリをやります。渋谷らしいです。今回ので興味持ってくれた人がいたらそっちも見にきてくれると嬉しいな。

最後に ④(9/9 追記)

2ヶ月ぶりに5時間以上のまとまった睡眠(9時間)を取ったら書き忘れていたことを思い出したので、たぶん誰も読んでないだろうけど追記。私が自枠のヨルシカで毎回キーボードボーカルをやった理由について。

私はボーカルに向いている人間ではないです。声が綺麗なわけでも、声量があるわけでも声の抜けがいいわけでもなければ、MCや煽りで場を盛り上げるのも苦手なので。ヨルシカって盛り上がらない前提だしMCもないからそういう人間にも優しくていいですよね。 過去に別のバンドをコピーした際は好きな曲のボーカルをやらせてもらったりもしましたが。引退という場で演奏するのであればボーカルは他の人に頼んでピアノに専念することで全体の完成度を少しでも高めるという選択肢もあったと思いますが、そうしなかったのには私なりの明確な理由があります。

当日聴いてくれたorセトリを見てくれた人にはわかると思うんですが私は原作厨です。そしてボーカルは世界観に対する理解が最も重要なパートだと思っています。つまり他の人にボーカルを頼もうと思ったら、まず原作の内容と私の解釈を全て理解してもらった上で今回のセトリで表現しようとしたストーリーについて認識合わせをするという途方もない労力が必要になります。

その上で、です。私は原作過激派ですが(だからこそ?)一緒にコピーしてもらう人たちがその曲を初めて聴いた時に感じたことや聴き込んで練習していく中で考えたことを尊重したいという気持ちがあります。エイミーとエルマの物語を知らなかった頃の私が「八月、某、月明かり」に救われたように、「人生、27で死ねるならロックンロールは僕を救った」の1文にぶん殴られたように、ヨルシカをあまり知らない人も知らないなりに感じたことを大事に抱えて演奏してもらいたい。そう思っています。それでも世界観をある程度統一できるのが原作ベースでセトリを構成することの強みだとも考えています。

特にヨルシカのような、受け取り手の解釈に大部分を委ねる作品は、考えたことや感じたことも含めて「その人にとっての原作」になると思っています。聴いた人の数だけ原作がある。私の世界観を伝えてそれに合わせてもらうことはボーカルを引き受けてくれた人にとっての原作を否定する行為になりかねないからです。

ヨルシカのピアノは大好きなのでピアノを弾かない選択肢はなかったけれど (そもそも本職自認はキーボードなんですよね) そこの矛盾を解消する手段は自分が歌う以外になかった。と思います。

あ、そう、なのでバンドメンバーにはどういう世界観でどういうストーリーなのか一切伝えていません。本番当日まで私以外誰もストーリーの全体像知らなかったんじゃないかな。

おまけ ライティング全文

だから僕は音楽を辞めた

負け犬にアンコールはいらない / 神様のダンス

車窓

車窓(Live ver.)

八月、某、月明かり

海底、月明かり(Live ver.)

冬眠

夏、バス停、君を待つ

おわり

脚注
  1. エイミーの3/14の手紙に「その前にそうだ。驚くかもしれないけど、最近、家事を覚えたんだ。/ 以前は洗濯機だって碌に回さなかった、僕がだよ。」というくだりが存在します。お前エルマと出会う前はどうやって生きてたんだよ……。 ↩︎

  2. 当日追記:いや譲った曲をセトリから外すなよ ↩︎

  3. 知らないところでめちゃめちゃ練習してくれてたっぽいという話を他の人から聞いて勝手に推してました。 ↩︎

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